グラン王国の錬金術師 if 悪役錬金術師に転生してました!

えん水無月

文字の大きさ
88 / 209

84.5 捕らえられた男の話(暗めで真面目な物語

しおりを挟む
 初めてソレ・・を見た時は驚いた。
 滅多に帰って来ない王に呼び出された僕達は、小さな赤ん坊を見せられた。

 赤ん坊なんて何度も見てきたはずなのに驚いた理由は別にある。
 その頭には小さな耳がついており、誰かみても亜人というのがわかったからだ。
 背後で小さな悲鳴が聞こえたような気がしたが、俺はそれよりも小さい亜人に興味が沸いた。

 僕の母親や姉が、僕の服を引っ張った。
 無意識に跳ね除けると、その赤ん坊へと近づく。
 王や兵士が俺の前へと立つと道をふさいだ、それを大丈夫ですよと伝えてくれたのはパトラ第一女王だた一人。

 子供の僕でもわかるちゃらんぽらんな王から……父上から声がかかった。

「ガルドよ、母は違えとお前の妹だ。私が諸国にいる間も守ってくれるかな?」
「僕が……良いんですか……?」
「よい、そなたも我が大事な息子だ」

 僕はそっと、小さな赤ん坊を触ろうとした。
 その小さな手が僕の指を先に掴んで笑う。亜人の子、周りからは忌み子と言われていた種族、その笑顔にの何かか壊れた気がした。

 これは夢だ。
 俺があの時に思った夢、そうあの時に誓ったはずだ。


 ◇◇◇


 薄暗い部屋で目が覚めた。
 体を動かそうとすると両腕に力をいれるが動かない。

「頭は動くようだな……」

 なるほどな……牢獄だ。
 両手を天井に向けて固定されている、足のほうは固定されてないが座る事もできない。

 思い出せ……昨夜はシンシアを城に連れて行く途中に呼び止められたのだ。
 滅多に聞かない人物の声に驚き振り返ったのは覚えている。

 警戒はしていたはずだ。

 しかし俺自身に何かをする人間ではないので、油断していた。

 クソッ!

 何が親衛隊隊長だ……。

「誰か居ないかっ!」

 俺は大声を叫ぶ。
 声が反響した……となると地下か、それに近い場所。

 コツコツと足音が聞こえてくる。
 その音が大きくなり人影が見えて来た。

「お目覚めになりましたか?」

 見知った女の声が俺の耳に届いた。

「久しぶりに良く眠れた気がする感謝を、姉上あねうえ
「それは良かったですわ、欲しい物などあれば……おお、怖い怖いそんなにらみ付けるようなお顔をしないでください。可愛い弟なんですから」
「俺の言いたい事はわかるだろう」
「ええ。亜人の護衛など嫌な仕事を、貴方は王子なんですから」
「…………俺の王位継承権は既に無い」
「なぜですの? わたくしは第二王女として席はありますわよ。ですから彼方にもあるはずです」


 昔とさほど変わらない顔で俺に喋りかけてくる。
 どの口が言うんだ……。
 ああ、そうさ。
 確かに姉上は第二王女としての席はある

 国外追放された第二女王ははおやが泣いて頼んだからな。

「シンシア姫は無事なのか?」
「まぁ…………忌み子をまだ姫というのですか? 弟ながらお優しいですね」
「生憎と、王位継承権は返したので失礼をマーズ


 俺の嫌味を聞いて、顔が苦虫を潰したようになっている、ざまあみろ。


「いやはや、時期王としては教育がなってませんな」


 姉の背後から、男が一人出てきた。
 顔に見覚えはないが、姉の新しい彼氏だろう。
 だから女王に言ったんだ、さっさと姉の王位も剥奪して追放しろと。

「姉の趣味にしては貧相な男だな」

 軽い挑発に、男は鼻の先で笑う。

「お初にお目にかかる、錬金術師れんきんじゅつしのパペットと申します」
「俺が時期王ならば、もう少し待遇をよくして欲しいもんだ」

 鎖に繋がれた腕を見せ付ける。
 パペットは唇へと手をやると、薄汚く笑い出す。

「コレは失礼、まだ親衛隊隊長という事でしたので、なにコトが終われば王として頂点にたって貰いますゆえ、失礼」
「ねぇガルド、偽女王ばかり贅沢な暮らしって不幸と思わない? わたくしも彼方も正当な王の血筋があるのよ。この国を作り直しましょう?」 
「シンシア姫は無事か?」


 俺の言葉を聞いて姉上は黙り込む。
 薄汚い錬金術師という奴が横から口を出して来た。

「大事な商品ですから無事でございます、未来の王よ。それではマーズ行きましょうか、数ヶ月もすれば考えも代わるでしょう」
「そうね……良い返事を待っているわ」


 コツコツコツと二人が足音を立てて遠ざかる。
 俺はその音を静に聞く。


「忌み子に王。それに血筋か……」


 俺の母親は元第二夫人だった。元というのは追放された、今はどこかで幽閉でもされているのか、生きているのかも謎。

 事の発端は、シンシアが生まれた時だ。

 シンシアの体は亜人だった、王家には過去に亜人の血が混ざっている。何代かに数人そういう人間が生まれてくるのは知っていた・・・・・

 当然姉も母もそれは習っていったはずだ。が、俺の母親は習っていなかったのかもしれない。
 王が諸国にいる間に、第一女王であるパトラに不義理をしたと訴えたのだ。
 簡単だ、諸国を検分している王は人間と変わらない。亜人の子など生まれるはずが無いと言うだけである。

 つまり亜人と不貞儀を起したと広めたのだ。

 結果どうなったかと言うと、俺の母親は国外追放。
 幸い子である俺や姉はパトラ女王の計らいで国にとどまる事が出来た。

 俺は元から姉や母みたく王位なんぞに興味はない、あの時見たシンシアの顔を守りたいと思ったのを伝え、面倒な王位など返上した後に兵士へとなった。

 姉であるマーズはパトラ女王やその子供達を憎んでいる。
 幸い第一王女は王と一緒に国外にいる、だから城で声を掛けられた時俺は何故こんな場所に姉がいるんだと、一瞬思考が停止してしまったのだ。

 後は黒い霧に包まれて気づけばか……。
 情報が欲しい。
 シンシアは絶対に助ける。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!

白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。 辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。 夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆  異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です) 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆ 

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

異世界転生した私は甘味のものがないことを知り前世の記憶をフル活用したら、甘味長者になっていた~悪役令嬢なんて知りません(嘘)~

詩河とんぼ
恋愛
とあるゲームの病弱悪役令嬢に異世界転生した甘味大好きな私。しかし、転生した世界には甘味のものないことを知る―――ないなら、作ろう!と考え、この世界の人に食べてもらうと大好評で――気づけば甘味長者になっていた!?  小説家になろう様でも投稿させていただいております 8月29日 HOT女性向けランキングで10位、恋愛で49位、全体で74位 8月30日 HOT女性向けランキングで6位、恋愛で24位、全体で26位 8月31日 HOT女性向けランキングで4位、恋愛で20位、全体で23位 に……凄すぎてびっくりしてます!ありがとうございますm(_ _)m

【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。

樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」 大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。 はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!! 私の必死の努力を返してー!! 乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。 気付けば物語が始まる学園への入学式の日。 私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!! 私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ! 所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。 でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!! 攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢! 必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!! やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!! 必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。 ※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。

処理中です...