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漸進的愛情表現
、
しおりを挟む一応言っておくけど、俺はウブな訳じゃない。
少なくとも自分ではそう思ってる。
赤面症だけど、どんな時もすぐに顔が赤くなる訳でもない。こんなに心臓がバクバクしてるのだって、初めてだし。
時と場合による…というよりは、相手によるのかもしれない。
その長い髪をさらりと撫でれば、擽ったそうに少し目を細める。その表情を見るだけで心臓がどくんと脈打つ。
「…っもう、そんなに焦らすならあたしから襲っちゃうよ!」
プンプンという効果音が聞こえてきそうなほどに何故かご立腹気味にそんな事を言う。
…人の気も知らないで。
心の中でそんな悪態を呟きながら、俺に跨る彼女の腰を少し乱暴にぐいっと引き寄せた。
「…いいよ」
ぽつり、小さな声でそう言えば「え?」と間抜けな声を漏らした。
反対の手をぴとりと頬に添える。
熱くも冷たくもない、ぬるい体温が手の平に伝ってくるのを感じながらゆっくりと唇を動かす。
「…辻本のしたい事、していいよ」
「…っ」
思いのほか低い声しか出なかった。
俺のその言葉に、辻本が息を呑み込んだ音が微かに聞こえた。
口にしたのは本心だった。それは嘘じゃない。
けど、どうだろう。
どっちかっていうと、試したのかもしれない。
辻本の反応を。
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