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一章「火の女神アナトとオークの叛乱」
9話 「魔王の怒りと天の光」
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「――ま、魔王!?」
「は!? なんでこんなとこに魔王がいんのよ!?」
二人は突然目の前に現れた、とてつもない邪悪なオーラを放つ男が、魔王であると知り火を見た獣のようにうろたえている。
「さあ、余は貴様らの問いに全て答えたぞ。……改めて問おう。『早くしないと』どうなる」
デュノスは歪んだ冷笑を浮かべながら言った。
「……ッ」
二人はデュノスの凍てつくつららのような笑みに串刺しにされたように、足元がわなわなと振るえ、動くことも喋ることさえもできなくなっていた。
「フム、これには答えてくれぬのか。ならば質問を変えよう――村の女を集めて、何をしようとしている?」
依然、口を開かない二人を見て、デュノスが続ける。
「上に置かれた扉、あれは天界へ繋がる扉であろう? ワープホールとでも言うべきか」
「察するに、〝アレ〟を使って女達を天界へ送る算段だったのであろうが、はて、ここで新たな疑問が生まれる」
二人は全身に流れ出る冷たい汗によって増幅された悪寒と、恐怖により異様に動きを早めた心臓のおかげで、凄まじい速さで全身に送られる血液で内臓から焼かれるような、二つの矛盾した感覚に陥っていた。
「なぜ、女だけを攫ったのか、そしてなぜその攫った女を天界に送る必要があったのか」
デュノスは淡々と語る。
「……答えない、と言ったら?」
男がなんとか返答する。
「そうだな……貴様ら、親を持たぬ天界の使途とはいえ生命であることに変りはない。そして生命には皆〝本能〟という機能が備わっている。その〝本能〟により、貴様らのその足りない脳は今、限界以上の力を発揮し、なんとかこの状況から脱する算段を立てようとしているのだろうが、一つ教えてやろう」
「答えれば見逃して貰えるなどという考えは捨てろ、答えようと答えまいと、貴様らは今ここで死ぬ。この結論は揺るがない」
「――ヒッ!?」
なんとか踏ん張っていた足が根を上げ、女は悲鳴と共に尻餅をついた。
男はなんとか恐怖に打ち勝とうとしている。
「だがしかし、貴様らに朗報だ」
ハハハッと楽しそうに笑いながらデュノスが言う。
「素直に答えた場合、苦しむことなく、一瞬で殺してやろう。喜べ、余からの冥土土産だ。しかし――」
デュノスが言い終わる前に男が来ていたフードを自ら剥ぎ取り投げ捨てる。
「――貴様、なんのつもりだ。……そしてその翼」
デュノスの言葉通り、男が身に着けてる銀の甲冑の背中から、大きな白い翼が閉じられた状態で出てきた。
「……俺とて神につかえる身、たとえ殺されようとも、そう易々、口は割らん」
男の目には決心が浮かんでいる。
「神につかえる、か。貴様らは神を知らぬのだな」
「黙れ! 魔王の分際で神を語るな!」
男が声を張り上げる。自らの崇拝する神を侮辱されたような気がしたからだ。
「貴様らよりよく知っていると思うがな」
「……もういい、いくら魔王と言っても天界随一の速さを誇る俺のスピードには着いて来れん」
男の閉じていた翼がバサッ、と大きく開かれる。
「バント! 待ちなさい!」
女が叫ぶ。バントと呼ばれる男は女に一瞬だけ背を向けると腰に提げられた剣を勢いよく引き抜き、少ししゃがんだ後、翼を広げて一気に飛び立った。
ビュッ、と風を切る音が連続して響き渡る。煽られた落ち葉が風に乗り、デュノスの周りに舞う。
男の姿は辛うじて残像になる。女はすでに目で追うことが敵わなくなっていた。
