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呼んでいる声がする(その12)隣人
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北風はますます勢いを増している。
瑠子は狭いユニットバスの中で考えた。
「寒いな。出たくない。」
が、このままここにいるわけにはいかない。静かな夜だなと瑠子は思った。
音がしない。この部屋だけ異次元に行ってしまったかの様だ。
震える体で、部屋に戻った。
「明日から2月だもんね。」
そこに、また、ドアを叩く音がした。誰だかは察しがついたがドアスコープからのぞいた。
やはり、猫男であった。
「何ですか?」
ドア越しに問うた。
「ねえ、何しているの?」
こっちが聞いているのだと瑠子は思った。
「それより猫のご飯あげました?」
「ああ、大丈夫よ。」
「それなら良いです。」
「君って変わっているよね。」
「人の事言えます?」
猫男は、笑った。
「そうね、言えないな。今日は、寒いよ、気をつけてね。」
余計なお世話と瑠子は思った。それから、猫男の部屋のドアが閉める音がした。
「猫男の癖に生意気なのよ。」
そう、呟くと胸の溜飲が下がった。
震える体で、部屋に戻った。
布団を掛ても体がなかなか温まらない
「酷いな、この寒さは。」
そのせいか明け方、北極の夢を見た。なぜか猫男が、流氷に流されて半泣きになっている夢だった。
「いい気味だわ。」
満足気に呟いた。
しんとし過ぎてなにか予感がして凍える手で窓を開けると街が一面、白かった。
寝ている間に、雪が積もった様で感動だった。
一晩でこんなに積もるなんて、だが、雪は急に降ったのだろうかそして今朝見た夢は予知夢だったのであろうかと瑠子は思った。
その時、瑠子は急に現実に戻った。この雪で瑠子が務めるマーマレードまでの睦月線は運休しただろうか、運休してくれればいいのにと願った。
しかし、思惑外れた。携帯で、確かめると睦月線は動いていた。瑠子はがっかりと肩を落とした
ああ、行かねばなるまい
「人の一生は重き荷を背負いて遠き道を行くがごとし」
と、呟いたが、すぐ反省した。
人生の苦難を知り尽くした重みの有る言葉である。仕事に行きたくない為にあわよくばと語るそんな言葉では無いのだと瑠子は思った。
電気ストーブは部屋全体は暖まらない凍える体で、身支度をしていつもの様に慌ただしく外に飛び出して驚いた。
渡り廊下にも雪は、吹き込んでいた。
そしてこわごわ進むと何と階段も雪で白くなっていた、ただでさえ、急な階段で高度恐怖症の瑠子は、この急階段を恐怖の思いで登っていたのに雪で階段は真っ白である。
助けて,だれかヘルプミーと瑠子は小声で呟いてしまった。
つづく
瑠子は狭いユニットバスの中で考えた。
「寒いな。出たくない。」
が、このままここにいるわけにはいかない。静かな夜だなと瑠子は思った。
音がしない。この部屋だけ異次元に行ってしまったかの様だ。
震える体で、部屋に戻った。
「明日から2月だもんね。」
そこに、また、ドアを叩く音がした。誰だかは察しがついたがドアスコープからのぞいた。
やはり、猫男であった。
「何ですか?」
ドア越しに問うた。
「ねえ、何しているの?」
こっちが聞いているのだと瑠子は思った。
「それより猫のご飯あげました?」
「ああ、大丈夫よ。」
「それなら良いです。」
「君って変わっているよね。」
「人の事言えます?」
猫男は、笑った。
「そうね、言えないな。今日は、寒いよ、気をつけてね。」
余計なお世話と瑠子は思った。それから、猫男の部屋のドアが閉める音がした。
「猫男の癖に生意気なのよ。」
そう、呟くと胸の溜飲が下がった。
震える体で、部屋に戻った。
布団を掛ても体がなかなか温まらない
「酷いな、この寒さは。」
そのせいか明け方、北極の夢を見た。なぜか猫男が、流氷に流されて半泣きになっている夢だった。
「いい気味だわ。」
満足気に呟いた。
しんとし過ぎてなにか予感がして凍える手で窓を開けると街が一面、白かった。
寝ている間に、雪が積もった様で感動だった。
一晩でこんなに積もるなんて、だが、雪は急に降ったのだろうかそして今朝見た夢は予知夢だったのであろうかと瑠子は思った。
その時、瑠子は急に現実に戻った。この雪で瑠子が務めるマーマレードまでの睦月線は運休しただろうか、運休してくれればいいのにと願った。
しかし、思惑外れた。携帯で、確かめると睦月線は動いていた。瑠子はがっかりと肩を落とした
ああ、行かねばなるまい
「人の一生は重き荷を背負いて遠き道を行くがごとし」
と、呟いたが、すぐ反省した。
人生の苦難を知り尽くした重みの有る言葉である。仕事に行きたくない為にあわよくばと語るそんな言葉では無いのだと瑠子は思った。
電気ストーブは部屋全体は暖まらない凍える体で、身支度をしていつもの様に慌ただしく外に飛び出して驚いた。
渡り廊下にも雪は、吹き込んでいた。
そしてこわごわ進むと何と階段も雪で白くなっていた、ただでさえ、急な階段で高度恐怖症の瑠子は、この急階段を恐怖の思いで登っていたのに雪で階段は真っ白である。
助けて,だれかヘルプミーと瑠子は小声で呟いてしまった。
つづく
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