呼んでいる声がする

音羽有紀

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呼んでいる声がする(その13)

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 高所恐怖症の瑠子の心は恐怖にすくみながら瑠子は考えた。もし、滑ってこの急階段から落ちたら、考えれば考える程、悪い考えは深まった。

 やっと、あの家を出てこのイエローハウスに住めたのではないか、だから今終わるわけにはいかないのだ。そんな悲壮な気持ちで階段を見つめていた瑠子の背後で声がした。

振り向くと、瑠子の左隣の部屋の痩せたシニア世代の留萌氏だった。

「ごめんなさいよ。」

 そう言って瑠子の横をすりぬけると顔が小さくて小柄な彼はそう言うと恐怖の階段をひょうひょうと階段を降りて行った。

先陣を切った留萌さんを見て瑠子は少し安心をした。

彼が、あれほど簡単に降りて行かれるなら

大丈夫に違いないと思ったのだ。

 思い切って一段目に右足を置くそれから左足を、同じ場所に落とした。いけるこれなら、一段一段しか降りる事はできないが、それでも下に辿り着く事が出来た。

その様子を下から見上げていた留萌氏は、瑠子に声を掛けた。

「大丈夫?」

「はい。」

 先程とは心持ちが違ってきた瑠子は余裕が引きつった笑いさえ浮かべる余裕ができた。

「良かった。」

そう一言だけ言うと留萌氏は前を歩いて行った。

 「気持ちの良い方だ。」

と思った。

 それからもう一つの難関の坂は階段に比べると楽勝だった。

 安堵のため息をついて羽根駅に向かった。用心深く歩いて行った。

 樹海線は、遅れながらも走っていた。

通勤の人達で駅はいつもの様に人々は行きかっていた。

 傘の雪を落とす為、傘を振り駅の改札を通り抜けた。雑貨屋マーマレードには、客は雪の為少なかった。

 その上、途中で電車が止まったら困るからと6時にお帰りなさいと長谷佐季店長が言って帰る事になった。しかしもう手遅れかもしれないと思った。

 朝は2センチ位だったが、今は15センチも

積もっている。浜風駅に着くと人々が溢れていた。

 そして、電車は動いて無いという衝撃のアナウンスが耳に飛び込んで来た。

 途方にくれた瑠子は、考えた。

そうだ、バスが有るわ

 駅前のバス停は長打の列であった。

 しかし、ここで待っていれば本当に着くのだろうか。

 雪はどんどん降り積もって来た。それと共に

瑠子の着ているコートに雪が降り積もってそれが、溶けて濡れて酷く体が冷たい。

 2時間待ったが、バスは来ない。

 こんな時、家族の人が迎えに来たりしてくれるのだろうか。

 しかし瑠子には気にかけてくれる人はいなかった。
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