甘酸っぱい恋の味

第二章 すれちがいの、その先に

夜。

シャワーを終えてベッドに横になった憧子のスマホが、小さく震えた。

📱【和真】

今日もお疲れさん！

憧子は思わず、ふっと笑って返信を打つ。

📱【憧子】

うん、疲れたね😓
体が鈍ってて、明日絶対筋肉痛だよー。

📱【和真】

あいたたた、わかるわ～笑
俺は毎日筋トレしてるから💪✨

📱【和真】

今度一緒に筋トレする？笑

📱【憧子】

おもしろい🤣
お願いします、先輩笑

📱【和真】

おう任せろ💪
あ、でも筋トレよりも、ストレッチからかな～
ほぐさないとケガするよ？

📱【憧子】

スポーツマンの発言だね😳✨
やっぱ野球部ってすごいなあ

📱【和真】

憧子のバスケ姿もかっこよかったけどな～
意外と熱血タイプ？

📱【憧子】

えっ……
そうかな？そんなことないけど……

📱【和真】

そゆとこ真面目でいいとこだと思う😌
またバスケしてるとこ見たいな

憧子は、胸の奥がじんわり温かくなるのを感じた。

（こんな風に言われるの、初めてかも……）

何気ないやり取りのはずなのに、
ほんの少しの言葉が、ずっと心に残る。

📱【憧子】

ありがとう
なんか元気出た😊
またLINEするね

📱【和真】

おう！いつでも💬
おやすみ🌙✨

📱【憧子】

おやすみ～🌟

スマホを伏せたあと、
憧子は布団の中で少しだけ顔を隠した。

（……なにこれ、ドキドキしてる）

それは、ちょっと前まで知らなかった気持ち。
でも、どこかくすぐったくて、心地よい。

夜が静かに、ふたりの距離をそっと近づけていた。