甘酸っぱい恋の味

第八章 甘酸っぱい恋の味、永遠に

変わらない気持ち

秋晴れの休日。
穏やかな日差しが差し込む中、憧子と和真は久しぶりに、ゆっくりとした時間を過ごしていた。

杏との出会いから数日後。
ふたりは、お互いの実家に少しずつ結婚の話を進めていた。
でも、どちらも口には出していない。
まだ、どこか照れくさくて。
それでも、心の奥では「ずっと一緒にいたい」と思っていることに、気づいていた。

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「ねえ、和真」
「ん？」

夕暮れの河川敷を歩きながら、憧子がふと問いかける。

「今でも、私のこと……好きでいてくれてる？」

和真は、少し驚いた顔をしたあと、ふっと笑って答えた。

「なにそれ。今さら？」
「うん、なんとなく……聞きたくなった」

少しだけ不安そうに笑う憧子に、和真は立ち止まり、真剣な表情になる。

「当たり前だろ。……ずっと好きだよ」
「……そっか」
「お前は？」
「……私も。今でも、ずっと。好き」

ふたりは顔を見合わせて、小さく笑い合った。

――恋をしたのは、高校1年の夏。
いくつもの季節を越えて、いくつものすれ違いを経て、
それでも“好き”の気持ちは変わらなかった。

変わっていくものもあれば、
変わらないものもある。

その答えを、ふたりは今、ちゃんと見つけていた。

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「そろそろ、結婚とか……考えてる？」
憧子が、ぽつりとつぶやくように言った。
和真は、目をまっすぐ見て答える。

「もちろん。……ずっと、考えてる」

その言葉に、憧子の頬がふわりと染まる。

「じゃあ、そろそろ……ちゃんと話そうか」
「うん。ちゃんと話そう」

ふたりの手が、そっとつながれた。

秋の風が優しく吹き抜ける。
それは、未来への扉をそっと開けるような、あたたかい風だった。