始まらないラブストーリー

樫和 蓮

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続・幼馴染との始まりそうな恋

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「ところで、あの彼とはどうなったん?」
「彼?」
「あの、ピアノ教室の」
「あ」
「あ??」
「進展、あるんよ」
「まじで?なんで言ってくれへんの!?」
「ごめん、めっちゃ忘れてた」
「なんでなん!!」
千紗は亜依のほうへ思い切り身を乗り出した。

◆◆◆

「亜依さあ、来週、暇?」
「来週?ピアノ休みになったし暇だけど」
来週の休みはさっきのレッスンで言われたところだ。ピアノの先生の親戚が急に帰国が決まったとかで、休みになってしまった。
「暇ならさ、俺とどっか遊びに行かね?」
亜依は一瞬固まってしまった。
「私と?」
「他に誰がいんだよ」
佑人は照れたように笑う。亜依はふいの照れ顔に少しどぎまぎする。
「ま、いいけど」
「よっしゃ!!約束な!またLINEするわ!」
佑人はそれだけ言うと走って帰ってしまった。

◆◆◆

「えええええええ」
千紗は思わず立ち上がる。
「何それ!いつ!なんで言わんの!」
「騒がんといてよ、もう」
亜依も心なしか満更でもなさそうである。
「このあとLINE来てさ、遊びに行くとこ決めたんやけどさ」
「うんうん」
千紗は今にも腰を浮かしそうだがとりあえず座る。
「どこに行くと思う?」
「えっ急にクイズ??えーどこやろ、遊園地?水族館?」
「放課後にそれは厳しない?」
「でもナイトパスとかあるやん?」
「確かに」
「えーじゃあゲーセンとか?あっカラオケか!」
「残念。千紗さ、駅前にパンケーキ屋さんできたん知ってる?」
「知ってる知ってる。東京から来たとこやんな?」
「そこ」
「えーほんま!?何それ!可愛い!亜依興味なさそう!」
千紗はまた立ち上がってしまう。
「いやいや失礼すぎん?」
「え、どっちが提案したんよ」
「……」
「え、亜依?」
「……うん」
「まじ?可愛い!何それ!」
「いやさ、最初提案されたんここやってんよ」
亜依がスマホを操作し、インスタの画面を見せる。
「お、おう……」
キラッキラのパフェ、しかもとんでもないビッグサイズ。
「あそこやんな、隣駅の……」
千紗は思わず声をひそめる。
「ここはさすがに乙女として行かれへんくない?」
亜依も小声で答える。キラキラした写真とは裏腹に、酷評が校内で飛び交っているのを二人はよく知っている。
「なんか、甘いもの食べに行きたいけど一人じゃ行きづらいから私とって……」
「理由ありがちすぎて今更感あるけどそこはええわ……それで亜依が提案したんやな……亜依が可愛すぎる。私、今、亜依を抱きしめたい」
「それはやめて」
亜依は苦笑いする。
「ほんでいつ行くん?」
「明日」
「明日!」
「明後日こそ忘れずに話すわ」
「ほんま忘れんといてよ!!」
千紗は小指を亜依に突き出した。亜依は「はいはい」と小指で応えた。
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