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それからと言うもの、どこに行くにもソウンディックに会うようになった。
今までも何かと面倒は見てもらっていた自覚はあるものの、最近では、見張られているんじゃないかと思ってしまうぐらいに、邸内で遭遇する。
先ずは朝目覚めると、ソウンディックからだという花がアンによって飾られる。
意外にも、森に生えてそうな、野草の慎ましやかな花を贈られる事が多かった。
仕度を済ませて朝食に行けば、爽やかな笑顔で出迎えられ、食事後は部屋まで送られる。
ギルデガンドが付けてくれた教育係との授業が休みの時に、突然思い立って訓練場に行こうとすると、途中の廊下で「私もそちらに用事がある」と出会う。
もちろん晩餐も一緒で、時間がある時にはそのまま中庭を散策しに行くこともある。
「お仕事は大丈夫なのですか?」
今日も図書室を目指して移動していたら、たまたまソウンディックと出くわした。
決して嫌な訳ではない。むしろ、毎日少しでも一緒にいられる時間を作ってくれるのは、すごく嬉しいと思う。
「心配ないよ。しっかり終わらせてるから大丈夫。」
後ろに控えるように付いてくるアルベルトをチラリと見れば、両手を上げて苦笑いしていた。
「時間を作るために、かえってスムーズに進んでる。」
「それなら…。でも、無理はなさらないで下さいね。」
大丈夫。と簡単に受け流されるが、移動の合間合間にもアルベルトの元へ書類を届けに来ている者がいるのを目にしている。
アルベルトが精査を終えれば、ソウンディックが目を通す事になるだろう。
その仕事が、そんな簡単に終わるとは到底思えなかった。
「レティは最近図書室に通ってるようだけど、気になる本でもあった?」
「いえ、精霊や魔物の事をもう少し知りたいと思って。」
元々エデルもレティシアも精霊を嫌悪しているエステザニア出身だ。
そのせいか家でもあまり話題に上がる事もなく、書物も無かった。
街で見聞きして覚えた事がほとんどで、自分が関わり合いを持つなど考えてもみなかったのだ。
「それなら建国精霊記や魔術と魔物がお勧めだけど、もう読んだ?」
「精霊記は先日読み終えました。今日はちょうど魔術と魔物を探そうと思ってたんです。」
「あれは冒険記のような感じだから、楽しく読めると思うよ。探すのを手伝おうか?」
「助かります!」
建国精霊記は歴史書に近く、精霊と国との関わり合いには詳しくなれたが、正直難解だった。
「さぁ、どうぞ。」
重々しい両開きの扉を簡単に空け、道を開けてくれる。
ふわっと香る古い書物の香りを嗅ぐと、ここ最近通っていたこともあって、心が落ち着いてくる。
今までも何かと面倒は見てもらっていた自覚はあるものの、最近では、見張られているんじゃないかと思ってしまうぐらいに、邸内で遭遇する。
先ずは朝目覚めると、ソウンディックからだという花がアンによって飾られる。
意外にも、森に生えてそうな、野草の慎ましやかな花を贈られる事が多かった。
仕度を済ませて朝食に行けば、爽やかな笑顔で出迎えられ、食事後は部屋まで送られる。
ギルデガンドが付けてくれた教育係との授業が休みの時に、突然思い立って訓練場に行こうとすると、途中の廊下で「私もそちらに用事がある」と出会う。
もちろん晩餐も一緒で、時間がある時にはそのまま中庭を散策しに行くこともある。
「お仕事は大丈夫なのですか?」
今日も図書室を目指して移動していたら、たまたまソウンディックと出くわした。
決して嫌な訳ではない。むしろ、毎日少しでも一緒にいられる時間を作ってくれるのは、すごく嬉しいと思う。
「心配ないよ。しっかり終わらせてるから大丈夫。」
後ろに控えるように付いてくるアルベルトをチラリと見れば、両手を上げて苦笑いしていた。
「時間を作るために、かえってスムーズに進んでる。」
「それなら…。でも、無理はなさらないで下さいね。」
大丈夫。と簡単に受け流されるが、移動の合間合間にもアルベルトの元へ書類を届けに来ている者がいるのを目にしている。
アルベルトが精査を終えれば、ソウンディックが目を通す事になるだろう。
その仕事が、そんな簡単に終わるとは到底思えなかった。
「レティは最近図書室に通ってるようだけど、気になる本でもあった?」
「いえ、精霊や魔物の事をもう少し知りたいと思って。」
元々エデルもレティシアも精霊を嫌悪しているエステザニア出身だ。
そのせいか家でもあまり話題に上がる事もなく、書物も無かった。
街で見聞きして覚えた事がほとんどで、自分が関わり合いを持つなど考えてもみなかったのだ。
「それなら建国精霊記や魔術と魔物がお勧めだけど、もう読んだ?」
「精霊記は先日読み終えました。今日はちょうど魔術と魔物を探そうと思ってたんです。」
「あれは冒険記のような感じだから、楽しく読めると思うよ。探すのを手伝おうか?」
「助かります!」
建国精霊記は歴史書に近く、精霊と国との関わり合いには詳しくなれたが、正直難解だった。
「さぁ、どうぞ。」
重々しい両開きの扉を簡単に空け、道を開けてくれる。
ふわっと香る古い書物の香りを嗅ぐと、ここ最近通っていたこともあって、心が落ち着いてくる。
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