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脆弱を覆う優しさ
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しおりを挟むコンビニから向かった先は、もう来慣れたマンション。
エントランスで一度立ち止まって、鞄の中に入れっぱなしにしていたスマホを取り出す。
【ごめん、風邪引いたっぽいから今日会えねーわ】
今日最後に届いたメッセージにはそう書かれていた。
差出人の名前は<ruby>司<rt>つかさ</rt></ruby>。
2時間前に届いたそれに“分かった”と返信したものの、まだ既読がついていない。
家の前まで行く前に一応鳴らしておこうと、電話を掛ける。
けれど、待てども待てどもコール音が鳴るだけで一向に通話に繋がらない。
何回目なのか分からないコール音が途切れ、最終的に留守番サービスセンターに繋がった。
さっき駐輪場にバイクがあったから、きっともう家には帰っているはず。
電話に出られないほど体調が悪いのかと思うと、居ても立ってもいられなくて、すぐに階段を駆け上がった。
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