「バント!」
女の悲痛な叫びが響き渡る。しかし、男に止まる様子はない。
「人間や貴様ら魔物など、我ら天界の家畜でしかない! その家畜がどうなろうと知ったことでない!」
男は飛び回りながら叫んでいる。
デュノスは黙って、男の姿を目で追うことすらなく、じっとその場に立っている。
「これで終わりだ! 死ね、魔王!」
どこからか聞こえる男の声、次の瞬間――
――ドォォンッ
轟音が山にこだまする。男は飛び回ってデュノスを撹乱し、デュノスの右後方から、スピードを乗せて斬りかかった。が、しかし――
――カランッ、という金属が地面に落ちる音。中間ほどで真っ二つに折れた剣の片割れ。
「バ、バント!」
「天界随一か、この程度であれば底が知れるな」
何事もなかったように語るデュノスの右手には男の顔が鷲づかみにされ、男の身体は宙に浮いていた。
「ぐっ……な、なぜ!? 俺の剣は当たったはず……」
顔を鷲づかみにされた常態で、喋り難そうにしながらも、男が言う。
「そうだな、確かに命中した」
デュノスの言うように、彼が羽織っているフードの腰の辺りにはしっかりと、斬られた痕があった。
「いくらスピードが乗ったところで、その程度のナマクラで余を切り伏せられると思うたか」
「……ぐっそ……」
男は悔しそうに顔を歪める。
「まぁ、よい。先ほど貴様に遮られたが、続きだ。答えぬのなら、地獄以上の苦しみを味わいながら死んでもらう」
デュノスがニヤリ口を歪める。
「余に歯向かったことを後悔しながら死ぬがよい」
その瞬間、男の身体から、まるで油が撒かれていたかのように、全身から炎が燃え上がる。
「グッ、グァァァァァァアアアアァアア!」
響き渡る男の断末魔。翼の羽は黒く燃え尽きる。男は暴れ、なんとか苦しみから逃れようとするが、デュノスがそれを許さない。どんなに暴れても顔を掴んだ手が離れることはなかった。
「グアァァッァァァァ、アアアアァァァァァアァアアアア!」
女はガタガタと全身を震わせている。
「……そろそろよいか」
すると、男の身体から、まるでロウソクを吹き消したかのように、一瞬で炎が消え去る。
「……ガッ……」
男の肌は焼け焦げ、かつて人型であったことがなんとか把握できる程度の状態になっていた。焼かれたことによって皮膚が固まり、男は喋ることはもちろん、指一本に至るまで動かすことも敵わない。
「丁度良い焼き加減だな、表面だけをしっかり焼いてやった。まだ生きておるだろう」
「感謝せよ、貴様に後悔する時間をやったのだ。しっかりと反省し、来世の教訓とせよ。そして叶うなら、天界などには産み落ちぬよう、切に願おう」
もう、言葉など返ってこない、〝生きた炭〟に向ってデュノスが言う。
そして男の身体を地面に下ろした。
女は、涙目で黒焦げになった男を見つめ、ガタガタと震えている。
「さて、次は貴様の番だな」
「ヒ、ヒィ!?」
デュノスの声に身体を跳ねさせ、尻をついたまま、引きずって後ろにさがる。
「貴様はどうする? 男と同じように焼かれたいか、もしくはカマイタチによって少しずつ皮膚を剥がす方がよいか?」
デュノスは笑顔を浮かべながら、女にゆっくり近づいていく。
「せっかくなので、派手に殺してやってもよいが、余が下界に下りていることを知られると困る。そして恐らく、余の部下のオークたちがまだこの山に残されているだろうからな。少々地味だが、許せよ」
「……い」
女が口を開く。しかし、上手く声がでない。
「なんだ、はっきり申せ」
「い、言います! 全て話しますので……どうか、楽に殺してください」
女は全てを諦めた表情をしている。
「……よかろう。一瞬で灰にしてやる。先ほどの余の問いに答えよ」
「…………」
