グラン王国の錬金術師 if 悪役錬金術師に転生してました!

えん水無月

文字の大きさ
119 / 209

115 水洗トイレ

しおりを挟む
 塔は上半分が崩壊し、いまは様々な魔物達が修復に励んでいる。
 私とリュートは単眼のメイドに助けられて外にいた。

 暫く休憩した後に、こちらへどうぞと誘われていくと。
 満天の星空のした。簡易テーブルには目の前には黒い鉱石と紫の草など様々な材料が詰まれているのがみえる。

「ええっと?」


 先に来ていた包帯まみれ・・・・・・のリオに目を向けると、不機嫌そうな顔でこっちをみる。


「アレから聞いた、素材が欲しいんだろ。さっさともって帰れ」
「あ、ありがとう。その傷は大丈夫?」
「心配いらん、部下が大げさに巻いただけだ」


 リオの背中にそっと忍び寄る影が見えた。
 私が注意するまもなく、ミーナはリオの包帯をツンツンする。


「いっ!」
「うわー、痛そう」
「コロス!」


 まったく傷がないミーナが走り、包帯だらけのリオも走っていく。

「仲いいわよね」
「はい!」
「うわ、びっくりした」


 単眼のメイドが私の横に立っている。


「リオお嬢様は過激で馬鹿ですけど、人を見る目は確かです。ああやって、うさんくさい錬金術師ミーナへ攻撃してますが、どれもこれも最後は手加減しています。
 別に、この素材だって用意する必要すらないのに手配はしますし、指輪だって取り上げればいいのに絶対にそれをしません。
 毎年毎年結界を強化とか、本当愛らしいです」
「そ、そうなの?」


 私が疑問を口にした瞬間、空が光る。

 立て直している途中の塔が吹っ飛んだ。
 ここまで飛んでくる瓦礫を単眼メイドは弾いてくれる。


「少々喧嘩癖もありますが、あれで、あのえたいの知れない錬金術師がこなかった数年など妙にソワソワしてたりもするんです」
「おい、ノリス! 私は別にそんな事思っていない」
「ありがとうリオちゃん、今度はマメに魔界にくるね!」
「来なくていい!」
「えーっと…………ご愁傷様」


 かける言葉が出なくて精いっぱいの慰めをすると、頬を膨らませて離れていった。
 単眼メイドがテーブルにあった素材を鞄に詰め込むと、それらをリュートへと渡す。


「お帰りは、あちらの小屋から帰れます」


 あちらと言われた小屋をみると、ゴミ捨て場と書いてある。


「ゴミ捨て場ってみえるですけどー」
「はい、地上から降ってきたゴミを捨てる場所です。
 前回の教訓を生かし一方通行ですが、中の魔方陣に乗っていただくと、外からレバーを引けば戻れますので」

 何かを思い出したように、単眼メイドは手を打った。


「お二人とも指輪を」
「げ、ばれてる!?」
「エルン……」
「は、口にっ」


 私とリュートは指輪を渡した。
 これでもう魔界には来れないだろう……単眼メイドは指輪を受け取ると大きな瞳で宝石を覗き込む。


「なるほど、複製されてます。これなら結界を通れたのは納得します。
 こちらをどうぞ」


 単眼メイドは私達に黒い宝石がついた指輪を渡してくれた。


「え、回収してもう魔界にはこれないんじゃないの?」
「その宝石部分をおしゃぶりのように舐めてください、舐めまわしてください、もうねっとりと」
「え。いやなんですけど」


 ちょっと引く。
 なぜに、舐めまわさないといけないんだってか、顔を合わせたリュートが少し赤面してるし。


「いたっ」
「別にそこまでしなくていい」
「あ、リオ」


 包帯だらけのリオが単眼メイドの頭を叩いて立っている。
 周りにミーナが居ないという事は……?


