グラン王国の錬金術師 if 悪役錬金術師に転生してました!

えん水無月

文字の大きさ
153 / 209

149 あっけない結末

しおりを挟む
 軽い昼食を取ると私は馬車を呼んでもらって、学園へ行く。
 困った時になんでも相談に乗ってくれる人を私は知っているからだ。

 何時もの部屋で何時もの扉をノックする。

 二度目のノックをする。
 反応が無い、おかしいわね。

 三度目のノックをする。もはやノックというよりは強打だ。
 反応が無い、なんだと……。


「ちょっと! 居留守は酷くない? ねぇ、ディーオもん!」

 私が扉を叩いているから、数人の学生が私を見ては、そそくさと離れていく。
 いいわよ、見世物じゃないしさっさと消えて。


「ふぉっふぉっふぉ、ディーオ君は今日はおらんよ」


 どこかのお爺さんの声がする。
 振り向かないといけないだろうか、振り向きたくは無い。
 深呼吸をしてしょうがないから振り向く。


「これは、ごきげんよう校長先生」
「やほーほっほ」


 何がやほほだ。
 校長であり国王であるくせに、この国王が一言命令すればどんな命令でも正当化されるのよ。王が死刑って言ったら私は死刑なんだし。


「意味も無くそんな事はしないんじゃがのう」
「ま、まだ何も言ってませんけどっ。ええっと、ディーオ先生が留守って」
「ふぉっふぉ、彼には溜まった仕事もあるしのう」


 なーにか、引っかかる言い方ね。
 一応予定通りには帰って来てるし、ディーオだって有給なはずよ。


「所で……」
「なんでしょうか?」
「火付けは重罪でのー」
「なっ! 私はしてませんし、なんだったらガーもごもご」


 校長の手が私の頬をギュっと掴む。
 シワの手がほっぺに食い込む、痛いんですけどー。


「エルンちゃん、証拠もないのにそういうのはいけないのう」
「ぶひぃっ!」


 言葉が優しいんだけど、薄っすらと開くまぶたから見える眼光が怖い。
 ナナとかは、優しい校長先生です。って笑顔でいうけど、本当の正体を知らないからだだわ。
 腐っても、王国の第一権力者よ……。


「王様くさっちゃったかのー」
「ぶっは……いやですわ、全然元気そのもので」


 ほら、この校長すーぐ私の考えている事を見抜く。
 だから余計に苦手だ。


「で、声をかけたという事は用事があるんですよね?」
「おお、そうじゃった……」


 このボケ爺さんめ。


「ボケ爺さんですまんのう……」
「な、校長はいつもしっかりしてると思いますわ」
「ふむ、エルンちゃんとの距離が縮まらなくてじいちゃん悲しい」
「ご用件を!」


 話に付き合っていたら、いつか私が墓穴ほって牢屋にぶち込まれる未来しか見えない。
 さっさと用件を聞こう。


「そうじゃったそうじゃった。あの放火の犯人はもう国内、おっとこの場合は王都にはおらんよ」
「はい?」
「立ち話もなんじゃ、校長室にいこうかのう」


 勝手に歩き出す校長の背中を見つめ、考えた末について行く事にする。
 ディーオの教員の小部屋からはちょっとあるき、校長室に入る。

 誰も居ない校長室。
 楽にしてくれといわれたので近くのソファーへと座った。
 校長はヤレヤレというと、私の真向かいにすわる。


「エルンちゃんや、犯人は誰と思う?」
「だれって……ガール補佐官の一派?」
「ふむーそうおもうか……違うのじゃ」
「え、じゃあ誰?」


 思わずタメ口になってしまった。
 よかった気分は害してないみたいね。


「ギルドの進出を良く思わない勢力がいてのう、作業にまぎれて煙草の火をポイじゃ」
「はっや、昨日の今日でもう犯人捕まえたの!? いや、捕まえたんですかっ!?」
「ふぉっふぉっふぉ、もっと褒めてもいいのじゃよ?」


