グラン王国の錬金術師 if 悪役錬金術師に転生してました!

えん水無月

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80 出発進行、砂丘の丘へ

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 いやー砂漠馬車の旅ってのもいいものね。
 砂漠に生息している、砂トカゲ。
 それの変異種である砂オオトカゲ、魔物であるが飼いならし馬の代わりに使う。

 と、先ほど砂馬車の主人に教えて貰った。
 しかも馬よりも操作は簡単で車みたいに背中に十字ハンドルらしき板がついている。
 進む時は一回、止まる時は二回、左右に曲がる時は左右にハンドル部分を叩けばいいそうだ。

 難点といえば砂の上でしか使えなく、馬みたいには扱えない。

「よっと、お客さん荷物積み込んだぜ」
「ありがとう」
「いいってことよ、しかしまぁ客の事は深くは詮索せんのが、商売の長生きのコツなんだが荷物多くないか?」

 グラン王国から持って来た荷物は、鞄一つである。
 でも現在普通の馬車より大きい砂馬車。その三分の一は大きな木箱が置いてあり、中身は食料や交易品だ。
 アマンダ曰く、次の町まで毎日宴会してもあまるにゃと教えてくれた。

「余ったら次の町で売るからいいわよ。色々サービスしてくれたおじさんも、良かったらこれ飲んで」

 私は木箱に入った酒のセットを渡す。
 最初は断っていた砂馬車の店主であったが、最後は渋々受け取った。
 顔が嬉しそう。

「金額も前払いで、しかも酒まで貰うとは……ありがてぇな仲間と飲むわ」
「あ、もし」
「なんだ?」
「その亜人の仕事仲間がいたら、その人にも渡してほしいなぁって」

 店主は目をぱちくりして、その後に笑い出す。

「おっと、笑ってすまねえ。町の人間で亜人を嫌ってる奴らがいるのも事実だが、俺たちの仕事は亜人から教えて貰っているからな、大事な仲間だ、一緒に飲むよ。
 もしかして……領主が突然亜人の待遇を上げたるって話って嬢ちゃん達が関係してるか?
 数日前に王宮が他国の人間を使い街へと視察が入ったって噂なんだがよ」
「そんなわけないじゃない、きっと領主が心入れ替えたのよ」


 店主は、暫く黙ったまま考えて白い歯を見せて来た。

「ちげえねえ、きっと黒髪の女神が顔をひっぱたいたんだな。
 何はともあれありがとよ、こんな高い酒を」
「いいのよ、今回は安く仕入れただけだから」

 女神と呼ばれて私も気分がいい、脱悪役令嬢。
 それに、安いも何もこれらの商品は全てタダそれも大変嬉しい。
 
 と、言うのも。
 奇跡の生還をした私達は昨日まで述べ八日間、ミック・インフィの屋敷でどんちゃん騒ぎ。

 私がただの旅行ではなく、ガーランド城へといく任務があるとしったミックは、亜人の待遇の事は言わないでくれと泣いて頼んできた。

 一応はバレると色々面倒らしい。

 別に言うつもりはない。
 何だったら私も貴族だし、全員が全員手を繋いで仲良しで暮らせるとは思ってないし。
 ただ、コテツとかがちょっと可愛そうだし、ジャン君とコーネリアちゃんにはいい未来があればいいな、とは思う。

 その辺も含めて、どうしようかなーって伝えたら好きなだけ飲み食いしていいからと言われたので、昨日まで飲み食いした。

 コテツは次の日から屋敷をでて仕事に行った。
 しかも、金も何も要らない。娘が助かっただけで十分だと、ミックに頭を下げた。

 過程はどうあれ、結果的にカトリーヌが助かったらと言っていた。
 欲の無い人? よね。

 カトリーヌも数日間ジャンと一緒に医者に掛かっていたけど、健康という事で、やっぱり自宅へ帰った。

 お父さんだけじゃ、生活大変だからって、なんて父親思い。
 ああいうのを見ると、私も親孝行しなきゃーと思うが、今は無理ね。

 アマンダは、どこから聞いたのか剣の腕をご教授願いたいという集団に誘われ相手をしてくれない。

 結局コタロウとひたすら飲んだ、食べた、また飲んだ。
 

 最後は、まだ出てかないのか? 任務あるんだろ? まで言われたので、こうしてお土産・・・奪って・・・いや、貰って町を出る事にしたのだ。

「さて、暫くは二人旅だけど、アマンダまたよろしくね」
「御意に」

 わざとらしく膝を付く。
 まさに絶景の女性騎士、はー男だったら惚れてるわ…………。
 こんな側近がいたのに王子も見る目が無いわねぇ。

 いや、もしかして――。

「アマンダとヘルン王子って実はって奴だったのかしら?」
「えるんちゃーん、口、口」
「ごごごごごごめんなさいっ!」
「別にいいにゃよー王位とか興味ないし、えるんちゃんも友人と恋人はちがうにゃ、そういうもんにゃよ」
「なるほど」

 わかった様なわからないような。
 ともあれ、私は砂馬車屋にお礼を言って馬車に乗り込んだ。
 アマンダも砂オオトカゲに発進するように命令する。


 ◇◇◇

 砂馬車のホロの中でごろりと寝転がる。
 街からでて小一時間経ったころだろう、馬車内の箱がガタガタと鳴り始めた。

 私とアマンダは飛び起き、その箱を凝視する。
 中身は次の街で売る民芸品を入れた箱で、動くような物は入れていない。

 箱から手が飛びでた。
 次に足が箱を蹴破る。

「よし、アマンダ。未確認・・・魔物・・ だから馬車から捨てて」
「わかったにゃ」

 短く言うアマンダの声に、箱が喋りだす。

「待つでござる! ござる! もうちょっとで頭が出るでござるに!」
「だから、頭でたら誰かわかって捨てれないでしょ」
「それはもう、わかっているでござるよね?」
「あーーもうーー、なんでコタロウがここにいるのよ! 出発は延びたからって昨日言っておいたでしょ!」


 そう、今回の報酬として小遣いも渡し、コタロウには出発は明後日と伝えてある。
 あるにもかかわらず、なんでいるのよ!

「ミック殿から相談うけたでござる。このままでは金目の物が全て奪われるって」
「ちょっと、人を盗賊みたいに、ちゃんと六割は残したでしょ」
「えるんちゃん……」

 しまった! アマンダには一割程度のお礼の品だからOKよって伝えてた。
 そうこうしている間に、コタロウの頭が箱から飛び出た。

「ごほん、で。それとコタロウが箱にいる理由は?」
「だから、この箱に入っていた超高価な物の代わりに拙者がはいって欲しいと泣いて頼まれたでござるよ……それに出発は明後日って聞いていたのにでござる。
 サイズが合うかためしに入ったらそのまま運び出されたでござるよ。
 しかも、誰一人拙者が居なくて悲しいとか、そういう話は――――」
「あーもう、わかったわよ。ウジウジしない!」

 仕方がないけどしょうがない。
 先に連れて行くと言ったのは私だし、上手く撒ければと思ったけど甘かったか。 
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