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第1話
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アレクサンドラ・イワーノヴナ・オルロワは、オルロフ伯爵家の長女として、ソルトモーレ帝国オルトにて生を受けた。
夫妻は、待望の一子に非常に喜び、掌中の珠、蝶よ花よ、猫可愛がり、形容をいくら並べても並べ足りない溺愛を娘に注いだ。
その結果、アレクサンドラは、利発で気品があり、意志が強く、好き嫌いがくっきりとして、取捨選択に容赦がなく、こうと思ったことは理由をいくつも用意して是が非でも押し通す、気位も驕りも高い娘に成長していった。
跡継ぎとしての学びを得るためと、若くして公証長の補佐としてデビューしたアレクサンドラは、彼女の理想の実現を職員に要求して憚らず、誰からも敬遠され嫌悪され、己の仕打ちの報いを受けるかのように階段から突き落とされて、命の終わりを迎えた。
ところが、どのような神の思し召しがあったのか、アレクサンドラは再び目を覚まし、しかもそれまでの記憶を所持したまま4歳まで時が巻き戻されていた。
殺されたショックで己の罪を自覚し、自分の仕打ちを悔いたアレクサンドラは、"生前"と打って変わって臆病で引っ込み思案な少女となった。
彼女がかつて掻き乱した公証については、継がないわけにはいかないものの、余計なことはせず控えめに務めていこうと志した。
しかし、状況の変化と、巻き戻っても失われなかった責任感とが慎ましい生き方を許さず、運命はアレクサンドラを、公証に起こった大事件に、次代の公証長として対処させる道へと軌道を修正した。
第一王子ニコライ・フョードロヴィチの思わぬ力添えもあり、事件は一旦は解決し、オルロフ家は公証の権能を維持することができ、アレクサンドラはニコライ王子を夫として迎えると同時に公証長の座に着いた。
アレクサンドラは、まだ経験が足りないと必死に辞退したのだが、今こそが好機であると父伯爵は頑として譲らず、父伯爵が顧問として助言・指導を続けることを条件に就任を受け入れた。
こうしてアレクサンドラは、公証長として、それから妻としての新たな道を歩き出した。
もっとも新たな道とは言っても、公証においてアレクサンドラがやらねばならぬことに変化はなかった。
補佐から長に昇格し、名実ともに全てを統括する立場に就いたものの、元々公証で起こることは自らの責任だと心得ていた彼女にとっては、心構えとしての変化はなかった。
むしろ、公証の信頼回復と、詐欺事件のために棚上げになっていた改革に早く道筋を付けなければと、引き続き頭を悩ませていた。
詐欺事件については、犯人グループは皆逮捕され、損害の補填はオルロフ家が行ったものの、公証への信頼に付いた傷はまだ開いている。
時間経過にある程度頼らなければならないが、自らも回復のための行動を取る必要がある。
一連の事件は犯罪であったものの、公証内でなされた行為は、認証時のルーティーンを多忙な場合は省略するというルール違反がまかり通っていたことが一因になった。
公証のルールは、長い歴史の中で、職員が手順と認証内容を誤らないように順次設けられてきたものだ。
むやみに数が増え、有効に機能しないがそのままになっているものも含まれていたが、だからといって職員それぞれが勝手に省略することは許されないし、今回の認証に係る確認作業は重要性が高く、棚卸により消えるということはあり得ない手順だった。
手続の見直しは、事件前から既に進めているが、各作業の設定理由を改めて知らしめることも必要だと、アレクサンドラは思案した。
それから台帳の差し替えなど、不正自体が行えない仕組みを考えなければならない。
悪知恵を働かせる者自体を公証から完璧に排除することは難しくとも、この環境と条件ではリスクが高いと断念させることはできる。
そのためには、台帳の管理状況なども見直すべきだろうが、事務処理上の便宜とのバランスが重要だと思い付いて、対応リストに連ねていく。
やるべきことは多かったが、最初に何をすべきかという案は見えているものばかりだった。
