グラン王国の錬金術師 if 悪役錬金術師に転生してました!

えん水無月

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193 寿司の海老で一番すきなのは甘エビです(何の話だ

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 ディーオはやや疲れた顔で私を出迎えてくれた。
 少し寝たほうがいいわよ。と、言おうとして小言が返ってきそうなので辞めた。

 何時もの部屋で私専用のカップを使いながら椅子に座る。
 シュッシュッシュと音を立てている小さいストーブ前に座って暖をを取ると、やっと口を開いてくれた。


「大丈夫だろう」
「ちょ、人事だと思って、その言葉が酷くない?」


 文句を言うと、仕事をしていた手を止めてこっちをみてくる。


「昨日。ナナ君が、まったく同じ内容で相談に来たよ。
 エルンさんに嫌われたかもしれません。とな」
「本当!? で、なんて答えたの?」


 まぁかわいい。そうよナナは良い子なのよ。
 嫌ってなんかいないし、悪い事したって思ってるわよ? でもあの場合はどうしようもないじゃない。


「気の利いたジョークも思いつかなくてな。エルン君の頭はブルックスの店にある開店前の酒樽と一緒だと伝えておいた」


 酒樽? ふむふむ。
 思わず手と手を叩く。


「そっか、開店前はしっかり中身が入って頼もしいけど、朝方はお酒を飲みきって空っぽって意味ね! って何でよっ!!」
「ボクは友情とかそういうのは興味ないが、暫く時間を空けるのも手だろう」


 突っ込みを無視された。悲しい。
 でも、そのほうがいいのかなぁ。


「でも、開けすぎると余計に距離あかない?」


 考え込んでいると、ディーオがなおも話してくる。


「ボクは錬金科の教師であって君の教師ではない」
「うっわ、冷たい、冷酷人間ね」
「どうどでも言うがいい、真実だ。そのうち相談料を貰いたいぐらいだな」
「うぐ……お、お礼はするわよ、何が欲しいわけ? お金?」
「…………何でもお金で解決はできない」
「出来るわよ! そこ、哀れむような目はやめて頂戴」
「多少の自覚はあるんだな……では、相談料の変わりに――」



 ◇◇◇


 寒い寒い寒い。

「寒いわよ!」


 私の叫びに反応する人間は居なくて、周りは人も居ない。
 現在私は王国東にある大きな湖……に似た海にいて星型の貝殻を集めている。

 ややっこしいのよね、どうみても湖なのに海水だし、取れる素材も海系が多いし。
 まぁ元がゲームだから仕方が無い?

 とにかく、錬金術のアイテムに使うから三十個ほど取ってきて欲しいとの事だ。くれぐれも買ってくるなよって念を押されたので仕方が無く浜辺を歩いている。
 言われなかったら買ってくる予定だったのに。


「まぁこの辺で魔物が出るって聞かないし大丈夫よね」


 にしても懐かしい。ここで溺れたのよね。
 ほら遠くの水面には小さい子が溺れてる、ほほえましいわね。


 ……。

 ………………。


「ちょ! 溺れていたらだめでしょ!」


 周りを見渡すと誰も居ない。
 そりゃそうよ、さっき自分で誰も居ないって確認したし。

 脳内会議が始まる。
 エルンA、見無かった事にしましょう。
 エルンB、見なかった事にしましょう。
 エルンC、泳げませんし。
 エルンD、助けれないのでお礼金も貰えませんし。


「だあああああああああっ助けるわよ!」


 脳内会議で全員一致で反対とでた。
 出たけど、見殺しにできないじゃない。
 砂浜から真っ直ぐに溺れている子に向かう、足首から太もも、腰辺りまで水が来て足が滑った。


「がっぼがばばば、あひつっ」


 足つった!
 溺れる、溺れてる。


「大丈夫ですかっ! エルンさんっ!」
「ごっぼナ、ナナっ溺れっ溺れっ」
「大丈夫です、しっかり捕まってください」

 ナナにしっかりしがみ付くと浜辺まで引っ張られた。
 海岸で震えていると、直ぐに火を起こしてくれた。


「ええっと、ノエさんやガルドさんは……?」
「い、いないわよ。溺れてる人がいるから、助けにいったらナナに助けられて……溺れてたんじゃないのっ!?」
「エルンさん……」


 ナナが顔真っ赤にして怒っている。


「う、嬉しいです!」


 うぐっ。突然抱かれて変な声がでる。
 怒ってない?


「エルンさん、泳げないのに……助けに来てくれてたんですよね!」
「そ、そりゃ見殺しには」


 出来ないでしょ。
 と言おうとしたんだけどナナがぎゅーっとしがみ付いてくるので、苦しい。


「それより、ナナ溺れていたんじゃないの?」
「いえ、あの、泳ぎ方おかしかったでしょうか」
「どうみても、犬かき以下だったんだけど……ご、ごめん、そんなに暗くならないで。えーっと、そう! なんで泳いでいたのよ」
「それはですね、ディーオ先生から相談料をお支払いしようとした所、受け取ってはもらえなくてですね。だったら野海老のえびを取ってきてほしい。と、お願いされまして」


 野海老。簡単に手に入る海老で手が長い。
 小さくて、簡単に手に入るので庶民の家では食べるらしいが、私は食べた事はない。
 だってもっと大きい海老売ってるし。

 じゃなくて! 

 エルンさんは何でここに? と聞かれたので、同じくディーオに言われてと答えた。
 あの馬鹿教師。ナナが先にいるって言っておきなさいよ。
 気を利かせたつもりなのかしら。


「あの、ごめんなさいエルンさん。ディーオ先生からエルン君は予知夢みたいなのがあるって教えられて。
 以前教えてくれたもっと魔よけの香もそうだったんですよね」
「あー確か王様にもそんな事言ったような気がするわ……じゃなくてっ、そうそう。そうなのよ! こういうアイテムがあればいいなーって思っていたらミーナが、その石がそうだよ? て感じで」


 超早口で言うと、ナナは何となく頷いてくれた。
 よし、もう少し。


「それより、泳ぎは誰かに教わったほうがいいわね。私は覚える気ないけど……あれじゃ誰が見ても溺れてるわよ」
「村では心配されなかったんですけど、うう……ぜんしょします」


 へっくち。


 くしゃみをすると薪が足りないですよね! と走っていった。
 私は火に向かって両手を出している状態だ。
 あれ、私ナナにカナヅチって教えた覚えないんだけど、何で知ってるのかしら。
 聞くのが怖いから、黙っておきましょう。

 へっくち、あークシャミ止まらないわ。
 
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