女は少しだけ、生を惜しむように目を閉じて、口を開いた。
「……人間の女達を攫ってきた理由、それは女達を天界に送り――」
――女が答えようとした瞬間、天から光が降り注ぎ、女を包む。その光は神々しく、まさに天の光と呼ぶに相応しかった。
「ガハァッ!?」
女が光を見上げた瞬間、女が苦しそうに首を抑える。
「――カッ――ガァッ――」
首を掻き毟る。口を大きく開き、涎を垂らしながら、なんとか空気を吸い込もうとするが、叶わぬようだ。
次第に女の動きが弱まって行く。数秒後、女は力なく倒れた。それ見届けるように、光が段々と天へ還って行く。
デュノスが女の元へ跪き、爪痕の残った首に指をあて脈を図る。
「……絶命しておるな」
女の脈が止まっていることを確認するとデュノスは立ち上がり、空を、天を見上げる。
「宣戦布告……というわけか」
「貴様らの目的はなんだ、まだこの世界に未練があるのか」
デュノスが独り言のように呟く。
「なあ……神よ」
その頃、村の女達を連れたアナト、ミカエル、アーシェの三人は山を下りていた。
「……なあ、さっきの光」
村の女達を山の頂上付近、先ほど天から光が振り注いでいた場所を見上げている。
「……うん、なんだか、暖かかった」
アーシェが呟く。
「…………」
アナトは眉を寄せ、苦虫を噛み潰したような顔をしている。
「アナトさん、さっきの光ってもしかしてデュアルさんが?」
ミカエルの問いにアナトは首を振る。
「……違うわ」
「じゃ、じゃあ今のは誰が」
アーシェが尋ねる。
「……さあね、私にはわからない」
アナトが何かを隠していることは二人にも容易にわかったが、それ以上踏み込めない、と直感した。
「ここでデュアルさんを待ちますか?」
ミカエルが言う。
「いいえ、この人たちも疲れているでしょうし、村の人たちも帰りを待っているでしょ。先に帰ってましょ」
「……そうですね、わかりました」
一向は村へ向けて、再び歩き出した。
「は!? なんでこんなとこに魔王がいんのよ!?」
二人は突然目の前に現れた、とてつもない邪悪なオーラを放つ男が、魔王であると知り火を見た獣のようにうろたえている。
「さあ、余は貴様らの問いに全て答えたぞ。……改めて問おう。『早くしないと』どうなる」
デュノスは歪んだ冷笑を浮かべながら言った。
「……ッ」
二人はデュノスの凍てつくつららのような笑みに串刺しにされたように、足元がわなわなと振るえ、動くことも喋ることさえもできなくなっていた。
「フム、これには答えてくれぬのか。ならば質問を変えよう――村の女を集めて、何をしようとしている?」
依然、口を開かない二人を見て、デュノスが続ける。
「上に置かれた扉、あれは天界へ繋がる扉であろう? ワープホールとでも言うべきか」
「察するに、〝アレ〟を使って女達を天界へ送る算段だったのであろうが、はて、ここで新たな疑問が生まれる」
二人は全身に流れ出る冷たい汗によって増幅された悪寒と、恐怖により異様に動きを早めた心臓のおかげで、凄まじい速さで全身に送られる血液で内臓から焼かれるような、二つの矛盾した感覚に陥っていた。
「なぜ、女だけを攫ったのか、そしてなぜその攫った女を天界に送る必要があったのか」
デュノスは淡々と語る。
「……答えない、と言ったら?」
男がなんとか返答する。
「そうだな……貴様ら、親を持たぬ天界の使途とはいえ生命であることに変りはない。そして生命には皆〝本能〟という機能が備わっている。その〝本能〟により、貴様らのその足りない脳は今、限界以上の力を発揮し、なんとかこの状況から脱する算段を立てようとしているのだろうが、一つ教えてやろう」