問題はこれだわ、とアレクサンドラは書斎机の引き出しから、走り書きで埋まった紙を取り出す。
帝都以外にも公証の窓口を作ることは、アレクサンドラに知恵を授けてくれた農夫婦とした約束だった。
時間がかかるとは告げたものの、あまり待たせるのも気が引けるし、貴族は口だけだと彼らに思われたく、最優先で進めたいところだったが、取り出した紙はリストとは打って変わって、彼女らしからぬ乱雑な字、崩れた言葉で埋められていた。
窓口を作るには何が必要か、何を検討しなければならないか、その項目を解決する方法には何があるか、考えるべきことが次々と思い浮かんで秩序立てることができず、思考の整理のために書き出していった結果が、裏面まで書き付けのあるこの黒ずんだ紙面であった。
しかも、乱れているのは体裁だけではない、内容についても、"どうするのか"と疑問のまま止まっているものが散見された。
窓口にはどういう機能を持たせるのか、受付だけか、審査もさせるのか、審査はどこまでさせるのか。
帝都にある現在の公証と、その窓口との役割分担はどうするのか。
事務の正確性はどうやって担保するのか。
職員の資質向上の図り方は。
設置場所はどこにするのか、何か所設置するのか、場所の確保方法は。
それから、アレクサンドラがまだ思い付けていない未知の要素を解決した上で、国王陛下の許諾を頂けるのか。
基礎知識の学習は十二分でも、窓口の設置方法など学んだ中には当然含まれていない。
応用力で対応すべき事項なのだが、実務の空気には触れて日が浅いというアレクサンドラは、知識や理論に気を取られてしまい、現実にそれを適用したらどうなるかというところまでまだ頭が回らない。
何を言うかではなく、誰が言うか。
農夫婦に教わったことを身に着けようと努めているが道は険しく、父伯爵のような年の功を蓄えていない彼女が、公証の歴史に斬新な一歩を刻むことができるものなのか、非常に悩ましいことであった。
*
新公証長のアイディアについて率直な意見を求められた上役達の1人が、
「何と申しますか、難しゅうございましょうなあ」
と控えめな響きで頭を掻き、他の者も皆同調の沈黙を示した。
アレクサンドラは、予想通りの反応に落胆しながら、「そう、ありがとう」と微笑みでそれを隠す。
「ちなみに、どういうところが難しいと思うかしら」
実務に長けた者達の意見を聞きたいと、強く響かないように尋ねると、今発言をした者が、
「そうですなあ。一番は、お作りになる窓口にどういう役割をさせるか、でございましょうか」
と答えた。
「役割。そうね、確かに」
「ええ。窓口は帝都から離れたところに設置するのでしょうが、そちらに、今公証に備え付けてある台帳と、同じものを置くことはできますまい。複製が不可能でございますからな。そうすると、当然認証は実施できないことになりますゆえ」
「窓口に置く職員の確保もございます。帝都から遠ければ、今勤めている者から割くのは難しいかもしれません」
「かといって近ければ、敢えて窓口を置く意味が削がれるでしょうし」
他の上役達も次々に口を開き、問題点を述べていく。
大体は、アレクサンドラが書き出した内容をなぞる発言であり、彼女が考えた懸念が、実務上でも同じだということが確認できただけでも収穫だと己を慰めていると、また別な1人から控えめに問いかけがあった。
「恐れながら、公証長は何ゆえに窓口を設けようと思われたのでございましょうか」
そういえば伝え忘れていた、とアレクサンドラが、帝都外の者が認証を受けたくとも、帝都まで赴く手間が障害になっているという声を複数聞いたのがきっかけになったことを話すと、その上役は眉を下げて、悩み悩みというように
「お志を抱かれたのはごもっともでございますが、導入、特に時期については慎重な検討が必要だと存じます。
特に今、先般の事件で公証は揺らいでおります。職員も、手続に手間取るなどした場合に、捨て台詞と申しますか、中傷を受けることもあるようです。
利便性向上に繋がることとはいえ、今新しいことを始めるのはタイミングが悪うございます。
まずは、信頼の回復に力を注いで礎を築き直さなければ、問題から目を逸らせようとしていると思われかねません」
