俺の相棒は元ワニ、今ドラゴン！？元飼育員の異世界スローライフ

第47話 王都で一息

市場をさらに進むと、さまざまな品が目に飛び込んでくる。
新鮮な野菜や果物が所狭しと並び、香辛料やハーブが独特の香りを漂わせていた。
オレはゴロウと一緒に、露店を見て回ることが楽しくて仕方がなかった。

「ダイ、あれ見て！あの果物、なんだか不思議な形だよ！」ゴロウが指し示したのは
赤紫色の丸い果物。普通の果物とは違って、皮が硬そうで、トゲがいくつかついている。

「なんだろう。初めて見るね…」
オレは果物を売る店主に声をかけてみた。
「すみません、この果物は何ですか？」

店主はにこやかに答えた。
「これは“スパイクフルーツ”だよ。外は硬いが、
中は甘くて酸味のある味わいで、ジュースやデザートに使われるんだ。試してみるかい？」

「ぜひ！」オレはスパイクフルーツの一片を差し出され、
口に含んだ。すると、甘さと酸っぱさが口いっぱいに広がり、
今まで味わったことのない風味に驚いた。

「うん！甘いけど酸っぱくて、すごくおいしい！」
オレは笑顔で感想を伝えた。

「だろ？王都の特産品だから、ぜひ覚えておいてくれよ！」
店主も満足そうだ。

ゴロウは隠れたまま興奮気味に、
「ダイ！ダーイ、ダイばっかりずるい！それもおいしそう！買って買って！」とテレパシーで頼んできた。

「大丈夫だってゴロウ、ちゃんと買うから！」テレパシーでゴロウをなだめ
オレは市場での買い物を少し控えながら、ゴロウに注意を促した。




市場を見て回った後、オレとゴロウは広場に向かい、
そこで少し休憩を取ることにした。広場には大きな噴水があり、
その周りには人々が集まり、子どもたちが遊んでいた。
俺たちは少し離れた木陰になっている芝生の上に座り一息つけることにした。
「すごい場所だね…。こんな大きな広場、初めて見たよ。」
オレはその風景を見て思わず声が漏れてしまった。

ゴロウはテレパシーで静かに言った。
「ダイ、ここにずっと住むの？王都って広いし、いろんなものがあって面白いね！」

やはりゴロウは昨日の話を理解していなかった。
というよりも耳に入っていなかったのだろう・・・
オレは苦笑いをしながら答える。
「王都に来た目的はゴロウの事を調べに来たんだよ。
だから明日からは色々な場所に行って調べるんだ」


ゴロウは少し悲しそうな声で
「え・・・そうなの？もうここにはこれないの？」

「そんなことないよ、たまにはこうして市場にも来てみよう。
だからゴロウにも手伝ってほしいんだ」

「そうなの？わかった！！」
ゴロウは急に元気を取り戻し、嬉しそうに返事をする。

「でも今日はたくさんいろんなところを見て回ろう。次はどこへ行こうか」
次の行き先をどこにしようかと地図を広げていると

遠くから賑やかな声が聞こえてきた。
何かのお祭りかイベントが行われているようだ。
オレはゴロウに「行ってみようか？」と話しかけ、
ゴロウは「うん！行ってみよう！なんだろ！なんだろ！」
その方向へと歩みを進めた。