甘酸っぱい恋の味

月華 澪

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第六章 聖なる夜に、願いを込めて

雪にとけた、ふたりの夜

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冬休みの終わりが近づくころ、
憧子と和真は、約束していたスノーボード旅行へ出かけた。

朝早くに出発し、真っ白なゲレンデに着くと、憧子の目が輝いた。
「やばい、めっちゃ雪キレイ!」
「よし、滑るぞ~!」と和真。

大学時代に友達に教えてもらった憧子は、意外にもスムーズに滑り出す。
「ねえ、和真!ちゃんとついてきてよ~」
「待てって、意外と上手いんだな!」

ゲレンデを何度も滑り降り、リフトで登り、また滑る――
ふたりの笑い声は、冷たい空気に軽やかに溶けていった。

夕方、クタクタになって温泉旅館へ到着したふたりは、
露天風呂付きの客室で、のんびりとした時間に包まれる。

「はぁ~……最高」
湯けむりの中、星空を見上げながら憧子がため息をついた。
「スノボも楽しかったけど、この時間がいちばん贅沢かも」
「確かにな」と、和真も隣で湯に肩まで浸かりながら笑った。

しばらく無言で夜空を見上げる。
風が冷たくても、お湯と、隣にいる人のぬくもりで、寒さなんて感じなかった。

そのあと、旅館の食事処で、冬の味覚が詰まった豪華な夕食を堪能。
「ねえ見て、このカニ、めっちゃ身が詰まってる~」
「ほら、取ってやるよ」
「やったー!やっぱ彼氏と来る旅行って最高!」

箸を置き、ビールを少しだけ飲んだ和真が、ふと憧子を見つめた。
「……ほんと、来てよかった」
「うん。私も。高校のとき、いつか一緒にスノボ行けたらいいなって、実は思ってた」

「マジ? なんで早く言ってくれなかったんだよ」
「言えなかったの。……照れるし」

和真が優しく笑って、手を握った。
「じゃあ、これから毎年行こうな」
「うん……!」

部屋に戻ると、雪国ならではの暖かいこたつと、ふかふかの布団が迎えてくれた。

静かに灯る照明の下、ふたりは自然と近づき、キスを交わす。
何度も、ゆっくりと。
触れた唇に、積もっていた想いがあふれていく。

「……和真」
「なに?」
「こうしていられるのが、幸せすぎて、怖いくらい」

「俺も同じ。……でも、もう離さないよ」
「うん、信じてる」

和真はそっと憧子を抱き寄せ、ベッドに沈める。
指を絡め、額を重ね、名前を呼び合いながら――
ふたりはまた、心と身体で愛を確かめ合った。

白い息が出るほど寒い夜だったのに、
あの部屋の中は、ぬくもりと想いで満たされていた。

雪に包まれた旅館の夜。
窓の外では、静かに雪が舞い続けていた。
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