ドラゴンすら肥える異世界農園〜最弱スキルで世界の胃袋を掴みました〜

ライカタイガ

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【第27話】村に広がる奇跡の実り

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 王都からの一件を終え、辺境伯領で落ち着いた日々を過ごしていたある日、ミルテ村から急報が届いた。

「タケルさん、ミルテ村で何か大変なことが起きているらしいんです!」

 届けに来たのは、領内を行き来する連絡係の一人だった。その表情は焦りに満ち、息も整わないほどだった。

「何があったのか、詳しくは?」

「いえ、それが……村の使いの者も、何が起きているのかよくわからないようで。ただ、“すぐに来てくれ”とだけ……」

 俺とリリィは顔を見合わせ、急ぎ荷物をまとめた。

「よし、馬車を手配してくれ。すぐに向かう」

 二日かかる道のりを急ぎ、俺たちは馬車でミルテ村へと向かった。

 そして──二日後の夕暮れ、村の入り口が見え始めた頃には、広場から響く賑やかな声が聞こえてきた。

「なんだ……これが“騒ぎ”ってやつか?」

 俺たちが馬車を降りて駆け寄ると、村の広場は笑顔と笑い声に包まれていた。

「おお、タケルさん!ほんとに戻ってきてくれた!」

 最初に声をかけてきたのはグレッグ爺さん。周囲には、籠いっぱいの見たことのない野菜を抱えた村人たちが集まっていた。

「タケルさん、これ、見てくれませんか? なんだか変わった野菜がいくつも育ってて……食べていいのか分からなくて……」

「タケルさんの畑から分けてもらった土の周りで急に育ったんですよ」

 婦人が差し出したのは、見覚えのある長い緑の実──きゅうりだった。他にも、にんじん、大根、とうもろこし、トマト、さらにはアスパラガスやブロッコリーのような野菜まで並んでいる。

「……この野菜だは」

 まさか、ミモの影響で俺の記憶の野菜が具現化したのか? 俺は土を一つ手に取って匂いを嗅ぎ、ひとつの仮説にたどり着いた。

「ミモの“微成長”が、何かを感じ取ってこういう形を生んだのかもしれない……」

「これ……食べても大丈夫なんですか?」

「もちろん。これは“きゅうり”、こっちは“とうもろこし”っていってな、食べ方もいろいろある」

 俺は村の台所を借りて、いくつかの野菜を使った調理を始めた。

 スライスして塩もみしたきゅうりは爽やかで歯ごたえがあり、とうもろこしは茹でてバターを塗ると甘さが際立った。焼きナスは香ばしく、とろけるような食感にリリィも目を丸くする。

「なにこれ……すごくおいしい!」

「俺nの故郷の食べ方なんだ」

 村人たちは驚き、感嘆の声をあげながら次々に野菜を手に取っていた。

「タケルさんのおかげだ……」

「また村が変わるぞ、きっと……!」

 笑顔が広がる中、ミモは静かに空を見上げ、小さく「にゃっ」と鳴いた。

 その光景はまるで、世界と世界の境界が優しく滲んで、新たな命の形が自然に芽吹いたようだった。

(第27話 完)
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