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第2章 わたしの夢
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制服のスカートをひらめかせながら、中学へ足を進める。
ひかる君に言い過ぎたかな。
でもわたしの心臓には、ドキドキの許容範囲ってものがあるわけで。
好きな相手じゃなくても男の子っていうだけで、抱きしめられたらハートがうずきだしちゃうよ。
「おはよう」とにっこり微笑み教室に入る。
2年1組のこのクラスは男子も女子も仲がいい。
「ひまりん、きのう音楽番組にアズリズ出てたよね」
「お前の推しより俺のほうがイケメンだって言ってくれる運命の女の子がまだ現れないんだけど、沼瀬どう思うよ」
席に着くまでに5人に足止めされ、それぞれと冗談を飛ばしあった。
いつもこんな感じ。
笑いすぎて、朝からほっぺに疲れを感じちゃう。
一番後ろの窓ぎわに置かれた机に、カバンをかける。
ここが私の席なんだ、くじ運いいでしょ。
イスに座ったと同時に、湖羽ちゃんがやってきた。
めがねと2本のおさげが今日も似合っている。
控えめな性格が可愛くてたまらない、わたしの親友なんだ。
「今朝もひまりちゃん大人気だね」
「アハハ、ありがとう。ノエルくんに比べたら天と地の差だけどね」
「ひまりちゃん、あのね、わたしね……」
もじもじしながら下を向いた湖羽ちゃん。
みつあみの先を指でこすってどうしたんだろう。
「わたしもノエル君はかっこいいアイドルだなって思うの。でもでも……」
「もしかして、ついに湖羽ちゃんもノエル君のファンになった?」
「……え?」
「今度うちでライブDVDを見ながら、一緒にペンライト振ろうよ」
あっ、今はペンライトがないんだった。
イケメン騎士みたいに人間化してて……って、言えない言えない。
「あのね、わたしがひまりちゃんに言いたいことは」
「なになに?」
「ノエル君よりも、ひまりちゃんのほうがキラキラしてるなって」
「フフフそんなわけないよ、相手は国民的アイドル様だよ」
「わたし本気で思ってるよ。ステージに立ってスポットライトを浴びるのは、ノエル君よりひまりちゃんのほうがふさわしいって。ひまりちゃんはほんとうにお芝居が上手だから」
あぁぁぁぁなんて可愛いんだ、わたしの親友は。
オロオロとみつあみを震わせながら、泣きそうな顔で私を励ましてくれている。
わたしが焦っていることに気がついたんだね。
心配をかけて本当にごめんね。
秋の文化祭のメインは、各学年の選ばれたメンバーによる演劇だ。
去年わたしは、中1の選抜メンバーに選ばれなかった。
『沼瀬は登場人物になりきるのがうまい。でもそれだけ、器だけだ。観ている人の心を掴んで、感情をぐちゃぐちゃにかき乱す。お客さんの魂を操れる役者にはほど遠いと、先生は思うぞ』
わたしの演技を先生に否定された。
悔しくてたまらなかった。
死が迫っているおばあちゃんに自分の演技を見せられる最後の大舞台だったのに、実力不足でチャンスを逃してしまった。
おばあちゃんは、もうこの世にはいない。
客席からわたしをみることはできない。
でもね、天国で見ていてくれるはずなんだ。
だっておばあちゃんは一番の理解者で、わたしの夢を全力で応援してくれていたから。
おばあちゃん、わたし頑張るね。
今年こそは学年選抜に選ばれるように、必死にお芝居の練習をする。
いつか、たくさんの人を笑顔にできる舞台女優になるために。
ひかる君に言い過ぎたかな。
でもわたしの心臓には、ドキドキの許容範囲ってものがあるわけで。
好きな相手じゃなくても男の子っていうだけで、抱きしめられたらハートがうずきだしちゃうよ。
「おはよう」とにっこり微笑み教室に入る。
2年1組のこのクラスは男子も女子も仲がいい。
「ひまりん、きのう音楽番組にアズリズ出てたよね」
「お前の推しより俺のほうがイケメンだって言ってくれる運命の女の子がまだ現れないんだけど、沼瀬どう思うよ」
席に着くまでに5人に足止めされ、それぞれと冗談を飛ばしあった。
いつもこんな感じ。
笑いすぎて、朝からほっぺに疲れを感じちゃう。
一番後ろの窓ぎわに置かれた机に、カバンをかける。
ここが私の席なんだ、くじ運いいでしょ。
イスに座ったと同時に、湖羽ちゃんがやってきた。
めがねと2本のおさげが今日も似合っている。
控えめな性格が可愛くてたまらない、わたしの親友なんだ。
「今朝もひまりちゃん大人気だね」
「アハハ、ありがとう。ノエルくんに比べたら天と地の差だけどね」
「ひまりちゃん、あのね、わたしね……」
もじもじしながら下を向いた湖羽ちゃん。
みつあみの先を指でこすってどうしたんだろう。
「わたしもノエル君はかっこいいアイドルだなって思うの。でもでも……」
「もしかして、ついに湖羽ちゃんもノエル君のファンになった?」
「……え?」
「今度うちでライブDVDを見ながら、一緒にペンライト振ろうよ」
あっ、今はペンライトがないんだった。
イケメン騎士みたいに人間化してて……って、言えない言えない。
「あのね、わたしがひまりちゃんに言いたいことは」
「なになに?」
「ノエル君よりも、ひまりちゃんのほうがキラキラしてるなって」
「フフフそんなわけないよ、相手は国民的アイドル様だよ」
「わたし本気で思ってるよ。ステージに立ってスポットライトを浴びるのは、ノエル君よりひまりちゃんのほうがふさわしいって。ひまりちゃんはほんとうにお芝居が上手だから」
あぁぁぁぁなんて可愛いんだ、わたしの親友は。
オロオロとみつあみを震わせながら、泣きそうな顔で私を励ましてくれている。
わたしが焦っていることに気がついたんだね。
心配をかけて本当にごめんね。
秋の文化祭のメインは、各学年の選ばれたメンバーによる演劇だ。
去年わたしは、中1の選抜メンバーに選ばれなかった。
『沼瀬は登場人物になりきるのがうまい。でもそれだけ、器だけだ。観ている人の心を掴んで、感情をぐちゃぐちゃにかき乱す。お客さんの魂を操れる役者にはほど遠いと、先生は思うぞ』
わたしの演技を先生に否定された。
悔しくてたまらなかった。
死が迫っているおばあちゃんに自分の演技を見せられる最後の大舞台だったのに、実力不足でチャンスを逃してしまった。
おばあちゃんは、もうこの世にはいない。
客席からわたしをみることはできない。
でもね、天国で見ていてくれるはずなんだ。
だっておばあちゃんは一番の理解者で、わたしの夢を全力で応援してくれていたから。
おばあちゃん、わたし頑張るね。
今年こそは学年選抜に選ばれるように、必死にお芝居の練習をする。
いつか、たくさんの人を笑顔にできる舞台女優になるために。
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