呼んでいる声がする

音羽有紀

文字の大きさ
23 / 61

呼んでいる声がする(その23)カリカリと海

しおりを挟む
 ネコ達は、ご飯を食べて寛ぎ毛づくろいを始めた。

クロちゃんの頭を撫でた。この辺は、畑だから近所迷惑にならないなと思い良かったと胸を撫でおろした。

 ネコの声も人間の声も聞こえないからねと瑠子は思った。

暫く猫達を撫でていた。

「イエローハウスはペット禁止だからね、でもいいや、貴方達がいるから。」

 帰る時、猫達は、ちょこんと座ってこちらを見送ってくれた。

かじかんだ手をポケットに手を入れてイエローハウスに瑠子は向かった。

 夜中に窓から外を見ていたら遠くから猫男が歩いて来るのが見えた。

彼は窓辺に立っている瑠子に気がつくと彼女の方に手を振って来た。瑠子も手を振ってみた。

それから呟いた。

「人の部屋の窓の景色の中に表れないで欲しいのわね。」

 小さく呟くと蓮子は台所に置いた猫のごはんのカリカリの箱を見つめた。

それから、猫男が自分の部屋のドアを閉める音がしたので安心してまた窓を開けた。遠くに小さく海が見える。蓮花と海に行く事を思い出した。

遠くで海がきらきらと輝いていた。

 翌日に、又、蓮子と決めた待ち合わせ場所の坂を下りた所すぐの海岸に行った。

 蓮子は本当に来るのだろうかと心配したがそれは無用であった。5分前に蓮子は笑顔で現れたからだ。

毛糸のチャコグレーの帽子を被っていた。キノコの妖精みたいだと瑠子は思った。蓮子は思わず声をあげた

「かわいい。帽子。」

「えっ。あ、ありがとう。」

 照れた様に言った。

駅の近くのコンビニに寄って、瑠子は、鱈子のおにぎりと、チョコレートポッキーを買った。

 蓮子は、卵とハムのサンドイッチを手に取った。

 瑠子は、家から持ってきたビニールを波打ち際から少し離れた所に敷いた。

「どうぞ。」

「ありがとう。」

それから水筒を蓮子がトートバックから取り出した。

「紅茶入れて来たの。」

それは、小型の赤い水筒だった。

「わあ。」

にこっと蓮子は笑った。紙コップも持って来てくれていて出して瑠子の分も注いだ。

座って、じっと無言で、二人は海を見た。

どこまでも続く海、いつ見ても飽きないと瑠子は思った。

「こないだ夜中の海を見たんだ。ほら、あの大雪の日、夜中になっちゃった日に」

「あの雪の日。」

興味深げな表情で蓮花は言った。               つづく

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

地味男はイケメン元総長

緋村燐
青春
高校一年になったばかりの灯里は、メイクオタクである事を秘密にしながら地味子として過ごしていた。 GW前に、校外学習の班の親交を深めようという事で遊園地に行くことになった灯里達。 お化け屋敷に地味男の陸斗と入るとハプニングが! 「なぁ、オレの秘密知っちゃった?」 「誰にも言わないからっ! だから代わりに……」 ヒミツの関係はじめよう? *野いちごに掲載しているものを改稿した作品です。 野いちご様 ベリーズカフェ様 エブリスタ様 カクヨム様 にも掲載しています。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

処理中です...