グラン王国の錬金術師 if 悪役錬金術師に転生してました!

えん水無月

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174 おったからおたから

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 馬車に投げ飛ばされた私はニシエと目があった。
 ニシエが座っていて、私が寝そべる感じである。


「ディーネちゃん、一人で助けに行くつもりー?」


 私の顔を覗き込んで質問をしてくる。


「黙って居るより良いんじゃない?」
「んーーたぶん、アーススパイダーって大きな蜘蛛よね?」
「らしいわよ。何か知ってるの?」
「体が柔らかいのと、体毛がふわっふわなぐらい」


 役に立たないわね……。
 私を見ているニシエがちょっと険しい顔になる。

「いま、役に立たないなーって思わなかった?」
「ええ」
「「…………」」


 お互いに少し言葉がとまる。


「ディーネちゃんが持ってる爆弾って、実はもっと大きいのあるよね? その爆風で飛ばせばいいんじゃない?」
「お、それは良いこと聞いたわね」
「本当にいくのー?」
「様子見だけね」


 私は牢から抜け出して顔だけ外を出す。
 私達の馬車は偶然にも最後尾で、こそっと抜ければ問題はなさそうだ。
 それに雨が降ってるので音だって平気。

 走っている馬車から無理やり降りた。
 転びそうなのを我慢してそのまま道の隅へと隠れた。
 私の視界から馬車が消えていく。


「さてとっと」


 雨の中さっきの場所へと急いで戻ると、雨に濡れた男達が数人立っていた。
 その中の黒髪の男は私を見つけるとため息をだしてくる。
 その行動が本物そっくりで腹立ってくるわね……。


「何で居るのよ!」
「こっちが聞きたい」


 銀髪ではなく、黒髪の偽ディーオが雨に打たれながら私に文句を言ってきた、どうやら銀髪はインクで染めていたのか、雨で濡れて地毛が出ている。


「私はほら、その」
「脱走か? 身代金のために捕まえていたか逃げたいなら逃げろ」
「あらいいの?」
「お前、エルン・カミュラーヌだろ……」
「ほええっなんで」
「思い出したんだよ。爆弾を使う金髪令嬢の噂を。情報屋からの話をまとめると、関わるなと面倒事は起きるぞと警告が出てる。くそ……放って置けばよかった」
「どんな情報よ!」


 まるで私が厄病神みたいな扱いは解せぬ。
 たまたま、問題が起きるだけよ。

 雨の中、お頭ーとよってくるおっさん。偽ディーオはその話を聞いては頷いている。


「ともあれ、ここから先は安全は保障出来ない。さっさと麓の馬車に戻るんだな」


 嫌味を言うと偽ディーオが、私の許可もなしに動くので無意識に足を引っ掛ける。
 雨の中で突然転ぶ。


「何をするんだ」
「一緒にいくわよ。これでも多少は武器あるんだし」
「好きにしろ」


 お頭! 姉御! 気をつけて! と謎の応援を受けて、部下が見つけたらしい横穴に入った。
 入る直前に偽ディーオの部下の人から乾いたタオルと着替えを貰った。
 生地が頑丈そうな上下のスエットに似た何か。


「あ、もしかして貴方の分とっちゃった?」
「その服は予備の奴だ、魔物の素材を縫いこんである。濡れた服よりもいいだろう。人前で着替えるのが嫌であれば黙ってそこにいろ」


 あーはいはい。着ればいいんでしょ着れば。
 こっち見ないでよ? って冗談を言っていたら既に偽ディーオは歩き出している。

 どついてやろうかと思ったけど、この状況で悪ふざけも悪いわね。
 急いで後を追うと直ぐに追いついた。

 小型の灯りを持っていて、そのおかけで私も安心する。


「何か対策はあるの? 蜘蛛相手に」
「焼く。お前はハゲチャピンを見つけたら先に逃げろ」
「はぁ……まぁいいけど。一人残って死ぬとかはやめてよね、後味悪いし」
「緊張感の無い女だな」


 二人で足早に洞窟を降りていく、うめき声が聞こえてきた。
 思わず足を止めて私達は耳を澄ませる。
 うめき声のする横穴に入ると、大小様々な繭が沢山あった。


「これって……」


 どうみても、スパイダーの餌だろう。
 破れた繭からは、とても言いたくないような、元生物だったのが見えたからだ。
 偽ディーオが、貯蔵庫だろうな……。と、いうとナイフを使ってモゴモゴ動いてる繭を切った。

 ハゲチャピンの顔が出てきた。


「お、お頭! それに人質の女!」
「大変、ハゲチャピンの髪が無いわ!」
「元からだろ……」
「二人とも背後!」


 ハゲチャピンの声で後ろを振り返ると、三メートルぐらいある蜘蛛がいた。アースパイダーだ。赤い六つの目玉がこっちを見ていて、気持ち悪い。

 偽ディーオがナイフを投げ、その目玉に命中させた。
 カチカチカチカチカチカチと、アーススパイダーの顎が鳴り響く。


「ちょ、やばくない?」


 私の質問に一切答えずに偽ディーオが何かを投げた。
 カチカチ鳴らした口の中にそれは入り、何かを食べたアーススパイダーの頭が突然にはじける。


「一個銀貨五枚のボムにしては、役に立ったな……よし、逃げるぞ!」
「お頭! それなんですけど、別の部屋に金銀財宝がたんまり」
「命あっての物だ今回は――」
「え、なにそれ欲しい、蜘蛛に財宝は無価値だし貰っても――」


 偽ディーオと意見が割れた。


「この状況下では無理だろ、別の日にするべきだ。しかし……お前、いい所の貴族だよな? 宝と聞いて飛びつくものなのか? 金には困ってないだろう」
「無限にあるわけじゃないし、困ってるわよ錬金術の材料ってのも一個で金貨四千枚とかあるのよ。いくらあってもいいわ。ちょっとだけ見に行きましょうよ」
「だめだ」
「ってか、盗賊の癖に宝を無視するとか盗賊の風上にもおけないわね」
「お頭言っていたじゃないっすか。金を貯めて全員が職を持てるようにするって」


 ハゲチャピンが偽ディーオに向かって語りだす。
 なんでも、この盗賊団。
 要領が悪く、他の盗賊団を首になったような人間の集まりらしい。
 それを偽ディーオが一つにまとめ金を稼ぎながら手に職をつけているとかなんとか。

 立派だ。


「たく……わかった下見だけしておこう」


 意見が一つになった所で一歩踏み出すと。
 通路の先にミニアーススパイダーがいた。
 その数なんとざっと数百匹。

 エルンちゃーん、人間よくかくとよくないよー?
 そんな言葉が脳内で再生されたのであった。
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