グラン王国の錬金術師 if 悪役錬金術師に転生してました!

えん水無月

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120 魔族と交流会

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 酒場熊の手に来ている。
 だってナナの家の近くで、尚且つ午前中に入れるお店がわからなかったから。

 深夜まで営業していた酒場の主人ブルックスを叩き起し、店にいれてもらった。
 今日は夜までは休みだから好きに使えといって、近くにある住居へ帰っていく。
 もちろん、白金貨五枚ほど渡して文句を黙らせた。


「なんでも食べて良いとは太っ腹です、どこかに主人とは大違いです」
「なるほど、人間にもてなされるのも悪くない」
「それはいいけど、その糸の話をききたくて、話の結果によっては、譲って。
 いや、買い取らせてほしいのよ」
「だ、そうだノリス」


 ノリスは首を軽く振る。


「これは、譲れません。
 人間の男と、ご主人が一晩寝るために使うのです。もうお互いに糸を結べば大解放、お祭り騒ぎです」


 ノリスが言い切った後に、テーブルが二つに割れた。
 割ったのは、リオで私とノリスに、
「ばば馬鹿な事いうな! 私は遠くてアイツの顔を見えればそれでいいって」
 慌てて言い出した。


「そもそも、この糸って離れても、つけた物どうしは喋れる糸と、き、きいたぞ!」
「あっ」


 ノリスは悪びれた様子も無く、舌を出して、私の勘違いでしたと謝った。


「えっとね、その糸は――」


 数日の事を伝える。
 コタロウが糸を紛失した事と、私の友人や知人がその糸に操られ大変混乱してるという事。
 流石に男同士と、女同士と言う所は伏せる。
 話を聞いたリオの表情が曇る、眉間にシワをよせるとノリスをきつい眼でにらんだ。


「ノリス、お前はまた……」


 リオの人差し指を立てると、その指先に黒い炎が宿る、その炎がぐるぐると回り大きさを増していった。


「ちょ、こんな小さい店でっ」


 よくわからないけど、お店が吹っ飛ぶ。
 ノリスが涙声で喋りだした。


「ご主人の幸せを願ってです!」


 ノリスの必死な叫びに、人差し指の炎は小さくなっていって消えていった。
 私はともかく、ノリスはガクガクと体を震わせている。


「その糸を渡してやれ」
「うう、人間界に下調べしに来たら、偶然出会った男から貰った物なのに……」
「本当にごめん。この埋め合わせはなんとかするから。
 あ、そうだ。
 今城にいってもヘルンは居ないわよ。ガーランドから帰って来てないし、その帰ってきたら会うの手伝うから」
「そうなのか!? べ、べつに会いたくは……ない。その元気にしれいれば」


 もはや、口調すらも怪しいリオは置いておいて、溜め息をつくノリスに糸を返してもらった。


「本当にごめん、ノリスにも何か埋め合わせを」
「心配ご無用です、人間に心配されるほど落ちぶれてませんので、ご主人が幸せならそれでいいのです。
 なので、あのへたれの男とご主人を絶対に会わせてください」


 私は、その気迫に頷くと、ノリスも満足したように微笑む。


「ふう、さて。何か作るわよ、こう見えてもエルンさん料理できるのよ」


 まぁ焼いたり煮たりしか出来ないけど。
 厨房に入り、保存されている肉を焼いて、アルコールを適当にテーブルに持っていく。

「気がきくな」

 ビンに直接口をつけ飲む姿は、豪快もあり口からこぼれるアルコールは色っぽさがあった。
 思わずみとれると、リオが赤面しはじめた。


「ぷっはっ人間の作法なんてわからないからな……そんなにおかしいか?」
「いや、色っぽいなと思って」
「ば、馬鹿、色っぽいとか私は魔族だぞ!」
「ご主人照れてます。酒が旨いです」


 私も焼いてきたソーセージなどを口にいれて食べ始める。


「よし、では乾杯とやらをしようではないか」
「ご主人はぼっちなので乾杯の相手が何時もいないのです」
「いるわっ!」


 大声のリオを制して私は立ち上がる。


「はいはい、何回でもしますよー」


 かんぱーい。
 と、私が音頭をとる。
 くびくびとアルコールを喉に滑らすと胃の中が熱くなる。
 直につまみのウインナーをかぶりついて、チーズも食べる。
 
 旨い!

 香辛料がめちゃくちゃ効いていて作ったシェフを呼びたいわ。
 そう私だけど。

 
 ◇◇◇


 何時間いたのだろう、気づけば夕方になっている。
 テーブルの周りは酒瓶が散乱しており、その酒場に間の抜けた声が聞こえてきた。


「おいおいおい、好きにしろっていったが……」
「あ、ブルックス」
「あっじゃねえよ。あーあーもう何本飲んだんだよ。店内も酒臭いし」


 ぶつぶつ文句をいいつつ、掃除をし始める。


「さて、肝心のやつがいないなら私達は帰るとしようノリス」
「え、もう帰るんですかご主人」
「地上の観光は出来た、満足だ。
 世話になったなエルン、先ほど言っていたナナという錬金術師も我々の所に来ることを許そう」
「ありがと、じゃぁ、ヘルンが帰ってきたら連絡いれるわ」
「べ、べつにアイツと会えなくても、それにほら、結婚するんだろ……いまさら、私なんかあったって」


 はーもう、素直じゃないわね。
 ちょっとシンシアには悪いけど、こういう乙女って応援したくなるのよね。
 リオだって今更ヘルンをどうこうするってわけじゃなくて、純粋に会いたいって思っただけなんだし。
 分をわきまえているわよ、いるわよね……?
 ノリスの目が光った気がしたけど、気のせいよね。


「友達として会うなら大丈夫でしょ」
「そ、そうか。そうだな。
 私もアイツが選んだ花嫁を見てみたいし祝福をしてやりたい、これは、血に誓ってもいい」


 フラフラな足取りで熊の手を出て行く二人。
 話を聞いているのに、何も聞いてこないブルックスはさすがと思う。

「色々ありがとうね、足りない分は届けるから気兼ねなく請求書送って」
「あいよ。にしても、今朝会った時より顔色がいいな」
「ええ、だって問題が解決…………」


 ……。

 ………………。


「おい、どうした?」


 私は眼鏡越しに【運命の赤い糸】を見る。
 テーブルに両手を着いてた。


「まったく解決してないじゃない!」
「何の話だ?」
「糸よ糸! 糸を切りたいのよっ厨房を借りるわよ!」


 厨房に走っていって包丁を握る、糸を張って斬っても、糸を素通りして効果はない。
 不思議そうな顔のブルックスに眼鏡を渡し、事情を説明する。

「なるほどな」
「ど、どうしよう。これじゃディーオとリュートが」
「それはそれで面白いな、正気になった時にからかってやろう」
「…………たしかに。
 じゃなくて! これを切れるハサミがいるのよ!」
「しかしまぁ、エレファントがもう解決してるんじゃねえか?」
「え、なんで」
「あいつの元職業覚えてないか? 学園の錬金科の教師だぞ」


 あ…………。

「ごめん、ちょっと行ってくるー!」


 背後から嵐のほうが静かだなと聞こえたような気がしたけど、構ってはられない。
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