恋の音色を聞かせておくれ。

いち

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第一楽章 初めての音色

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中2の頃。
俺は運命の出会いをした。

放課後、学校の音楽室前の廊下。
部活の生徒も帰宅したあと、俺は忘れ物を取りに学校に戻っていた。
そんな時、ある音が聞こえてきた。
すぐ近くの音楽室。
こんな時間まで誰がいるのだろう。
そんな風に思い、なんとなく興味が湧いた。

そっと、音楽室を覗いて見た。

そこには、トランペットを吹いている生徒の姿があった。
誰かは分からない。
けれど、その姿、音色は何よりもまっすぐ響いていた。

目が離せなかった。
綺麗だと思った。

俺はその一瞬でトランペットが好きになった。

ああなりたい。
あの人のトランペットをもっと聞きたい。
そう思った。

相手に見つかりそうになり、それ以上聞くことはできなかったが、心には深く深く、その音色が残っていた。

ただただ、まっすぐなあの音色が。



青木 奏楽あおき そら。高校1年生。
この青空高校に入学したばかりの新入生。
今日は部活見学の日だ。
あの日聞いた音が忘れられず、俺は吹奏楽部へと足を運んでいる。

先輩達の演奏や説明、活動内容などを一通り聞いた後、楽器の体験の時間になった。
木管、金管、パーカッション、低音、高音などいくつかに分けられたエリアがあり、体験したい楽器の所に行き、体験する、といった感じだった。

俺は、吸い寄せられるようにトランペットのエリアへと近づいた。

「あの、トランペット希望なんです、!触ってみていいですか?」

数人の先輩方に声を掛ける。

「おぉ!トランペット希望?いーねぇ、俺、3年の櫻井健吾さくらい けんご。よろしくな、後輩くん。」

「健吾先輩、よろしくお願いします。」

「おい、お前も挨拶しろ。」

「、2年の来節 黄歌きぶし おうか。」

「黄歌先輩、」

「あー、ごめんなぁ、後輩くん。
 こいつ、愛想悪くてよ~、」

「音楽に愛想なんて、必要ない。」

「んなこと言うなよー、音楽に感情は大事だぞ~?」

「そうっすか、」

「はぁ、まぁいいや。後輩くん、楽器触ってみる?」

「はい!是非っ!」

初めて楽器を持った。何も分からないが、高揚感があった。
まず、マウスピースで音を出す練習をした。
なんだか、口がブルブルなって変な感じだが、これで音が出ているのかと、少し感動する。
健吾先輩が教えてくれている間に黄歌先輩は自分の楽器を持ってどこかに行ってしまった。

しばらく、マウスピースで練習をした後、楽器に付けて音を出してみる。
初めてで綺麗な音は出ないが、あの時、確かに聞こえた音に。憧れに近づくことができた気がして嬉しかった。

これから頑張ろう。心からそう誓った。
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