グラン王国の錬金術師 if 悪役錬金術師に転生してました!

えん水無月

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70 武士道と切腹と評判と

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 お通夜のような食事会から私は小さな部屋へと通されている。

 色々言いたい事もあったけど、当主が倒れてメイドも執事も大慌てになるし、太った男は引きずられて消えるし、残った息子のスラングさんから、説明をしますのでこちらの部屋にと、いう事だ。

 アマンダは離れずに腰に剣を着けたまま横にいてくれる、でも、旅の途中のようなにゃははは言ってくれない。

 一応は護衛だもん。それに仕事中は素をださないのにゃーと、小さく言って私を持ち上げる。

「それに……にゃは」
「え、何か知ってるの?」
「なんにもー」

 含み笑いをしてるし。
 仕事というなら旅の途中も仕事になるのよね? と問いたい所だ。

「ほら、こっちをにらむ前に誰かきたにゃっよっと」
「むー」

 小さいノックがされた。

「家主でもない私が言うのは変なきがするけど……どうぞ」
「失礼します」

 入ってきたのは、マギナさんの息子でスラングさん。
 海の男という感じで日焼けした肌と服の上からでもわかる筋肉が凄い。

「ええっと、マギナさんは大丈夫?」
「はっ! 父上である当主マギナは寝込んでおり、代理人として俺が喋る事をお許しください」
「許すも何も……」
「いえ、決して許される事じゃないのはわかってます! 今回の不手際は弟。いや……もう縁を切った愚弟ぐていコタロウが勝手に暴言を吐いた事」
「ああ、コタロウって……」
「もがもふはもはる」

 私は、スラングさんの隣で口には布を巻かれ、さらには手足も紐で結ばれた太った男性を指差した。


「はい、ですから! ですから……決して歯向かう積もりもなく」
「いや、歯向かうもなにも」

 何かをされた覚えも無い。

「そうでしょう。この愚弟もこうやって謝って……」
「布が邪魔して喋れないみたいよ?」
「これは失礼!」

 スラングさんは、コタロウの布を外す。

「いいか、絶対に変な事は言うなよ。顔を見て誠意せいいを持って謝れ」
「ぶっはー、顔を見れって下から見ると、その巨乳のせいで見えないでござるよ。
 なんで拙者は縛られてるでござるか?」

 コタロウの言葉に、私より倍以上年上のスラングさんが青ざめる。
 たくましい腕で、タクロウを殴ろうとしたが、コタロウは芋虫のように体を捻じ曲げてそれを回避する。

 太ってる割に動きはいいわね。

「何をするでござるが兄上! そこの女子おなごもとめてくだされ。それはそうと、客人よ。命が惜しかったら直ぐにこの町逃げるでござるよ。なんでも、権力をもった悪役令嬢がこの町に来ると聞いているでござる、それがし、見かけたらいち早く知らせようと、四日も外で待っていたでござる」
「へー、その悪役令嬢って?」
「よくぞ、おっと兄上。もう喋るなとはなんでござるが、っと甘いでござる」


 手足が縛られて太っている割に動きが素早い。
 スラングさんは床のあちこちに穴を開けるが、コタロウはうねうねとその攻撃をかわしている。

「名はエルン・カミューラーヌ。ちょっとでも、気に障ると一族全て打ち首にするでござる。
 最近では、王や王子達も弱みを握られたでござるな、こんな小さい港町のわが家は、プチっと握りつぶされて終わりでござるよ。もうどうせなら、エルン・バカミューラーヌでも改名すればいいでござるな、おや……港で流行っている冗談が通じないでござるか。所でちょっとケバイお嬢さん、お名前は?」


 なるほどなるほど、マギナさんや……いいえ。コンタル家全員が私の顔色を伺っていたのが解けたわ。
 そりゃ緊張して食事も美味しくないでしょうね。
 お初にお目にかかりますわ、エルン・カミュラーヌと申します、そう言えばいいのか、いや、本当どうしよう。

 助けてアマンダ!
 振り向くとアマンダはさっと顔を横に向けた。
 若干であるけど、肩が震えてる。
 おーい。ぷっくっくっく……と笑い声が口から漏れてるぞー。

「その、えーっと」
「どうしたでござるか? ちょっとケバイお嬢さん」

 ムカ!

「だから、まだ十七だっていうのっ!」
「そうであったか……失礼、拙者と三つしか違わないでござるグフ」
「私の事は置いておいて、そのエルンって人も、特に何もしないとおもうなぁー」

 若干声が上ずっているけど、仕方が無い。

「ムンフ、そうでござるか?」

 隣に居るスラングさんが顔と目があった。
 コタロウに見えないように、静にしてと人差し指を口元へ持っていく。
 平和的に解決したいのだ。
 そう何事も平和的に。

「父上殿は、考えに考えた結果、拙者の趣味部屋も潰して、バカミュラーヌ家のために大きな部屋を作ったでござるよ……」
「あーあのっ! 部屋…………なんでもないわ、続けて」
「ぬおお、聞いてくれるでござるか。拙者の話を聞いてくれる女性なんて、あれは小さい頃――」
「いや、そこは聞きたくないから」
「そうでござるか?」

 出るわ出るわ。
 以下に私が王都で我侭を通したって噂が。

 例えば、草原で転んだから草原の魔物を一層するのに騎士団を使った。
 
 例えば、第一王子や第二王子を顎で使った。
 
 最近でいえば、小さい村を錬金術の実験場に使ったなどなど。


「噂よ! 噂っ! 真実は全然違うしっ!」
「おや、なんでお姉さんが怒るでござるか?」
「ええと、そのー」


 廊下のほうが騒がしい。
 女性の声で、お待ちください。成らぬ! それだけは……。 一族の為などが聞こえてきた。

「あっ」
「おや、親父殿……食事の途中で倒れるとか、体が成ってませんでござるぐっふっふ。拙者客人の相手をしていたでござるよ!」

 ガウンを着ているマギナさんが赤い顔をして部屋へと入ってきた。
 腰にはスラングさんの奥さんがしがみ付いてた。それを跳ね除けるとガウンを跳ね除ける。
 細身であるが、老人というのにすらっとした筋肉が付いてある。

「古来異国の地には切腹というのがあるとお聞きします。この当主の命を持って全てを――――」

 短い剣を腹に当てようとしている所で私はわれに返る。

「だから、皆勘違いしてるって! あーーもうっ。アマンダっ!」
「了解! にゃ」

 アマンダが直ぐにスラングさんの剣を叩き落した。 

「はて? 何がどうなってござるか?」

 誰かの呟きに誰も説明はしなかった。
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