「答えれば見逃して貰えるなどという考えは捨てろ、答えようと答えまいと、貴様らは今ここで死ぬ。この結論は揺るがない」
「――ヒッ!?」
なんとか踏ん張っていた足が根を上げ、女は悲鳴と共に尻餅をついた。
男はなんとか恐怖に打ち勝とうとしている。
「だがしかし、貴様らに朗報だ」
ハハハッと楽しそうに笑いながらデュノスが言う。
「素直に答えた場合、苦しむことなく、一瞬で殺してやろう。喜べ、余からの冥土土産だ。しかし――」
デュノスが言い終わる前に男が来ていたフードを自ら剥ぎ取り投げ捨てる。
「――貴様、なんのつもりだ。……そしてその翼」
デュノスの言葉通り、男が身に着けてる銀の甲冑の背中から、大きな白い翼が閉じられた状態で出てきた。
「……俺とて神につかえる身、たとえ殺されようとも、そう易々、口は割らん」
男の目には決心が浮かんでいる。
「神につかえる、か。貴様らは神を知らぬのだな」
「黙れ! 魔王の分際で神を語るな!」
男が声を張り上げる。自らの崇拝する神を侮辱されたような気がしたからだ。
「貴様らよりよく知っていると思うがな」
「……もういい、いくら魔王と言っても天界随一の速さを誇る俺のスピードには着いて来れん」
男の閉じていた翼がバサッ、と大きく開かれる。
「バント! 待ちなさい!」
女が叫ぶ。バントと呼ばれる男は女に一瞬だけ背を向けると腰に提げられた剣を勢いよく引き抜き、少ししゃがんだ後、翼を広げて一気に飛び立った。
ビュッ、と風を切る音が連続して響き渡る。煽られた落ち葉が風に乗り、デュノスの周りに舞う。
男の姿は辛うじて残像になる。女はすでに目で追うことが敵わなくなっていた。
「バント!」
女の悲痛な叫びが響き渡る。しかし、男に止まる様子はない。
「人間や貴様ら魔物など、我ら天界の家畜でしかない! その家畜がどうなろうと知ったことでない!」
男は飛び回りながら叫んでいる。
デュノスは黙って、男の姿を目で追うことすらなく、じっとその場に立っている。
「これで終わりだ! 死ね、魔王!」
どこからか聞こえる男の声、次の瞬間――
――ドォォンッ
轟音が山にこだまする。男は飛び回ってデュノスを撹乱し、デュノスの右後方から、スピードを乗せて斬りかかった。が、しかし――
――カランッ、という金属が地面に落ちる音。中間ほどで真っ二つに折れた剣の片割れ。
「バ、バント!」
「天界随一か、この程度であれば底が知れるな」
何事もなかったように語るデュノスの右手には男の顔が鷲づかみにされ、男の身体は宙に浮いていた。
「ぐっ……な、なぜ!? 俺の剣は当たったはず……」
顔を鷲づかみにされた常態で、喋り難そうにしながらも、男が言う。
「そうだな、確かに命中した」
デュノスの言うように、彼が羽織っているフードの腰の辺りにはしっかりと、斬られた痕があった。
「いくらスピードが乗ったところで、その程度のナマクラで余を切り伏せられると思うたか」
「……ぐっそ……」
男は悔しそうに顔を歪める。
「まぁ、よい。先ほど貴様に遮られたが、続きだ。答えぬのなら、地獄以上の苦しみを味わいながら死んでもらう」
デュノスがニヤリ口を歪める。
「余に歯向かったことを後悔しながら死ぬがよい」
その瞬間、男の身体から、まるで油が撒かれていたかのように、全身から炎が燃え上がる。
「グッ、グァァァァァァアアアアァアア!」
響き渡る男の断末魔。翼の羽は黒く燃え尽きる。男は暴れ、なんとか苦しみから逃れようとするが、デュノスがそれを許さない。どんなに暴れても顔を掴んだ手が離れることはなかった。
「グアァァッァァァァ、アアアアァァァァァアァアアアア!」
女はガタガタと全身を震わせている。
「……そろそろよいか」
すると、男の身体から、まるでロウソクを吹き消したかのように、一瞬で炎が消え去る。
