グラン王国の錬金術師 if 悪役錬金術師に転生してました!

えん水無月

文字の大きさ
98 / 209

94 身代わり君

しおりを挟む
 南国の風から心地よい穏やかな風に吹かれ、季節は秋へと変わっていんだなーと思う。
 無事グラン王国へ入った私達は、コタロウの親へと一応挨拶をして直ぐに別れた。
 あとはノンビリと馬車の旅である。
 近道を通る必要もなくゆっくりだ。

 私が荷台で、ガルドは御者の代わりだ。
 旅してみると、私を様付けで呼ぶ割に、横柄な態度が目立つガルドであったけど、意外に気を使ってくれる。

 野営はもちろん、宿や船でも部屋は別だし。
 邪魔にならない所で自己訓練もかかなさい。
 元の顔がいいのか、町で買い物をしてもオマケをして貰っている。

「エルン様、門が見えたようだ」
「本当? 嘘じゃないでしょうね」
「ここで嘘を付いてもしょうがない」
「ええっと……熊の手の酒場にヘルン王子からの手紙を渡して、あとは自由にだっけ?」
「そう聞いている」
「じゃ、そのように手配して」


 私は身支度を整えしながらガルドへ命令をする。
 グラン城下町で手続きをして、早速熊の手に行ってブルックスへと手紙を渡す。
 事の顛末てんまつを書いた手紙らしく、王の下へ届けられるそうな。
 後は個人的にお土産を渡して家へと向かった。

 なんだかんだで二月近く空けていた事になる、もちろん手紙を送っているので心配はさえていない。

 はずだ。

 ナナからは何時帰って来るんでしょうか? と何度も手紙が来たような。

 私の姿を見た、家の門番が敬礼をして来た。
 やっほーっと手を振って話しかける。

 一瞬身構えたような顔をした家の門番に笑顔を返すと、引きつりながらもう一度敬礼を返してくれた。
 これでも馴れたほうなのよ。

「ええっと、この人はガルドって言って私の召使いなみたいな人で護衛や警備、雑用といった事をする人。
 立場上はノエと同格かノエよりちょっとしたって事で。
 あとソコソコ強いから訓練してもいいし、しなくてもいいし。それとお土産は後で届けさせてるから、適当にわけて」

 ひらひら~と手をふって挨拶を終える。
 エルン・カミュラーヌが男を連れ込んだ! と噂されたら面倒だ。
 異国で拾った召使いならまだましだろう。

 ん? 本当にましなのか? どっちにしろ男を買ってきたって噂されるような……。

 バタン!

 突然扉が開いて、前に歩いていたガルドが頭を打ちつけた。
 出て来たのは、可愛いメイド服の専属お手伝いさん。

 
「エルンおじょうさまあああああああああああああああああああああああああああああああああああああげっほげほほほげほ」
「うお、の……ノエ」
「おかえりなさい、おかえりなさいませ。突然扉を開けて申し訳ございません。
 見ず知らずのおかたエルンおじょうさまの護衛ありがとうございました、それでは失礼し」
「まったまった、この人はガルドっていってノエと同じ召使いで雇ったのよ」


 おでこを押さえたガルドは立ち上がり、ガルドだと、自己紹介を始める。
 ノエの顔が青ざめていく。


「…………も、もしかしてノエは要らない子ですか?」
「なんでそうなるのよ」
「ノエが小さいから、ノエが女性だからエルンおじょうさまを満足にっ――――」
「まったまったまった! 何変な事いうのよ! こらそこの門兵こっち見ない!」

 私の注意に門兵があさっての方向を見る。

「だれよ、ノエに変な事吹き込んだのは! 誰か来たのね」
「ええっと、先週あたりにナナさまと、ミーナさまがお訪ねに」
「………………だめよ、変な人の言葉真に受けたら」
「で、俺はどうしたらいい?」
「あ、ごめん。ええっと、改めてこっちがノエ」
「なるほど、ノエ先輩よろしく頼む」
「せっせんぱいっ!」

 年上の男性に先輩と呼ばれ、驚いた顔をしているが、ちょっと嬉しそう。
 気持ちはわかる。
 私も、転生前の学校で下級生に呼ばれたときは嬉しかったと、思う。
 まー記憶ないんですけどね。


