ドラゴンすら肥える異世界農園〜最弱スキルで世界の胃袋を掴みました〜

ライカタイガ

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【第47話】王都の町とふくにぎり騒動

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視察団が去った二日後、俺たちの元に再び王都からの書簡が届いた。文中には「王国食文化祭への公式出店を承認する」との一文があり、それを見た瞬間、リリィが思わず飛び跳ねた。

「やったぁっ! タケルさん、王都ですよ、王都ーっ!」

「ほんとに……ここまで来たんだな」

 村の皆も大喜びで送り出しの準備を手伝ってくれた。保存箱、香草、特製の米袋。必要なものをぎゅうぎゅうに積み込んだ馬車を、モフが誇らしげに引く。

 そして王都に到着したのは、出発から五日目の朝だった。

 壮麗な石畳の道、高い城壁に囲まれた大都市。すれ違う人々の服装も洗練され、異国のような雰囲気を感じる。

「うわぁ……本当に、ここが王都なんですね……」

 リリィが目を丸くしながら、建物の一つひとつを見上げていた。

「よそ見してると迷うぞ。まずは宿に荷を下ろして、会場の下見に行こう」

 王国食文化祭の会場は、中央広場の一角にある特設ステージと屋台街。主催者の案内に従って、俺たちは出店スペースを案内された。

「こちらがふくにぎり亭様の出店場所になります。お水と炭、簡易魔導具の使用も可能です」

「助かります!」

 テントの設営を始めたそのとき、視察団の一員だった若い女性官吏が偶然通りかかった。

「あ、あなたたち……村から来たふくにぎり亭ですね? 王都の皆さんにも、ぜひ試食していただけるよう準備をお願いします」

 やはり評判が先行しているらしい。彼女は微笑みながら、出店計画の確認書を渡してきた。

「実は王室側でも、文化祭の来賓向けに“特別試食枠”を設ける予定です。正式な通知は追って届きますが……期待していますよ」

 視察団の言葉と態度を思い出し、リリィが背筋を伸ばす。

「王都の人たちにも、この味を届けたいです。頑張りましょう、タケルさん!」

「ああ。ふくにぎりの味は、どこでも通じるって信じてる」

 そして準備の最中、通りすがりの子供たちが興味津々で屋台に近づいてきた。

「おにぎり屋さん? へえー、どんな味?」

「これは“香草焼きズッキーニふくにぎり”。君たちも一口どうだ?」

 試食用に用意していた分を差し出すと、子どもたちは歓声を上げて頬張った。

「おいしいー! もっと食べたい!」

 その声に惹かれたのか、次第に周囲にも人だかりができ始める。

「ちょっ、タケルさん! 試食だけのつもりが、もう行列が……!」

 モフが「むふっ」と荷台から出てきて、人の流れを誘導。ミモは透明なまま、列に並んでいた子供の帽子をそっと直してやっている。お前、やさしいな……。

「急ごう、リリィ! 本格販売モード、いけるか!?」

「はい! ふくにぎり、王都でも握りますっ!」

 こうして、ふくにぎり亭の王都初営業は、嵐のような幕開けを迎えるのだった。
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