51 / 141
脆弱を覆う優しさ
6
しおりを挟むその後ろ姿を数秒見つめた後、またゴロンと寝返りを打った。
視線の先にあるのは淡いピンクのカーテン。
カーテンの隙間から見える窓に、ポツッと水滴が当たったのが視界に映る。
「――…雨、」
ぽつり。本当に小さな小さな声で零した呟きは、誰の耳にも届くことなく消えてゆく。
朝から雨が降りそうで降らない、そんなハッキリしない天気だったけれど、どうやら今になってようやく降り出したらしい。
ポツッ、ポツッ、窓に当たる水滴が瞬く間に増えていく。
次第に激しくなる雨音をぼんやりと聞きながら、ふっと目を閉じた。
…そういえば“あの日”も、こんな風に雨が降ってた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
8
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる