わたしは

momo

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第一章

わたしは…偽りの平穏

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「○っちゃん、お母さんはどんな時だって味方だからね。でも、一回休んじゃうと行きづらくなっちゃうから…出来るなら今日だけでも学校行っとこ。ねっ。」

母にそうなだめられて、昨夜から泣き過ぎてもう感覚も麻痺していた私はうながかれるままに登校した。

おはよう
おはよう

下駄箱を恐る恐る見てみる。
どこも変わったところもなく画ビョウも入っていなかった。

教室に着くと、

おはよう

いつも通りの挨拶にいつも通りのヤンキー女子たち。

おはよう

いつも通りのみっちゃんが彼女たちと談笑をしていた。

チラッとこっちを見たが特に意を介さないようにまた談笑している。

おはよう

いつも通りのかおり。

そう、昨日の約束通りかおりは特に何をするわけでもないが、放課中そばにいてくれたのだ。

部活にも顔を出す、
一瞬ヤンキー女子が顔をしかめるが、また普通通りに練習に参加している。

そう…まるで、何もなかったかのように。


わたしも、つーくんとは目も合わせられず分かりやすく避けるように接した。
元々シャイで話しかけてくるような人じゃなかったから、わたしさえ何もしなければ何もないのだ。

そっか、…。

ひどい仕打ちやいじめを受けると予測し絶望を感じていたから、これはほんとに意外だった。

どうしてかも知るすべはなかった。

みっちゃんやヤンキー女子もつーくんも森くんもともみちゃんも、みんなみんな他の人たちには言ってない様子でその話題に触れなかった。

いや、わたしの前で…かもしれない。

取り敢えず今まで通りの学校生活が送れることに、みっちゃんに感謝した。

2ヶ月も経つと、みっちゃんも新しい彼氏が出来たってクラスで盛り上がっていた。
同じヤンキーグループの男子。

よかった…。心底ほっとした。
許してくれたみっちゃんには幸せになってほしかったから。


でも…今でもわからないの。

どうして、つーくんはみっちゃんと別れたの。
森くんにバレて気恥ずかしくなったから。
それとも……。

その答えをおしえてくれる人は誰もいなかった。

ねえ、つーくん…あのとき、わたしが先に告白してたら……、いや、なかったことにしてもらったんだ。
それで、きっと許してもらえたのだ。
みっちゃんを傷つけておいて、これ以上求めるのは罪である。

わたしは…偽りの平穏に涙がとまらなかった。
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