と訴えるように言った。
他の者達もそれを頷きながら聞くようであり、アレクサンドラも「言いたいことは分かりました」と宥めてその場を引き下がるしかなかった。
夫妻は、待望の一子に非常に喜び、掌中の珠、蝶よ花よ、猫可愛がり、形容をいくら並べても並べ足りない溺愛を娘に注いだ。
その結果、アレクサンドラは、利発で気品があり、意志が強く、好き嫌いがくっきりとして、取捨選択に容赦がなく、こうと思ったことは理由をいくつも用意して是が非でも押し通す、気位も驕りも高い娘に成長していった。
跡継ぎとしての学びを得るためと、若くして公証長の補佐としてデビューしたアレクサンドラは、彼女の理想の実現を職員に要求して憚らず、誰からも敬遠され嫌悪され、己の仕打ちの報いを受けるかのように階段から突き落とされて、命の終わりを迎えた。
ところが、どのような神の思し召しがあったのか、アレクサンドラは再び目を覚まし、しかもそれまでの記憶を所持したまま4歳まで時が巻き戻されていた。
殺されたショックで己の罪を自覚し、自分の仕打ちを悔いたアレクサンドラは、"生前"と打って変わって臆病で引っ込み思案な少女となった。
彼女がかつて掻き乱した公証については、継がないわけにはいかないものの、余計なことはせず控えめに務めていこうと志した。
しかし、状況の変化と、巻き戻っても失われなかった責任感とが慎ましい生き方を許さず、運命はアレクサンドラを、公証に起こった大事件に、次代の公証長として対処させる道へと軌道を修正した。
第一王子ニコライ・フョードロヴィチの思わぬ力添えもあり、事件は一旦は解決し、オルロフ家は公証の権能を維持することができ、アレクサンドラはニコライ王子を夫として迎えると同時に公証長の座に着いた。
アレクサンドラは、まだ経験が足りないと必死に辞退したのだが、今こそが好機であると父伯爵は頑として譲らず、父伯爵が顧問として助言・指導を続けることを条件に就任を受け入れた。
こうしてアレクサンドラは、公証長として、それから妻としての新たな道を歩き出した。
もっとも新たな道とは言っても、公証においてアレクサンドラがやらねばならぬことに変化はなかった。
補佐から長に昇格し、名実ともに全てを統括する立場に就いたものの、元々公証で起こることは自らの責任だと心得ていた彼女にとっては、心構えとしての変化はなかった。
むしろ、公証の信頼回復と、詐欺事件のために棚上げになっていた改革に早く道筋を付けなければと、引き続き頭を悩ませていた。
詐欺事件については、犯人グループは皆逮捕され、損害の補填はオルロフ家が行ったものの、公証への信頼に付いた傷はまだ開いている。
時間経過にある程度頼らなければならないが、自らも回復のための行動を取る必要がある。
一連の事件は犯罪であったものの、公証内でなされた行為は、認証時のルーティーンを多忙な場合は省略するというルール違反がまかり通っていたことが一因になった。
公証のルールは、長い歴史の中で、職員が手順と認証内容を誤らないように順次設けられてきたものだ。
むやみに数が増え、有効に機能しないがそのままになっているものも含まれていたが、だからといって職員それぞれが勝手に省略することは許されないし、今回の認証に係る確認作業は重要性が高く、棚卸により消えるということはあり得ない手順だった。
手続の見直しは、事件前から既に進めているが、各作業の設定理由を改めて知らしめることも必要だと、アレクサンドラは思案した。
それから台帳の差し替えなど、不正自体が行えない仕組みを考えなければならない。
悪知恵を働かせる者自体を公証から完璧に排除することは難しくとも、この環境と条件ではリスクが高いと断念させることはできる。
そのためには、台帳の管理状況なども見直すべきだろうが、事務処理上の便宜とのバランスが重要だと思い付いて、対応リストに連ねていく。
やるべきことは多かったが、最初に何をすべきかという案は見えているものばかりだった。
問題はこれだわ、とアレクサンドラは書斎机の引き出しから、走り書きで埋まった紙を取り出す。
