呼んでいる声がする

音羽有紀

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第2章

呼んでいる声がする(第2章)その10 人魚姫

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 蓮花はその様な思いをはっきりした声で言った。

心底愛してくれる人が助けだしてくれるのを待っているなどとその様な本音を

今まで蓮花から聞いた事が無かったので驚いた。

念の為に愚問ではあるが蓮花に聞いた。

「それって、もちろん今の彼氏では無いよね。」

「そうではない。」

吐き捨てる様に蓮花は言った。

「そうだよね。」

と、瑠子はお道化た。

「あー波音が聞こえる。瑠子ちゃんのアパートの周辺に来たって気がする。」

蓮花は嬉しそうだった。

「海を泳いで行ったら外国の素敵な人と出会えるかも、人魚姫の王子みたいな人。」

「あ、それ最後、王子は隣国の王女と結婚してしまうよ。」

「そうだった。」

話しを思いだしたのか蓮花の表情は沈んだ。

 瑠子は、蓮花がそのまま黙ってしまったので心配になった。

黙って冷たい海風のにおいのする海岸沿いの道路を二人で歩いて行ったが、

 沈黙を破って瑠子が決意表明っぽく言葉を発した。

「あたし、つき合っている人が、そんな事したらその許さない。」

「今つき合ってる人?」

 不躾とは思ったが、関係が気になっている瑠子は、聞かずにいられなかった。

「違う。本当に好きになった人。」

「今の人はどんな。」

「わからない、ただ、一人になるのが怖いのかも。」

 蓮花は淀んだ表情で言った。

 瑠子は思った。なんだか、蓮花って本当に人魚みたいだなと思った。

「蓮花ちゃんて、足ヒレないよね。」

「え、何?人魚じゃ無いよ。」

「人間の感じがしないよ。」

「あたし、泡になって消えちゃうの?」

蓮花が、冗談ぽく言った。

「そうではないけれど。」

と、笑いながら言った。

「でも、やっぱり蓮花ちゃんには、ふさわしい王子がいるんだなって思う。」

「ほんと?」

 蓮花は頷いた。

 だから、あんな蓮花を悲しませる彼氏やめなよと心の中で思った。

 長い坂を登り猫に二人でご飯をあげてからイエローハウスに着くと二人でパスタを作った。

インスタントのソースを使って買って来たベーコンを入れただけのカルボナーラだった。

しかし、蓮花はすごく喜んで

「美味しい。」

と嬉しそうだった。

「早く家を出たいなあ、そして自分で作るんだ。」

「そうしなよ。」

「でも、お金が貯まらないの、半分家に渡さなきゃいけないから。」

「え、そうなの?」

瑠子は心底驚いた。それでは、貯められるわけが無いではないかと瑠子は憤りを感じた。

「それじゃあ、蓮花ちゃん、一生家出れないよ。まあ、結婚すれば別だけれど。」

「そうかな。」

「そうだよ。あ、だからって変な人と結婚しちゃ駄目だよ。」

「しないよ。」

「ほんと?」

「好きじゃないもん。」

蓮花は、ほっとした。

 それから、二人でお皿を洗った。

「こうして平和に過ぎていく日常っていいね。」

それから顔を見合わせて二人で笑った。

「あたしはずっと一人でいるよ。」

「瑠子ちゃんは強いな、あたしは無理。」

「そうだね、蓮花ちゃんがずっと一人だったら心配だよ。」

 そのとき、初めて羽根駅近くで会った時に泣いていた蓮花を思いだした。

 夢で見る女の人も一途な人かもしれないと瑠子は思った。



                               つづく

                             



読んでいただいてありがとうございます^^
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