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1章
第20話:記憶の扉
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白く霞んだ世界の中、リリィとテオ、そしてゼインは、“門の記憶”と名乗る少女の前に立っていた。
彼女の姿は曖昧だった。輪郭が揺れ、時折、微かな光の粒が宙にほどけていく。
だがその声ははっきりと届いていた。
「私は“門の記憶”。門が開かれ、閉じられ、忘れられていったすべての記録。そして、あなたたちの未来に繋がる通路でもある」
ゼインが前に出た。
「未来……だと?お前が、俺たちに何をさせようとしている?」
少女はかすかに首を振った。
「私は“させる”存在じゃない。私はただ、“示す”。選ぶのは、あなたたち」
リリィが問いかける。
「じゃあ……どうして助けを呼んだの?“たすけて”って、あなたが言ったんでしょ?」
少女は静かに目を閉じると、空間がわずかに揺れた。
その瞬間、リリィたちの周囲に景色が広がった。
それは、かつて存在した別の世界。
荒廃した空。崩れた塔。黒い霧に包まれた土地。
「これは……」
「これが“門の向こう”にある世界。私がいた場所」
テオが一歩前に出る。
「誰かが……泣いてる」
確かに、彼の耳には泣き声のような音が聞こえていた。それはこの空間全体から発せられる悲鳴に似た残響だった。
「この世界は、理を失った。争いと分断と恐怖が、世界を壊した。人々は互いを信じることをやめ、やがて“理”そのものが自壊を始めた」
少女の声には怒りも悲しみもなく、ただ事実を淡々と語る静けさがあった。
「私はその滅びの中で、最後の“記憶”として残された。そして、門が開いた時、こちら側の世界と繋がった」
ゼインが静かに問う。
「それで、お前は何がしたい?」
少女は、テオとリリィを見つめた。
「願いがあるとすれば……もう二度と、世界が自らを壊さぬように。“つなぐ者”と“調停者”が現れたなら、その未来に希望を託したい」
「私たちに、何ができるの?」
リリィの問いに、少女はほのかに微笑んだ。
「あなたたちは、“理”を織り直すことができる。壊れた世界の残響を受け止め、それを越えて新たな“道”を作る。それはとても、苦しく、重いこと。でも……あなたたちの中には、それができるだけの“記憶”と“力”がある」
テオが眉を寄せた。
「……記憶?」
「あなたたちは、門が最初に生まれた時の“原型”を持つ者。だからこそ、今この世界で目覚めた」
リリィとテオは顔を見合わせた。
「それって……生まれる前から決まってたってこと?」
「すべてが定められていたわけじゃない。でも、選ぶ“可能性”を持っていた。それは、あなたたちが選んだことでもある」
ゼインが少女を見据える。
「お前の言葉は理解した。だが、ひとつだけ聞きたい。“理を織り直す”ってことは、この世界の理にも、影響があるということか?」
少女は静かに頷いた。
「ええ。この世界もまた、理の揺らぎに触れている。放っておけば、こちら側も、あちらと同じ運命を辿る」
リリィが口を開いた。
「……だったら、やるよ。私、やりたい。怖いけど、放っておけない。だって、この世界も、向こうの世界も、ちゃんと生きてる」
テオも続いた。
「僕も。わからないけど、でも、何かを変えたいって思ってる」
少女は二人の言葉を静かに受け止め、微笑んだ。
「なら、私が“理の核心”まで案内する」
空間が再び揺れる。
白い霧が晴れ、まるで世界の中心のような場所が現れた。
そこには、巨大な一本の樹があった。
根は空へと伸び、枝は地へと垂れている。まるで逆さまの世界を映したかのような、不思議な存在。
「これが“原初の樹”。すべての理の記憶が、ここに刻まれている」
ゼインは剣の柄に手を添えた。
「その核心に、何が待っている?」
少女は答えた。
「未来への問い。そして——君たち自身の、真実」
彼女の姿は曖昧だった。輪郭が揺れ、時折、微かな光の粒が宙にほどけていく。
だがその声ははっきりと届いていた。
「私は“門の記憶”。門が開かれ、閉じられ、忘れられていったすべての記録。そして、あなたたちの未来に繋がる通路でもある」
ゼインが前に出た。
「未来……だと?お前が、俺たちに何をさせようとしている?」
少女はかすかに首を振った。
「私は“させる”存在じゃない。私はただ、“示す”。選ぶのは、あなたたち」
リリィが問いかける。
「じゃあ……どうして助けを呼んだの?“たすけて”って、あなたが言ったんでしょ?」
少女は静かに目を閉じると、空間がわずかに揺れた。
その瞬間、リリィたちの周囲に景色が広がった。
それは、かつて存在した別の世界。
荒廃した空。崩れた塔。黒い霧に包まれた土地。
「これは……」
「これが“門の向こう”にある世界。私がいた場所」
テオが一歩前に出る。
「誰かが……泣いてる」
確かに、彼の耳には泣き声のような音が聞こえていた。それはこの空間全体から発せられる悲鳴に似た残響だった。
「この世界は、理を失った。争いと分断と恐怖が、世界を壊した。人々は互いを信じることをやめ、やがて“理”そのものが自壊を始めた」
少女の声には怒りも悲しみもなく、ただ事実を淡々と語る静けさがあった。
「私はその滅びの中で、最後の“記憶”として残された。そして、門が開いた時、こちら側の世界と繋がった」
ゼインが静かに問う。
「それで、お前は何がしたい?」
少女は、テオとリリィを見つめた。
「願いがあるとすれば……もう二度と、世界が自らを壊さぬように。“つなぐ者”と“調停者”が現れたなら、その未来に希望を託したい」
「私たちに、何ができるの?」
リリィの問いに、少女はほのかに微笑んだ。
「あなたたちは、“理”を織り直すことができる。壊れた世界の残響を受け止め、それを越えて新たな“道”を作る。それはとても、苦しく、重いこと。でも……あなたたちの中には、それができるだけの“記憶”と“力”がある」
テオが眉を寄せた。
「……記憶?」
「あなたたちは、門が最初に生まれた時の“原型”を持つ者。だからこそ、今この世界で目覚めた」
リリィとテオは顔を見合わせた。
「それって……生まれる前から決まってたってこと?」
「すべてが定められていたわけじゃない。でも、選ぶ“可能性”を持っていた。それは、あなたたちが選んだことでもある」
ゼインが少女を見据える。
「お前の言葉は理解した。だが、ひとつだけ聞きたい。“理を織り直す”ってことは、この世界の理にも、影響があるということか?」
少女は静かに頷いた。
「ええ。この世界もまた、理の揺らぎに触れている。放っておけば、こちら側も、あちらと同じ運命を辿る」
リリィが口を開いた。
「……だったら、やるよ。私、やりたい。怖いけど、放っておけない。だって、この世界も、向こうの世界も、ちゃんと生きてる」
テオも続いた。
「僕も。わからないけど、でも、何かを変えたいって思ってる」
少女は二人の言葉を静かに受け止め、微笑んだ。
「なら、私が“理の核心”まで案内する」
空間が再び揺れる。
白い霧が晴れ、まるで世界の中心のような場所が現れた。
そこには、巨大な一本の樹があった。
根は空へと伸び、枝は地へと垂れている。まるで逆さまの世界を映したかのような、不思議な存在。
「これが“原初の樹”。すべての理の記憶が、ここに刻まれている」
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「その核心に、何が待っている?」
少女は答えた。
「未来への問い。そして——君たち自身の、真実」
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