呼んでいる声がする

音羽有紀

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呼んでいる声がする(その39)チョコレート中毒

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  二人で一時間程、やまももの木について話しているうちに眠くなって

いつの間にか眠っていた。

 二人は働きに行きたくは無かったがしぶしぶ行った。

昨日までの雪が嘘の様にサンサンと晴れ渡り雪は、だんだんと溶けて行った。

 歩きながら瑠子は蓮花といい、猫男といいそして自分自身の境遇が似ている

と感じて横を歩く蓮花を瑠子は見た。その表情は疲労感が漂っている。

 ほとんど眠ってないからだなと、気の毒だと思った。

 彼女のあの夢を思い出した。蓮花の前世は戦争中だったのだろうか。

口数も少なく列車に乗り二人は職員用の通用口から入った。

 眠さを堪えての就業であった。

 

 凍える様な帰り道、今日も秀子ちゃんに会いに行って

チョコレートを買おうと思った瑠子は浜風駅の改札口を潜り抜けた。

ふいに呼び止める声がした。

「瑠子ちゃん。」

 聞き慣れたその声に振り向くと猫男であった。

「昨晩はすみませんでした。」

「あら?」

「夜中に。」

「ああ、それ。友達が来ていて、すごく

ね・・紫苑さんのこと怖がってた。」

「え、そうなの。それは二重に悪い事しちゃたね。」

「うん、怯えてたもん。」

と、瑠子はわざと暗い顔をした。

「じゃあ、謝っておいてよ。言い訳じゃ無いけれど、昨日またあの人と会いに行っちゃって。」

「お母さん?」

「なんか、甘い期待して

 そしたら今度はドアも開けてもらえなかった。

俺、バカだよね。それでなんか飲みに行っちゃて。」

「あたしもストレス貯まるとやるけれど。」

「え、瑠子ちゃんも、酒?」

「いいえ、あたしは、チョコレートの中毒です。」

「へっ、面白いね。」

 それから黙った猫男は、なんか言いたそうな表情をしたが黙って歩いていた。


「今日さ、女友達に最低って言われたよ。」

「何かしたんですか?」

「・・・・何もしないから。」

「えっ?」

それきり瑠子は沈黙したが、

口火を切ってしまった。

「モテるんですね。」

 皮肉たっぷりに瑠子は言った。

「いや、そんな事ないよ。」

その返しの言葉さえカッコつけてる様に感じた。

雪解けで早く歩けない瑠子に速度を合わしてくれている猫男を横に感じた。



                                  つづく


いつも読んでいただいてありがとうございます。素敵な日曜日を。
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