転生した俺、弱虫勇者の保護者(えいゆう)になりました

雪鵠夕璃

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第一章:神聖リディシア王国襲撃編

【小さな太陽】VS【呪双悪娘】

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叩き落とされたエネルギーの奔流。それを成し遂げた拳の持ち主。それは--

「フゥ。ギリギリ間に合ったみてえだな」

艶やかな金色の髪と碧眼の青年、ユルゲン・アステイラ。彼は白く輝く右腕をグルンっと回して安堵の息を吐く。

「いやぁ、ミレルを背負って、キリカ達を探してたら嫌な気配を感じたもんだから来てみれば、誰だ?お前らは?」

ユルゲンは、背に乗る気を失ってるミレルを壁に持たれ掛けさせて、セリナとセリアに尋ねる。いきなりの乱入者。これも彼女らにとっては興ざめのはずだった。しかし、彼の右腕と気を失うミレルに興味を示す。

「ふふふっ。その輝き…。今回の仕事、右腕の回収も追加よ、セリア」

「きゃははは♪ あのメガネ君も回収目標に追加してもいいかしら?姉様?」

「えぇ。好きにしていいわよ。彼は私達に最も染まりやすそうな人間だもの」

「って訳だから、君はさっさと死んで!」

セリアはその一言と共に、ユルゲンの目前まで移動し、手をナイフのような形に変え横凪に振るう。その狙いは首。しかしそれに触れるより早くユルゲンの拳がセリアの顔面を捉えた。パァンっと言う乾いた音がなり、彼女の華奢な体が壁に激突する。

「・・・かはっ」

背中を思い切り強打したセリアが血を吐く。あまりにも予想していなかった一撃にユルゲンを睨む。対して一撃も食らっていないユルゲンは警戒を解かぬまま、腰にある一振りの剣を抜いた。最初、セリアもセリナもその剣がなんなのか分からなかった。そう、その剣が蒼い光を帯びるまでは。

「使い方だけ学んどいてよかったな。えっと--蒼き英雄の芽よ、俺の心を映し、汝の相応しき姿に開花せよ!!! 神剣月穿げっこう解放リレイト】!!」

蒼い炎が剣から巻き上がる。それはユルゲンの左腕に移動し、姿を変える。左腕へとピッタリとハマる手甲へと。蒼色の炎をなびかせた【月穿げっこう】と白く輝く【聖輝神腕ディセド・ルレ】を発動させたユルゲンは両拳をぶつけ合い自分自信を鼓舞する。不思議と全身に流れ込む膨大な力。

「まさか既に【英雄芽アルトゥ・メイヤ】を覚醒させているとわね。あなた、名前は?」

セリナは初めて名前を尋ねる。興味のなかったはずの人間へと。

「俺はユルゲン・アステイラ。この世界を守る勇者だ」

「ふぅん。ユルゲン・アステイラねぇ。あのメガネ君だけじゃなく君もで染めたくなったわぁ♪」

セリナは妖艶な笑みを浮かべた。

「きゃははは♪ 姉様ったら、すーぐ男漁りするんだから。そんなことしてるとあの方に見限られるわよ」

「ふふふっ。あの方は私に骨抜きにされてるから問題ないわよ。それに、私の体はあの方だけのモノだもの」

「あーあー。いいなぁ!私も早く主様と心も体も交わりたいなぁ!ま、この仕事が終われば、暫く休暇貰えるし、たくさん主様と深く愛を確かめ合うのが楽しみ♪」

セリナとセリアは楽しそうにこの後の事を思い浮かべる。

「何の話かわかんねえけど、俺がそう易々とお前らについて行くと思ってんのか?」

「いいえ、そんな簡単に行くなんて1ミリも考えてないわ。それに今の状態じゃあなたに勝てないのもわかってる」

「なら--」

撤退しろ、と言おうとしたユルゲンを遮り、

「だから、ちょっと本気で行かせてもらうわ」

セリナがそう告げる。

「あそびはもう終わりよ、セリア」

「きゃははは♪りょーかい、姉様」

セリナがセリアに声をかけ、互いに手を握る。

そして--

「「我ら、六魔獣べレナ・アング一柱いちばしら。この世に闇をもたらし、光を食らう妖艶なる二姫ふたひめ。汝、我らの声に応じて美しき姿をあらわせ!【闇園に舞う蝶姫メイ・メス・セレネイア】!!」」

六魔獣だけに赦された禁忌の術が世界に、その姿を顕した。

魔界のみに咲くと言われる闇花が城の廊下に生い茂り、更にはセリナとセリアの姿が消え、その代わりに人の姿を得た美しい蝶の女性が二体、闇夜色のドレスを纏い、妖艶に舞っていた。余りにも妖しく不気味だが、何故か目が離せないほどに美しい二体の蝶。その二体の蝶が口を開く。

「ふふふっ。美しいでしょう?この姿」

「ん~、このドレス相変わらず動きにく~い」

発せられたのはセリナとセリアの声。

「さぁ、第二幕を始めましょう、勇者様」

「きゃははは♪私達を退屈させないでね!」

その言葉に対し、

「ハッ!今から始まんのは第二幕じゃねえ!お前らの終幕だ!!」

そう返したユルゲン。


そして--勇者候補ユルゲン・アステイラと【呪双悪娘スラハノ】セリナとセリアによる激闘の幕が再び開ける。
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