呼んでいる声がする

音羽有紀

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呼んでいる声がする(その14) 大雪の日

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 雪はしんしんと積もり冷たい風のせいでバス停の屋根が有るにもかかわらず瑠子のコートに雪は吹き込み積もった。

 迎えに来る人はいない者だけが当て所もないバスを待っている。

瑠 子は忍耐は慣れていたしこういう場合辛いとは思わなかった。どんな土砂降りでも迎えに来てくれる人はいないのがあたりまえでの注がれる愛が無い家庭であった。

 4時間後10時になろうとした時間にバスはやってきた。

 安堵してバスの座椅子に腰かけたのもつかの間、バスは渋滞の為ほとんど動かなかった。

 真っ白の中を走って行くバス。動かないせいか、暖房は効かなくなって恐ろしい程の

寒さである。

 その中で2時間、じっと座っている瑠子の雪が積もったコートは濡れて体の体温を奪っていった。今なら降りて歩いていこうと決心した。

 駅まで1キロ位の距離になったからだ。このまま、バスに乗っていたら朝になってしまう。

瑠子はバスを降りた。

 辺りは、雪が一面に降ってまるで瑠子だけの街の様であった。遠くの方に波音が聞こえて来る。吸い寄せられる様に瑠子は波の方へと歩いて行った。寄せては返す波の音、真っ暗でほとんど見えない。凍える体で、波音の方に寄って行った。

湿った腕時計を見るともう12時が過ぎていた。ここで眠ろうかなと、瑠子は海を見ながら思った。

どうせ私がここで冷たくなっていても誰も悲しむ人

なんていない、自虐的に笑った。

 波の音はあたたかい。

 明日、遅刻出来ない。ここで夜の海を見ていようか。

瑠子はそう思った。

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