「アレは西の山まで吹っ飛ばしてきた、数時間は起き上がってくるまい。
 その指輪に唾液や血液をつけておけって意味だ。
 一舐めでいい、魂の情報が記憶され、今度はその横に出るはずだ」


 リオは小屋の横を指差す。
 なるほど、それなら安全だ。


「また遊びにこい、今度は持てなす」
「訳すると、遊びに来ないと寂しくて死にそうです」
「ノリス……」
「なんでしょうか? 主人様?」
「減給」
「そ、そんな、こんなにも主人の事を思っているメイドは魔界といえと居ませんよ!」
「カガミがいる」


 たぶん、リザードマンの人ね。でもメイド服着ていたからリザードウーマン?
 っと、漫才が終わらないので一声かける。


「で、これでいい?」


 指輪の宝石を小さく舐めると、リオも単眼メイドも頷いた。


「ああ、何時でもこい。割と暇だ」
「思ったんだけど、そんなに暇なら地上にくればいいのに……そりゃ人間に近いタイプじゃないと問題あるだろうけど。
 亜人もこれるギルドも作ってる途中だし、リオなら耳さえ隠せば平気なんじゃないの?
 それに、その……ヘルン王子とも会えたんじゃ……」
「エルン、リオさんには深い事情があるんだ。そういう事は」


 リュートに注意された。
 そうよね、地上にいけるなら言ってるだろうし。悪い事を聞いた。


「あ、ごめん。地上に出れない決まりもとかもあるのよね、よくしらないのにごめん」
「なっ」


 私とリュートの謝罪にリオは固まっている。
 なぜに?

 単眼メイドが、うんうんうんと何度も頷く。


「流石は、ご主人様が目をつけた人間です。
 そうなのです、ご主人様は馬鹿なので、そんな事も気づかなかったのです。
 今はショックで固まっているだけなので時期に解けるでしょう。
 ささ、その材料を取りに来たという事は待っている人もいるのでしょう、どうぞお急ぎを」


 私達は小屋に中に通された。
 魔方陣が書いてありその上に立つ。
 小屋の窓からレバーをもった単眼メイドがいきますねーと言うとレバーを引いた。

 なんとまぁ、トイレを思い出す。
 汚いし口には出さないけど……ってか、なんであの単眼メイドは鼻つまんでるのよ!


「臭そうですし」
「臭くないってか、なんで考えてる事わかるのよ!」
「メイドですから」
「エルンそれよりも、視界が」


 リュートの言葉どおり、景色が揺らぐ。
 水中にはいって目を開いた時に似てる感じだ、それが段々と酷くなり酔ってくる。


「きもぢわるい、吐きそう」
「ちょ、エルンここで吐くのは……」


 気づけば、川沿いに座っていた。
 直に水面にいくと、胃の中身を出す。


「ふー…………すっきりした。ここはどこよ」
「精霊の森の南かな、この先に滝がある」


 やっぱりゴミ捨て場というより水洗トイレ。


「なるほどね、ゴミを流すには便利な所ね……いつの間にか太陽も上がってるし帰りましょう。ミーナは放置しても大丈夫でしょ、材料は貰ってきたし」
「そういうものかな?」
「そういうもんよ」

 鞄を背負ったリュートと共に学園目指して歩く事にした。
 

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!

白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。 辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。 夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆  異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です) 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆ 

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

異世界転生した私は甘味のものがないことを知り前世の記憶をフル活用したら、甘味長者になっていた~悪役令嬢なんて知りません(嘘)~

詩河とんぼ
恋愛
とあるゲームの病弱悪役令嬢に異世界転生した甘味大好きな私。しかし、転生した世界には甘味のものないことを知る―――ないなら、作ろう!と考え、この世界の人に食べてもらうと大好評で――気づけば甘味長者になっていた!?  小説家になろう様でも投稿させていただいております 8月29日 HOT女性向けランキングで10位、恋愛で49位、全体で74位 8月30日 HOT女性向けランキングで6位、恋愛で24位、全体で26位 8月31日 HOT女性向けランキングで4位、恋愛で20位、全体で23位 に……凄すぎてびっくりしてます!ありがとうございますm(_ _)m

【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。

樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」 大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。 はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!! 私の必死の努力を返してー!! 乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。 気付けば物語が始まる学園への入学式の日。 私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!! 私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ! 所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。 でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!! 攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢! 必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!! やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!! 必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。 ※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。

処理中です...