俺の相棒は元ワニ、今ドラゴン！？元飼育員の異世界スローライフ

第46話 王都の市場

翌日、とても良い目覚めで起きることができた。
やはり寝るのはベッドが一番だと改めて感じながら、
体を起こして軽くストレッチをした。窓から差し込む陽の光が心地よく、
これから始まる王都での新たな日常に自然と気持ちが高ぶってきた。

ゴロウはベッドの隅で丸まっており普段のようにプカプカと浮いていはいなかった。
ゴロウも気を付けてくれているのだろう。

昨晩さすがに浮いて寝てるのはまずいと思い、
ゴロウとオレの腕にリードのようなものを付けて浮かないようにとも考えたが
さすがにあんまりかと思い
「他の人に見られたらまずいから、プカプカ浮いて寝るのは禁止ね」
と伝えて様子を見ることにしたのだ。
ゴロウはとても残念そうにしていたが受け入れてくれた。

「おはよう、ゴロウ。ぐっすり寝れた？」
と声をかけるとパチリを目を覚まし
ゴロウは嬉しそうに体を伸ばし、オレに向かって元気に答えた。
「うん、寝心地よかったよ！ダイはどうだった？」

「最高だったよ。さすがは設備がいいね。」

オレはゴロウの頭を軽く撫で、服を着替え始めた。
頭の中で一日の流れを組み立てていく。
今日は王都に着いたばかりなので少し街を見て回るの予定となっていた。

「隠蔽」のスキルで姿を隠してもらったゴロウをオレは肩に乗せ部屋をでる。

食堂に降りると、バルシュとレオンナンドの二人はすでにテーブルについており、王都の地図を広げて話し合っている。

「おはようございます、父様、レオンナンドさん。」オレはテーブルに向かって挨拶し、席に着いた。

「おはよう、ダイ。」バルシュが優しく返事をする。

「今日は予定通り少し落ち着いて王都の街を見て回るつもりだ。
お前もゴロウと一緒に、街の様子を知っておくといいだろう。」

「はい、ぜひそのつもりです。」オレは期待に満ちた声で答えた。

レオンナンドもニッコリと笑って言った。「王都は広くて見どころがたくさんありますよ。
初めて来た者には迷いやすい場所もありますが、地図を持っておけば安心でしょう。
何か分からないことがあれば、私が案内しますよ。」キラン

安定のモーニングイケメンスマイル

「ありがとうございます！」キラン
オレも訓練で培った副産物「キラン」で返す。

ゴロウは姿を隠しているが朝食の匂いに誘われて鼻をヒクヒクさせているのがなんとなくわかった。
「ダイ、おいしいものあるかな？」
テレパシーで質問をしてきたゴロウにオレもテレパシーで返す。

「うん、ゴロウ。今日は街の市場の方を見てみよう。美味しいものもたくさんあると思うよ！」



朝食を終え、オレとゴロウは宿を出て王都の街を歩き始めた。
通りには早朝にもかかわらず多くの人々が行き交い、商店や露店が次々と開店していく様子が見られる。
王都は本当に活気に満ちていて、どこを見ても新しい発見があった。

「すごいね、ダイ！！」ゴロウは興奮して、肩だけでは足らずにオレの頭も使って前後左右躍動していた。

「そうだな。ここにはうちの領内では見られないような珍しいものがいっぱいあるかもしれないね。」

オレたちは大きな市場に足を踏み入れた。新鮮な野菜や果物、香辛料、衣類、工芸品など、さまざまな商品が並んでいる。
オレは目を奪われながら、ゴロウと一緒に露店を見て回った。

「ダイ、あれ！あの肉、すごくおいしそうだよ！」ゴロウがテレパシーで伝えてきたのは、露店で売られていた巨大な肉の塊だった。
店主が威勢よく肉を切り分け、通りすがりの人々に勧めている。

「あんな大きな肉、なんの肉だろうね。少し寄ってみようか。」

肉を切り別けている店主に声をかけてる
「すみません、これは何のお肉ですか？」

オレが声をかけると、店主は威勢よく振り返り、笑顔で応じた。
「おぉ！坊ちゃん、よくぞ聞いてくれました！
これは“グランドバイソン”という大型獣の肉だ。
辺境の山岳地帯で捕れる極上の肉で、王都の市場でもなかなかお目にかかれない代物だぜ！」

「グランドバイソン…」オレはその名前に心が躍った。ゴロウも興味津々の様子で、頭の中で「大きいね！おいしそう！」とテレパシーで感想を送ってくる。

「グランドバイソンはどんな味なんですか？」オレはさらに尋ねた。

「ジューシーで、コクがあり、それでいて柔らかい。煮込みや焼き物に最適で、特にうちの特製スパイスを使ったローストは絶品だぜ！試食するかい？」店主がニヤリと笑い、焼けたばかりの肉片を手に取って勧めてきた。

「はい、お願いします。」オレは少し興奮しながら、差し出された肉を口に運んだ。

口の中に広がる肉の旨みと、スパイスの香りが絶妙に混ざり合い、予想以上の美味しさだった。「すごくおいしい！ジューシーだし、柔らかい！」

「でしょ？これがグランドバイソンの真骨頂だ！」店主は誇らしげに胸を張る。

「ダイ、ダーイ！僕も食べたい！」ゴロウが隠れながらも、テレパシーで訴えかけてくる。

「ちょっと待って、ゴロウ。後で買って宿で食べよう。」

オレはゴロウに優しく言い聞かせ、店主に少しの量を買うことにした。
「少しこのお肉をいただけますか？」

「もちろんだ！どうだい、今日は特別価格にしておこう。さぁさぁ、持ってけ！」
店主は手際よく肉を包んでくれた。

オレは感謝の気持ちを込めてお礼を言い、肉を受け取った。