帝都以外にも公証の窓口を作ることは、アレクサンドラに知恵を授けてくれた農夫婦とした約束だった。
時間がかかるとは告げたものの、あまり待たせるのも気が引けるし、貴族は口だけだと彼らに思われたく、最優先で進めたいところだったが、取り出した紙はリストとは打って変わって、彼女らしからぬ乱雑な字、崩れた言葉で埋められていた。
窓口を作るには何が必要か、何を検討しなければならないか、その項目を解決する方法には何があるか、考えるべきことが次々と思い浮かんで秩序立てることができず、思考の整理のために書き出していった結果が、裏面まで書き付けのあるこの黒ずんだ紙面であった。
しかも、乱れているのは体裁だけではない、内容についても、"どうするのか"と疑問のまま止まっているものが散見された。
窓口にはどういう機能を持たせるのか、受付だけか、審査もさせるのか、審査はどこまでさせるのか。
帝都にある現在の公証と、その窓口との役割分担はどうするのか。
事務の正確性はどうやって担保するのか。
職員の資質向上の図り方は。
設置場所はどこにするのか、何か所設置するのか、場所の確保方法は。
それから、アレクサンドラがまだ思い付けていない未知の要素を解決した上で、国王陛下の許諾を頂けるのか。
基礎知識の学習は十二分でも、窓口の設置方法など学んだ中には当然含まれていない。
応用力で対応すべき事項なのだが、実務の空気には触れて日が浅いというアレクサンドラは、知識や理論に気を取られてしまい、現実にそれを適用したらどうなるかというところまでまだ頭が回らない。
何を言うかではなく、誰が言うか。
農夫婦に教わったことを身に着けようと努めているが道は険しく、父伯爵のような年の功を蓄えていない彼女が、公証の歴史に斬新な一歩を刻むことができるものなのか、非常に悩ましいことであった。
*
新公証長のアイディアについて率直な意見を求められた上役達の1人が、
「何と申しますか、難しゅうございましょうなあ」
と控えめな響きで頭を掻き、他の者も皆同調の沈黙を示した。
アレクサンドラは、予想通りの反応に落胆しながら、「そう、ありがとう」と微笑みでそれを隠す。
「ちなみに、どういうところが難しいと思うかしら」
実務に長けた者達の意見を聞きたいと、強く響かないように尋ねると、今発言をした者が、
「そうですなあ。一番は、お作りになる窓口にどういう役割をさせるか、でございましょうか」
と答えた。
「役割。そうね、確かに」
「ええ。窓口は帝都から離れたところに設置するのでしょうが、そちらに、今公証に備え付けてある台帳と、同じものを置くことはできますまい。複製が不可能でございますからな。そうすると、当然認証は実施できないことになりますゆえ」
「窓口に置く職員の確保もございます。帝都から遠ければ、今勤めている者から割くのは難しいかもしれません」
「かといって近ければ、敢えて窓口を置く意味が削がれるでしょうし」
他の上役達も次々に口を開き、問題点を述べていく。
大体は、アレクサンドラが書き出した内容をなぞる発言であり、彼女が考えた懸念が、実務上でも同じだということが確認できただけでも収穫だと己を慰めていると、また別な1人から控えめに問いかけがあった。
「恐れながら、公証長は何ゆえに窓口を設けようと思われたのでございましょうか」
そういえば伝え忘れていた、とアレクサンドラが、帝都外の者が認証を受けたくとも、帝都まで赴く手間が障害になっているという声を複数聞いたのがきっかけになったことを話すと、その上役は眉を下げて、悩み悩みというように
「お志を抱かれたのはごもっともでございますが、導入、特に時期については慎重な検討が必要だと存じます。
特に今、先般の事件で公証は揺らいでおります。職員も、手続に手間取るなどした場合に、捨て台詞と申しますか、中傷を受けることもあるようです。
利便性向上に繋がることとはいえ、今新しいことを始めるのはタイミングが悪うございます。
まずは、信頼の回復に力を注いで礎を築き直さなければ、問題から目を逸らせようとしていると思われかねません」
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