わたしは

momo

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第一章

わたしは…花火が如く

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東塾の仲良しメンバーで花火大会に行かないかと誘われた。

花火と言えば家族と地元のお祭りに出かけて屋台のわたあめやらイカ焼きやら焼き鳥やらバナナチョコやらを食べ歩く、食い倒れイベント…もしくは兄や弟と小遣い握りしめて射的や宝釣りスーパーボール救いなどに、燃えるゲームイベント…。

そんな、思い出しかなかったわたしに、いきなり男女グループで花火…カァアアア~っ!!  

ど、ど、どないしよーーーーーーー!!!!

恥ずかしさとうれしさでわたしは頭がお祭り騒ぎだった。
慌てて母に浴衣を用意してもらい、かおりと駅まで車で送ってもらい電車に乗った。

うみちゃんの彼氏の柴野くんとその友人の池上くんは隣の中学校だったから、隣の駅のホームで待ち合わせ。

セミロングの髪に赤いお花のかんざしを差しただけだったけど、おめかしして、男の子とデートするのも初めてだったのでウキウキしてた。

五人揃ったところで会場に向かうことになり、うみちゃんと柴野くんは腕組んでラブラブモード。
チラッと見ると池上くんと目があった…池上くんは少しわたしを変えた彼に似ている。もう少しチャラく飄々とした感じた。

スッ、

わたしの前に立ち、
笑顔で話しかけてくる。

ガタンゴトン…カダンゴトン…

うれしいけど…隣にかおりもいるし、うみちゃん達は自分たちの世界だし…。

ガタンゴトン…カダンゴトン。

わりかし気まづいまま、わたしは左に池上くん、右にかおりという配置のまま会場をブラつくことになった。
途中で飲み物やらりんご飴やらを買ったが、味なんて覚えていない。それどころじゃないくらい、テンパっていた。

花火が始まると見晴らしの良い場所に座り込み、夜空を見上げた。

漆黒の海をバックに、夜空に輝く花火はとてもキレイだった。  

ドドーン…パパーン!!

「すごーい!!キレイだねっ♪
     ねえ、かお…」

わたしがかおりに、そう話し掛けようとした瞬間。

ぎゅっ、

左手が、熱い。

えっ!慌てて振り返ると池上くんが、

「ほんと、きれいだね。…次は二人っきりで見たいなぁ。」

ボッ…。ぷしゅーーー。
わたしの顔はヤカンだとすると沸騰しましたね。
電動ポットだと保温機能に切り替わるメロディが流れていたでしょう。

慌てふためいたわたしは、照れてしまって言葉が出なかった。

花火も、クライマックスかというときに、

ボッポッ… ザーーーーーーーーーーーーーー

夕立だ!!

ピカッゴロゴロ…

キャーーー!!!

あちこちで悲鳴が聞こえる。

周りに雨をしのげるような場所もない。
とにかく駅へ急ごうということになり、ザーザー容赦無く降り注ぐ雨に浴衣はびしょびしょに濡れてしまった。

大きな水溜まりが目の前にあり、突っ走ろうとしたら、

「ほらっ、つかまって。」

池上くんが手を伸ばして引っ張ってくれた。

男らしい…。胸がきゅんきゅん止まらない。

駅も逃げてきた人で、ごった返していた。
やっとの思いで電車に乗り込むと、ギュウギュウ詰めの車内にビショビショの浴衣、揺れる度に押されてよろめいてると、

グイっ、

突然引き寄せられて目の前に池上くんの顔がっ!

「俺につかまってて。」

そう、ささやくと片手でてすり、片手でわたしの腰に手を回して揺れる度に引き寄せてくれる。

いやっ、うれしいを通り越してもう頭が着いていかなかった…初めてのことだらけで、とにかくわたしを守ってくれて男らしい池上くんに、わたしはもう…惚れてしまった。


ねぇ、気が付こうよ!わたし!
こんなにスマートにエスコートしてくれるってさ…男気じゃなくて、女に慣れてるんだよっ!
簡単にほだされてんじゃないよ!
このバカ女ぁーーーー!!

もしタイムマシンがあるならこの時の浮かれポンチなわたしにそう言ってやりたい。
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