雨晒し

Liz

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漸進的愛情表現

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辻本の家の近くの電柱に寄り掛かるようにしてスマホを弄ること数分。


静寂に包まれていたこの場に、誰かの話し声のような物が微かに耳に届いた。
スマホに向けていた視線を声がした方向に向ければ、此方に向かってくる2つの人影が目に入った。



「――榛名くんっ!」


途端、さっきまで聞いていた声が周りに響く。

少し声を張り上げて俺を呼んだのは間違いなく辻本で、視線の数メートル先で片手をブンブン振っているのも間違いなく辻本だ。

俺が歩み寄るよりも先に、辻本がタタタッと小走りで駆けてきた。




「っごめんね、待たせちゃって」


すぐ目の前まで来た辻本は申し訳なさそうな表情を浮かべて顔の前で両手を合わせる。


「お詫びと言ったらアレなんだけど、今日あたしの親出張で居ないからちょっと上がっていく?お茶くらいしか出せないけど…」


続けてそう問いかけてくるけど、俺はそれよりも辻本の後ろに居る人物が気になって仕方なかった。


明るい髪色に長身。
制服ではなく私服を着ているところを見る限り、高校生ではなく大学生なのか。

どこをどう見ても――…知らない男。




「おーい、希子ちゃーん?」


俺が“あの人誰?”と問いかけるよりも先に、痺れを切らしたかのような声色が響いた。

その声にハッとしたような表情を浮かべた辻本はすぐに後方に振り返り、今度はその男へと駆け寄る。



「わわ、ごめんなさい!すっかり忘れてました!」

「いやいや、正直すぎっしょ。送って貰っておいて忘れんなっての」



慌てて謝る辻本の額をその男がデコピンするように人差し指でコツン、と小突く。


「……、」


まただ。

また、もやもやする。



「じゃあもう俺帰るよ?彼氏と合流できたみたいだし」

「あ、っはい!わざわざありがとうございました!」


相も変わらず元気な声でそう言って頭を下げた辻本を見てふっと破顔したその男は、次に視線を俺に向けた。

目がかち合ったその瞬間、小さく会釈してきたその男に俺も少し頭を下げた。

それを見た男はもう一度辻本に視線を戻し「じゃあね、希子ちゃん」と別れの言葉を告げ、踵を返して来た道を戻っていく。

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