 さすが国王という所よね、ディーオより仕事が速い。


「え、じゃぁ……ガール補佐官は悪くは無い?」
「うむ。悪く言う者もいるが、あれでガール補佐官は良くやっているのだよ、エルンちゃんからみてガール補佐官のイメージを教えてほしいのう」
「ええっと……では失礼ながら、我侭で目つきが悪く権力を振りかざした極悪非道なお爺さん、お金が好きそうで、お金さえ積めば白の物も黒っていってくれそうで」


 後は、よなよな女子供をいたぶったり、生意気な人間が居たらギロチンにかけたり、盗撮魔の孫と一緒に変な趣味がありそうな人と思ったけど、その部分は言わないで胸にしまった。


「ふぉっふぉっふぉ、思ったより酷いのう。
 彼は必要悪なのじゃよ、彼が悪者になり城の不満を受けてくれる。
 居なかったら不満があちこちに飛び火するじゃろうな」
「え、じゃぁあの人って演技なの?」
「いや、地じゃろな。ただ、ガール補佐官も自身の立場をわかっておる」


 という事は、自分は必要悪だから好きにさせろって事かしら?
 やっぱり悪人だ。


「じゃなくて、犯人がわかったとしたら、話が見えない……みえません」
「うむうむ、エルンちゃんには迷惑かもしれないが、ギルド長の座を降りて欲しいのじゃ」
「え、ラッキー」


 おっと、思わず即答で答えてしまった。
 いや、なんだかんだで左団扇できるかなっておもったギルドマスターの話だったけど、ガルド曰く責任ばっかりくるし、今回の火事だって結局は私の責任もあるらしい。

 なんでよ! って反論したら。
 普段の行い……もとい、ぱっとでの貴族が行き成りギルドマスターになりましたってなったら問題も起きるだろうと。

 じゃぁ誰が受けたほうがいいのよ、ガルドがすれば? と皮肉ったら命令であればなって。

 それに被害を受けたのはこっちなのに、周りにご迷惑をかけましたってお金を用意するのよ?

 そりゃ心配はかけたし、消火も手伝って貰ったけど一件二件じゃなくて数十件、しまいには手伝っても無い家にも渡さないとって話出てるし。


「即答かの?」
「はっ即答はまずかったのか……ええっと、色々と考えた結果、ギルドマスターの話は今回の火事の責任を取り辞退させて貰えるのであれば、謹んでお受けします」
「エルンちゃん、前半が口に出てるのう、お詫びはちゃんとするので」
「え。じゃぁ後任は?」
「カインじゃ」


 あ、だったら安心だ。
 もしかして、コタロウがワンチャン責任者なるのかなって思ったらやっぱ違うのね。
 うん、仕事は真面目にするんだけどね……。


「変に王家が直接するより、日頃の功績からエルンちゃんを推薦した結果、放火が起こった。だったら完全に王家と関わりあうようにという事じゃ」


 校長の目が光った。
 こわっ、結構本気で怒ってるわよねこれ。
 そういえば犯人は既に国内に居ないって言っていたけど……もしかして、捕らえて死刑って奴?


「ふぉっふぉっふぉ」


 聞かないほうがいいわねこれ。


「お話はわかりました、ご用件はそれだけですか?」
「エルンちゃんは王宮に興味はないかのう?」
「え?」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!

白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。 辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。 夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆  異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です) 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆ 

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

異世界転生した私は甘味のものがないことを知り前世の記憶をフル活用したら、甘味長者になっていた~悪役令嬢なんて知りません(嘘)~

詩河とんぼ
恋愛
とあるゲームの病弱悪役令嬢に異世界転生した甘味大好きな私。しかし、転生した世界には甘味のものないことを知る―――ないなら、作ろう!と考え、この世界の人に食べてもらうと大好評で――気づけば甘味長者になっていた!?  小説家になろう様でも投稿させていただいております 8月29日 HOT女性向けランキングで10位、恋愛で49位、全体で74位 8月30日 HOT女性向けランキングで6位、恋愛で24位、全体で26位 8月31日 HOT女性向けランキングで4位、恋愛で20位、全体で23位 に……凄すぎてびっくりしてます!ありがとうございますm(_ _)m

【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。

樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」 大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。 はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!! 私の必死の努力を返してー!! 乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。 気付けば物語が始まる学園への入学式の日。 私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!! 私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ! 所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。 でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!! 攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢! 必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!! やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!! 必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。 ※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。

処理中です...