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マリアを伴って自室にしている部屋へ行くと、アンがすでに何枚かの着替えを準備していた。
「これはだめね。森に入るから動きやすい服が良いわ。乗馬用のズボンを出して。」
レティは突っ立ってるだけで、マリアが次々と指示を出してくれる。
「やけにボディラインがしっかりしてるドレスが多いわね。デザインは可愛いのに。え?ソウンディックが選んだの?へぇ。まぁ、愛って怖いわ。」
マリアはニヤニヤしながらも一人で頷いている。
「うん。これならバッチリ。」
黙って着せ替え人形になっていたが、やっと了承が得られた。
乗馬用の動きやすいズボンに、汚れても良い綿のシャツ、上着にはポケットが幾つか付いたベストを重ねている。
「ありがとうございます。マリア様。」
「マリアって呼んで。私もレティって呼んでいいかしら?第五騎士団は人数が少ないし無礼講だから慣れるとだめね。堅苦しいのが嫌になっちゃう。」
気さくなソウンディックの人柄だろう。
数日しか一緒にいないレティも、すでに馴染んできていた。
それでもまだ、夜空のような黒髪やレティを見つけて細める青空の瞳、艶かしさすら感じる姿態を思い出すだけで、頬に熱を感じてしまうのは仕方がなかった。
時間もないので、そのままの格好で自室でマリアと共に昼食をとり、森に向かう頃にはすっかり打ち解けていた。
邸の外には、すでに第五騎士団とアルトリア騎士団が揃っていた。
「カルテットとマリアは森の入り口で待機。アルトリア騎士団はカルテットの指示に従ってくれ。アルベルトとクリストフは供に来てくれ。」
ぴっと、横に居たマリアが手を上げる。
「森の中で魔物を刈りたいです。」
「却下。森の入り口まで来た魔物は討伐対象だ。好きにして良い。カルテット、マリアの手綱は緩めるな。」
「了解です。痛。」
敬礼するカルテットの足を、マリアがすかさず踏んだ。
カルテットとマリアを残し、鍛練所の脇を抜けて行くと、すぐに森には入れる。
初めは歩きやすい道があったものの、進むに連れて獣道になり、次第にその細い道すらなくなってきた。
前を進むクリストフとアルベルトが足元を固め、抜刀して小枝を払ってくれているので、さして苦労はない。
「もうすぐで森の中心に着く。精霊王の境界に入れば、私とレティは姿が見えなくなると思うが、二人はそのままの場所で待機してくれ。」
「ソウンディックの気配が消えれば、魔物が出てくるんじゃないか?」
「そうだろうな。後は不審な人物が接近したら捕らえておいてくれ、殺すなよ。」
「俺の加護じゃ丸焦げになる。そっちはクリストフに任せる。」
「承知した。」
アルベルトは火の精霊の加護持ちらしい。
細かい調整は苦手なんだ。と、ぼやいていた。
魔物の森は、アルトリアの住居のすぐに側に位置するものの、その脅威にさらされることはほとんどない。
騎士団や傭兵が守ってくれているからだと、アルトリアに住むものなら子供でも知っている。
悪い子の所には森から魔物がやって来るよ。と、小さな頃から言い聞かせられて育つのだ。
真っ直ぐ歩んでいたつもりだった。
さわっと、頬を撫でる風を感じて顔を上げると、今までの光景とは一変していた。
「これはだめね。森に入るから動きやすい服が良いわ。乗馬用のズボンを出して。」
レティは突っ立ってるだけで、マリアが次々と指示を出してくれる。
「やけにボディラインがしっかりしてるドレスが多いわね。デザインは可愛いのに。え?ソウンディックが選んだの?へぇ。まぁ、愛って怖いわ。」
マリアはニヤニヤしながらも一人で頷いている。
「うん。これならバッチリ。」
黙って着せ替え人形になっていたが、やっと了承が得られた。
乗馬用の動きやすいズボンに、汚れても良い綿のシャツ、上着にはポケットが幾つか付いたベストを重ねている。
「ありがとうございます。マリア様。」
「マリアって呼んで。私もレティって呼んでいいかしら?第五騎士団は人数が少ないし無礼講だから慣れるとだめね。堅苦しいのが嫌になっちゃう。」
気さくなソウンディックの人柄だろう。
数日しか一緒にいないレティも、すでに馴染んできていた。
それでもまだ、夜空のような黒髪やレティを見つけて細める青空の瞳、艶かしさすら感じる姿態を思い出すだけで、頬に熱を感じてしまうのは仕方がなかった。
時間もないので、そのままの格好で自室でマリアと共に昼食をとり、森に向かう頃にはすっかり打ち解けていた。
邸の外には、すでに第五騎士団とアルトリア騎士団が揃っていた。
「カルテットとマリアは森の入り口で待機。アルトリア騎士団はカルテットの指示に従ってくれ。アルベルトとクリストフは供に来てくれ。」
ぴっと、横に居たマリアが手を上げる。
「森の中で魔物を刈りたいです。」
「却下。森の入り口まで来た魔物は討伐対象だ。好きにして良い。カルテット、マリアの手綱は緩めるな。」
「了解です。痛。」
敬礼するカルテットの足を、マリアがすかさず踏んだ。
カルテットとマリアを残し、鍛練所の脇を抜けて行くと、すぐに森には入れる。
初めは歩きやすい道があったものの、進むに連れて獣道になり、次第にその細い道すらなくなってきた。
前を進むクリストフとアルベルトが足元を固め、抜刀して小枝を払ってくれているので、さして苦労はない。
「もうすぐで森の中心に着く。精霊王の境界に入れば、私とレティは姿が見えなくなると思うが、二人はそのままの場所で待機してくれ。」
「ソウンディックの気配が消えれば、魔物が出てくるんじゃないか?」
「そうだろうな。後は不審な人物が接近したら捕らえておいてくれ、殺すなよ。」
「俺の加護じゃ丸焦げになる。そっちはクリストフに任せる。」
「承知した。」
アルベルトは火の精霊の加護持ちらしい。
細かい調整は苦手なんだ。と、ぼやいていた。
魔物の森は、アルトリアの住居のすぐに側に位置するものの、その脅威にさらされることはほとんどない。
騎士団や傭兵が守ってくれているからだと、アルトリアに住むものなら子供でも知っている。
悪い子の所には森から魔物がやって来るよ。と、小さな頃から言い聞かせられて育つのだ。
真っ直ぐ歩んでいたつもりだった。
さわっと、頬を撫でる風を感じて顔を上げると、今までの光景とは一変していた。
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