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漸進的愛情表現
、
しおりを挟むちらちらと俺の顔色を窺うように上目がちに向けられる視線。
その大きな瞳と視線が交わる度に、柄にもなくドキッとしてしまう。
こうして関わる前は辻本に対して派手な女だなという感想しかなかったのに、今ではとんでもなく可愛く見える。
自分の変化に自分が一番驚いてるし、付いていけない。
「……、」
思わず伸ばしそうになった手を床に押し付け、ギュっと握る。
「今日はあたしが寝ちゃったのが悪いけど、それを差し引いても榛名くん…ちっとも触ってくれないじゃん」
さっきの大きな声とは違い、細い糸を繋ぐような小さな声で紡がれる言葉。
「……榛名くんも、ちょっとは触ってよ」
辻本は絶対に鈍感だと思う。若しくはバカ。
だって、俺がどんなに我慢してるか全然分かってない。
“ちょっと”って一体どのくらいの事を言ってんの?
“ちょっと”で終われると思ってんの?
頭の中でそんな事を考えながらも、堪らずに伸びる手。
その柔らかそうな髪の間に通し、後頭部に回す。
ゆっくりと引き寄せた小さな顔。
ぷっくりとした赤い唇にちゅ、っと軽く口付ける。
すぐにそれを離せば、まるで“それで終わり?”とでも言いたそうな不満げな眼差しで見つめてくる。
「…榛名くん、顔赤いよ」
「…うるさい」
俺が赤面している姿なんてもう見飽きるくらい見ただろうに、いつもご丁寧に指摘してくる。
…言われなくても自分の顔が赤くなってる事くらい分かってる。
通常運転の時とは比べものにならないほどバクバクと騒がしく音を立てる心臓と、じんわり熱い頬がそれを物語ってる。
「…榛名くんって本当にウブだよね」
「……、」
まるで感心するようにぽつりと呟かれたそれに、どんな言葉を返したら正解なのかが分からなくて、キュっと口を結う。
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