「年齢は俺のほうが上かもしれないが、仕事に対してはノエ先輩のほうが上だ。何もわからないのでよろしく頼む」
「はっはい!」
「じゃぁ部屋は悪いけど、外にある使ってない物置を改築して、材料費は全て出すから好きに使って、細かい給付金はノエより一割低いって所で」
「当然だ」


 というものの、部屋は余っているので、ノエの隣でいいってガルドに聞いた所、一緒に住むのか? と逆に聞き返された。
 そりゃ通いよりお金掛からなくていいだろうと思って言った言葉だけど、年齢的にいくら召使いとはいえ一緒に住んだら不味いだろうと言われた。

 ちなみに年齢を聞いたら二十を越えた所らしい。

 別にコタロウみたいな人間と一緒に住むのじゃないんだし、襲うつもり無いならいいのにと思うんだけどねー。

 下心が見え見えの人間は追い出すしと、説明はしたんだけど。
 俺も男だと謎の説明をされて私が折れた。

「じゃ、そういう事でノエ後はお願い。ノエが出来ない所、力仕事が居る場所、そういう場所を教えてあげて」
「任せてください! せ…………せん、先輩として頑張ります!」
「よろしく頼む」


 ガルドはノエに任せて自室へと向かう。
 久々のベッドに倒れこんだ。
 お日様の匂いがするって事は、掃除してくれているのがわかる。

 開けはなれた窓から黒い物体が飛んでくる。

「あら、カー助おひさしぶり」

 外からカー助が帰ってくると、室内にある止まり木にとまり一鳴きする。

「エルンさアアアアアアアアあああああああんんんんんんんんんん」

 私はベッドから飛び起きる、ついさっき同じ様な声を聞いた。
 何所から!?

 ごっふ。

 私は横腹に衝撃を受けてベッドへと倒れた。

「おかえりなさい!」
「た……ただいま。ナナ」

 私は窓から入ってきたナナへ挨拶をする。
 ベッドの近くには飛んでるホウキが落ちていた。

「はい、学園にいたらエルンさんから手紙が来たとかで若しかしたらって飛んできました」
「文字通り飛んできたのね……」
「はいっ!」
「でも、今度から玄関からお願い、一階にお土産あるから一緒に行きましょう」

 慌ててナナは謝りだす。
 廊下に出ようとして、私は盛大にこけた。

 足の小指が扉にあたったのだ。

「エルンさんっ! 大丈夫ですか!?」
「う、うん。痛みはなかったわね……」
「あっ……」

 腰から何か落ちてきた。
 肌身離さずもっていた『身代わり君』その藁人形が光り輝くとくずれて落ちた。

 身代わり君。
 ナナからもらったレア度S級のアイテムであり、効果は名前の通り、使用者が死に直結する物理的ダメージを一度だけ身代わりしてくれるアイテムだ。

「ちょ! 今の一撃で発動ってどういう事よおおおお!」
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!

白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。 辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。 夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆  異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です) 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆ 

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

異世界転生した私は甘味のものがないことを知り前世の記憶をフル活用したら、甘味長者になっていた~悪役令嬢なんて知りません(嘘)~

詩河とんぼ
恋愛
とあるゲームの病弱悪役令嬢に異世界転生した甘味大好きな私。しかし、転生した世界には甘味のものないことを知る―――ないなら、作ろう!と考え、この世界の人に食べてもらうと大好評で――気づけば甘味長者になっていた!?  小説家になろう様でも投稿させていただいております 8月29日 HOT女性向けランキングで10位、恋愛で49位、全体で74位 8月30日 HOT女性向けランキングで6位、恋愛で24位、全体で26位 8月31日 HOT女性向けランキングで4位、恋愛で20位、全体で23位 に……凄すぎてびっくりしてます!ありがとうございますm(_ _)m

【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。

樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」 大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。 はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!! 私の必死の努力を返してー!! 乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。 気付けば物語が始まる学園への入学式の日。 私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!! 私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ! 所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。 でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!! 攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢! 必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!! やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!! 必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。 ※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。

処理中です...