「……ガッ……」
男の肌は焼け焦げ、かつて人型であったことがなんとか把握できる程度の状態になっていた。焼かれたことによって皮膚が固まり、男は喋ることはもちろん、指一本に至るまで動かすことも敵わない。
「丁度良い焼き加減だな、表面だけをしっかり焼いてやった。まだ生きておるだろう」
「感謝せよ、貴様に後悔する時間をやったのだ。しっかりと反省し、来世の教訓とせよ。そして叶うなら、天界などには産み落ちぬよう、切に願おう」
もう、言葉など返ってこない、〝生きた炭〟に向ってデュノスが言う。
そして男の身体を地面に下ろした。
女は、涙目で黒焦げになった男を見つめ、ガタガタと震えている。
「さて、次は貴様の番だな」
「ヒ、ヒィ!?」
デュノスの声に身体を跳ねさせ、尻をついたまま、引きずって後ろにさがる。
「貴様はどうする? 男と同じように焼かれたいか、もしくはカマイタチによって少しずつ皮膚を剥がす方がよいか?」
デュノスは笑顔を浮かべながら、女にゆっくり近づいていく。
「せっかくなので、派手に殺してやってもよいが、余が下界に下りていることを知られると困る。そして恐らく、余の部下のオークたちがまだこの山に残されているだろうからな。少々地味だが、許せよ」
「……い」
女が口を開く。しかし、上手く声がでない。
「なんだ、はっきり申せ」
「い、言います! 全て話しますので……どうか、楽に殺してください」
女は全てを諦めた表情をしている。
「……よかろう。一瞬で灰にしてやる。先ほどの余の問いに答えよ」
「…………」
女は少しだけ、生を惜しむように目を閉じて、口を開いた。
「……人間の女達を攫ってきた理由、それは女達を天界に送り――」
――女が答えようとした瞬間、天から光が降り注ぎ、女を包む。その光は神々しく、まさに天の光と呼ぶに相応しかった。
「ガハァッ!?」
女が光を見上げた瞬間、女が苦しそうに首を抑える。
「――カッ――ガァッ――」
首を掻き毟る。口を大きく開き、涎を垂らしながら、なんとか空気を吸い込もうとするが、叶わぬようだ。
次第に女の動きが弱まって行く。数秒後、女は力なく倒れた。それ見届けるように、光が段々と天へ還って行く。
デュノスが女の元へ跪き、爪痕の残った首に指をあて脈を図る。
「……絶命しておるな」
女の脈が止まっていることを確認するとデュノスは立ち上がり、空を、天を見上げる。
「宣戦布告……というわけか」
「貴様らの目的はなんだ、まだこの世界に未練があるのか」
デュノスが独り言のように呟く。
「なあ……神よ」
その頃、村の女達を連れたアナト、ミカエル、アーシェの三人は山を下りていた。
「……なあ、さっきの光」
村の女達を山の頂上付近、先ほど天から光が振り注いでいた場所を見上げている。
「……うん、なんだか、暖かかった」
アーシェが呟く。
「…………」
アナトは眉を寄せ、苦虫を噛み潰したような顔をしている。
「アナトさん、さっきの光ってもしかしてデュアルさんが?」
ミカエルの問いにアナトは首を振る。
「……違うわ」
「じゃ、じゃあ今のは誰が」
アーシェが尋ねる。
「……さあね、私にはわからない」
アナトが何かを隠していることは二人にも容易にわかったが、それ以上踏み込めない、と直感した。
「ここでデュアルさんを待ちますか?」
ミカエルが言う。
「いいえ、この人たちも疲れているでしょうし、村の人たちも帰りを待っているでしょ。先に帰ってましょ」
「……そうですね、わかりました」
一向は村へ向けて、再び歩き出した。
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