グラン王国の錬金術師 if 悪役錬金術師に転生してました!

えん水無月

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99 物的証拠は無かった!

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 心配そうな顔をしたリュートの前に戻ってきた。

「待たせたわね」
「本当に大丈夫かい」
「大丈夫よ」
「ならいいんだけど、マギカも顔が赤いな……熱でも」
「無いですわ!」


 大声で言うマギカの声にリュートはちょっと下がった。
 そう、何とかマギカを説得し終わった。

 私は女性に興味ない! と説得する事と学園からの特別な任務を受けて盗撮犯を探していると説明した。
 本当は学園というかディーオからだけど別に嘘は言っていない。

 個室を出た瞬間に入ってきた女生徒が、私達を見て驚いていたけど目が合ったら、顔を真っ赤にして逃げて行った。

 いや、本当に違うからね! 私もノーマルだからね!?

 マギカも盗撮は許せないと怒り出し、協力してくれることになった。
 もちろん、ものがものだけにリュートには内緒。
 選択肢としてリュートも巻き込む事も出来たんだけど、となるとだ、この写真を見せないといけないし、カメラ……じゃなかった遠見の水晶や転写のカードが見つかった時に、それも見せなくてはならない。
 
 被害者だって男性に見られたくないでしょ。


「じゃぁ行こうか。エルンどこか寄りたい所はあるかな」
「そうねぇ……女子更衣室?」

 ボソっと呟くと、リュートも困惑した顔で返事をしてくれた。

「…………見ても面白くないと思うけどな」
「リュートお兄さま、マギカも見に行きたいです!」

 私達のお願いにリュートは真面目な顔になる。

「マギカもか、案内ぐらいは出きるけど理由を知りたい。エルンがそういうには何かあると思う、エルン……少しでも力になりたいんだ」

 げ、変な所で鋭い!
 あ、そうだ。確かリュートが出る騎士科の試合って明日だったわよね。


「別に、明日の試合で応援するのに着替えたいじゃない」
「なっ…………応援してくれるのか」
「時間が空けばね。それまでにこっちの屋台が売り切れればだけど」


 今日のノルマが売り切ったとしても、残り三千本近くはある。
 売り切る頃には試合も終わってそうな気もするけど、約束だけはしておこう。


「リュートお兄さま! マギカもチアガールの格好して応援します」


 リュートは、エルンがチアに……とか呟いているけど、着替えないわよ?
 時間が合えばだからね。


「案内しよう」
「ちょ、リュート早く歩きすぎよ」
「はっはっは、こういう事は早くするべきと思うんだ」


 何かキャラ変わってない?
 私もマギカも小走りに付いていく。



 ◇◇◇


 案内された女子更衣室に二人ではいる。
 時間帯が丁度よかったのか、部屋の中には誰も居なかった。
 鍵の付いたロッカーが並んでおり、生徒は誰でも使えるタイプの更衣室である。


「ええっと、何所を調べれば……」
「こういうのはロッカーの上や足元の箱とかが定番なのよ」
「…………もしかして、やった事あるんじゃ。そういえばお手洗い所でも的確に場所を」
「ば、違うわよ! そういうのが決まっているのよ。ほら床を探して! 私は上を探すから」


 下はマギカに任せて棚の上などを調べる。
 用具入れと書かれた箱があった。あやしい……それに、良く見ると不自然に穴が開いてある。

 箱を掴んで中身を確認する。

「びんごっ!」

 大きさは野球ボールぐらいの丸い水晶玉が入っていた。
 手に取ってみると思ったよりも軽い。あとは本物がどうかよね。

 こう見えても、私だって錬金術師。こういう道具の使い方はわかるのだ!
 …………ナナから教えて貰っただけだけど、錬金術師が作るアイテムというのは万人でも使えるように作るとかなんとか。
 適当に触れば何かあるでしょ、ほら、この水晶だってちょっと凹む場所あるし。

 適当にカチカチと連打する。

 突然映像が始まった、チアガールの服を着た女性数人が服を脱いで再生で制服へと着替えていく。

 なるほど逆再生ね。

 もしかしたら、犯人の顔も映っているんじゃないかな。

 カチカチカチカチ。

 巻き戻しが早くなった、チアガールから制服に、水着から制服に着替えていく女生徒が高速で写し出されている。


 もっと早くならないかしらね。


 カチカチカチカチカチカチカチ。


 凄い勢いで逆再生され最後に顔を隠した人間が映ると、水晶にヒビが入った。
 一瞬であるけど、剣をクロスさせた模様が入ったカフスボタン袖にあるボタンが見えたようなきがした。

「やば」
「どうしたのですか。あ、あなた! 壊しもごもごもご」
「壊したのじゃなくて、何もしなくて壊れたのよ! それにこういう馬鹿みたいなアイテムは壊したほうがいいのよ」


 ワタシナニモシテナーイ。
 サイショカラコワレテマシターネー。


「知ってます?」
「何がよ」
「遠見の水晶って、その性能から白金貨二十枚はくだりませんのよ……」
「…………」


 私は壊れた遠見の水晶を箱に戻して、その箱もロッカーの上へと戻した。
 何をしているのかと、マギカが言うけど私はそれを無視する。

「ふー、怪しい所にはナニモ無かったわね」
「ちょ」
「無かったわね!」
「ひぃ。そ、そうですわね! ですから、目力がこわっ怖いです」


 よし、押し切った。
 私が壊したってばれて、何かの拍子に弁償ってなったら面倒すぎる。
 ってか、白金貨二十枚ってこの学園祭での私の取り分と一緒じゃないのよ、お金が無いわけじゃないけど変なのには払いたくないわよ。

「じゃ、次の場所にいきましょ」
「わ、わかりましたからマギカの腕を引っ張らないで取れます!」


 更衣室前にでると、少し離れた場所に女生徒に囲まれたリュートが居た。
 呆気に取られて、マギカの腕を放すとマギカがその集団へと突進していく。

「リュートお兄さまー!」

 リュートはタックルに見えるマギカの突進を、綺麗に受け止めるとマギカの頭をなでなでし始める。
 それを見た周りの女性達が私も私もと手を上げていく。


「エルン!」
「お待たせしましたわーっと」

 周りの女性達が私を見ると小さくささやき出す。ってかささやくと言うよりは声大きいわよね。
 げ、元カノ。悪人面。あの顔の何所がいいのかしら。
 お金で釣ってるのよ! とか小さい声が聞こえる聞こえる。


 ドン!


「他人の悪口、それも集団で攻撃する女性には興味ない! 離れてくれ!」

 リュートが珍しく怒ると、周りの女性達が青ざめていく。
 うーん、正義感多いわよね。
 別にこんなの気にしていたら仕方がないのに、いや、言われるのはしゃくに触るわよ?
 でも、実際転生前に悪い事していたしなー、なんだったら聞こえるように言う勇気も認めてあげれば良いのに。

 スタスタと腰にマギカを着けたまま私の近くへと歩いてくるリュート。

「ごめん、嫌な気分にさせた」
「別に……」
「何の騒ぎだ!」


 真っ白な制服を着た子豚もとい、男子が私達の前に現れた。
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