わたしは

momo

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第一章

わたしは…不信

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中二の夏休みを前にまゆみがバレー部を辞めた。

まゆみとは小学三年生の時からの友達だった。
毎日男子とちょっかい掛け合ったり戦ったりしてる時も、まるで子分のようにわたしの後ろについてヤジを飛ばしたり、男子と言い合いしてたりして、やり返されてピンチになるとわたしのところに来るから、わたしが追っ払う。
そんなこんなで戦友のような存在だった。

小柄でぽっちゃりしていたまゆみは、漫画を書くことが好きだった。
わたしも落書きのような四コマを描いては二人で見せあいっこして笑いあっていた。

五年生になってクラス変わっても、たまにお互いの家に遊びに行っては、漫画やクラスの男子とのやり取りで盛り上がっていた。
一人っ子のまゆみは典型的なワガママ娘だったが、わたしもガサツでいられて楽だったんだと思う。

六年生でまた同じクラスになった時も、いつもと同じように男子と戦っていた…そう、あのわたしを変えた彼とのケンカまでは。

それからわたしは大人しく過ごすようになり、まゆみも男子とケンカしなくなった。
また、二人でクラスの男子のイラストを描いては物語を作って楽しんでた。

中学生になり、バレー部に入ろうっと声をかけてきたのもまゆみだった。
うちの学校はとにかく何かの部活には参加しなくてはならなかった。
まゆみのお母さんがママさんバレーをやっていたからか思いつきかわからないが、わたしたちはバレー部に、入部した。

一年時は二人ペアでパス練習とか筋トレの時に漫画のキャラを言いあって笑ってたりもした。
ずっと、このまま続くといいなと思ってた。

そんなまゆみは持ち前のワガママ気質がヤンキー女子の癪に障り、すれ違う度に、
「ブスっ!」
「ウザイ!」
など、言われるようになった。

リサちゃんのこともあったからわたしは心配になり、忠告した。もう少し大人しくしたほうがいいよ。っと。
でも、うるさいっとはね除けられてしまった。

ある日、
「もう、バレー部辞めたから。」

突然の宣告だった。
ずっと、一緒に部活やって来ていたから頭が真っ白になった。わたしは引き留めた。でも、

「私は、もっと自分の夢の為になることがしたいから! じゃ。」

そう言って立ち去ってしまった。
もともと運動苦手系女子だったのだ。バレー部も日に日に厳しさを増していって、一年時はまだ一番下手くそでも気にならなかったのに、二年になって運動できる後輩たちに抜かれていくのが、プライドの高い彼女にとって屈辱だったのだろう。

支えてあげられなかった悔しさとこれからペア練習だれとしたらいいんだろうという底知れぬ不安に襲われた。

そうして、まゆみとは疎遠になっていった。
後に彼女は東京の芸術系大学に入学し、そのまま東京でイラストレーターの仕事をしてるらしいことを、彼女の母親づたいで知った。

よかったね、まゆみ。
夢、叶ったんだね。
ごめんね、あの頃のわたしにはとても突然のことで受けいられなかったんだ。
夢なんてまだ何も決まってなかった空っぽのわたしには…。


幼なじみのかおりとその友達のともみちゃん、あやちゃんとのグループに入れてもらえることになるまでは、あちこちのグループの余った子たちと日替わりでパス練習した。
今日は一緒にやってくれる子いるかな。
今日はいないかな。
今日は…神経すり減らしていった。

だからかおりのグループに入れてもらえて嬉しかった。そんな矢先にあのつーくんとのいざこざがあり…正直ともみちゃんとは気まずかった。

あやちゃんとかおりと同じ帰り道だったんだけど…いつもあやちゃんはかおりと二人で並びたがった。
昔ながらの歩道ではガードレールもあるし二人並ぶのが精一杯。
自然と後ろのまん中から前の二人の話に入ることになる。
最初は頑張って着いていってたのだけど…つーくんのことやまゆみとのことがあってから、わたしも色々つらくて時々もう心を無にして、適当に顔だけ笑ってた。

だからともみちゃんに、

「○っちゃんは信用できない。」

っとハッキリ言われた時はかなりショックだった。

わたしもともみちゃんに対してつーくんのこと以来信じられくなっていたから…それが伝わっていたのか今までのわたしの行動のせいかはわからなかった。

わたしは中三になると同時に受験を理由にバレー部を、辞めた。


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