グラン王国の錬金術師 if 悪役錬金術師に転生してました!

えん水無月

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98 二日目 昼の部 マギカ参入

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 エプロンを外して小さく畳む。
 時刻は昼のラッシュが終わった所だ。
 順調に売り上げて、これなら私が抜けていても大丈夫そうね。
 ナナとノエに休憩するわねと伝え、背伸びをするとリュートが走ってきたのが見えた。
 私の前まで来ると息を整える前に話し出す。


「エルンお待たせたっはぁはぁ……」
「待ってないけど、どうしたのよ……そんなに息を切らして」
「急いで来た」
「なんで?」
「何でってエルンと一緒に回りたいからだ」

 歯をキラーンとさせて微笑むリュート。
 ちょっと前の私ならクラっと来たかもしれないわね、現にリュートを遠巻きに見ている女生徒が倒れそうになっている。

「まぁいいけど、あんまり人を困らせないようにね」
「エルンの口から聞くとは思わなかった……」
「どういう意味かしら!」
「ご、ごめん。行こうか評判の模擬店があるんだ」


 私とリュートは中庭を抜けて廊下を歩く。
 私の前にいる生徒達が自然と左右に分かれていくのは、どこかのモーゼかっと突っ込みくたくなる。
 でもまぁ……。

「こうやって二人で歩くのは懐かしいわね」
「そうかい? あの頃の俺はエルンの背中ばかり見ていたきがするよ、やっと横に並べれたかなって思うんだ」
「まーた、歯の浮くような台詞ね、プロポーズと勘違いされるわよ」
「…………そ、そうだね」
「それよりも、ちょっと化粧を直してくるわ」


 化粧を直す、別に本当に直すわけじゃなくてトイレ、お手洗いの事だ。
 私は近くのお手洗い所へと入る。
 トイレの話になるけど、この世界ってか、この学園は水洗トイレである。
 なんでも八年前に偉大なる錬金術師が設備の元となるのを作ったらしい、なんとなく誰かはわかったけど、確認はしてない。

 おかげで、私の家も現代日本と変わらずレバー一つだ。
 配水管とか無いのに錬金術とは便利な物である。

 大きな鏡の前では女性達数人が化粧を直している。
 私は一番奥の個室へと入った。
 壁や備え付けの物の裏などをみても水晶玉は見つからない。
 ってか、大きさを聞いてくるのを忘れた。
 
 個室を出ると誰も居なく、同じ事を他の個室二つにもおこなった。
 うーん、無いわね。
 とりあえず来た時間をメモしてトイレから出た。

 リュートの隣に少女が立っている、その手はリュートの腕を引っ張っているけどリュートは動こうとしない。
 可愛い格好をしている子ね、それにしてもどこかで見た事あるような。

 
「おまたせーって」
「出ましたわね、悪役令嬢!」

 
 あ、思い出したわ! 確か従妹の……。


「名前なんだっけ?」
「マギカ! マギカ・ランバードですわ!」

 ああそうだったわ。
 リュートの母親であるエレファントさん、その弟の娘、私に料理をぶちまけた後にこってり絞られたと聞いている。
 そのお詫びに精霊ちゃん屈服……いや採取セットを貰ったのだから、結果的には悪くは無い。

 他にも家出をした後に助けた事もある。
 あの時のリュートとディーオは不覚ながらもかっこよかったわね。

 お兄ちゃん大好きっこで、性格が捻じ曲がってる子なのだ。


「で、その性格捻じ曲がってるマギカが私に何のようなのよ」
「ぶっ、エルン……それはストレートというか」
「ひ、ひどいですリュートお兄さま! マギカと学園祭を回る約束があったのに!
 それに、捻じ曲がっている女性なら目の前にもいるじゃありませんかっ」
「誰が捻じ曲がってるのよ!」
「誰とはいってませんー!」


 あの一件で少しは素直になったかと思えば、そんなに変わらないわね。


「約束あったのなら譲るわよ」


 私がリュートへと顔を向けると、暗い顔になってマギカは明るい顔になる。
 私だって別に先約がいるのに無理に一緒には回ろうと思ってないし、入れる場所が限定されるのは仕方がないとはいえ、しょうがない。

「約束は無い! マギカも嘘をつくな。俺は約束があるって言っていただろ」
「そんなのしらないもん……」
「その、そんな目で俺を見るな」

 うわ、泣きそうになってるわね。

「とにかく、俺はエルンと回る。マギカは母とでもまわったらどうだ」
「今日来ないし……」
「じゃぁ、一緒に回る?」
「「本当に!?」」

 私の提案にマギカがとリュートが同時に、叫ぶ。

「別に二人っきりで回らないと、いけないわけじゃないし」
「いや、学園祭で最後に立ち寄る場所が……」
「何かあるの?」
「いや、特に無い」

 何か歯切れは悪いわね。

「マギカは?」
「マギカはお兄さまと一緒に回れれば、目をつむってあげますわ!」
「じゃ、そういう事でリュートよろしくって、何溜め息ついてるのよ」
「気のせいだよ」


 リュートの案内で私達は歩き出す。

 私は模擬店を手伝ったけど、他にもクラスで劇をしたり音楽をしたり、騎士科は演武えんぶを行ったり、練習用の剣を使い試合などもしてるらしい。

「俺の試合は明日なんだ」
「へぇがんばってね」
「…………ああ……、そうするよ」

 いつの間にか買ってあった綿飴わたあめを口に入れ、説明を受けた。



 ◇◇◇

「と、言うわけで化粧直しいいかしら」
「またですの!? もう六回目ですわよ!」


 マギカが私を見て驚く。
 いやだって、女性用トイレ思ったよりも多くて。
 参ったわね、これなら一人のほうが良かったようなきもする。

「マギカ、大きな声で言うな」
「別に怒っていわるわけじゃ……その、調子がよくないなら保健室から薬貰ってきますけど」
「痛くはないわよ、むしろ健……いえ、大丈夫大丈夫、直ぐ戻るから」


 お手洗いの場所へ急いで駆け込む。
 開いている個室に入り、チェックをするが何も見つからなかった。
 私が個室の扉をあけると、誰かにぶつかる。

「いったっ」
「あれ、マギカ」
「あれ、じゃありませんことよ!」
「もしかして、心配で見に来たりした?」
「べ、べつにお兄さまに見て来いって言われたわけじゃ無くて、その、あの、あの時のお礼もまだ言ってませんでしたし。本当にお辛いなら馬車を手配してあげてもいいですわよ!」
「おお、ツンデレだ」
「ばっ! 馬鹿にして、あら何か落としましたわよ、ハンカチ……?」

 私の足元からハンカチではなく、カードを拾うマギカ。その上半身裸の女性の写真を見て言葉が失ってる。
 私と写真を交互に見始めた。

「ええっと」

 私が口を開くと、マギカは半歩後ろに下がった。

「な……」
「実はね……」
「何も、見てませんわっ!」

 見てないと言いつつ、目線は写真をみてるし、しっかりと握っている。
 ディーオには秘密にと言われたけど、説明するしかない、後で謝ろう。

 私は後ろに下がるマギカの手をさわ……避けられた。

「いいから、話を聞きなさい!」

 逃げられないように両腕を掴む、口も煩いわね。

「い、いや! この体はリュートお兄さまの、誰かっ! 私はノーマルなので……むぐぐぐ」
「何勘違いしてっ。良かったわ、トイレに誰も居なくて」


 私は個室にマギカを連れ込むと、個室の鍵を直ぐに閉めた。
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