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第20話(3)
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まずは1人目、とトルベツコイ公爵への面会を果たしたアレクサンドラは、戻って来た公証の執務室で、メイドに持って来させた飲み物で、気疲れを癒そうとしていた。
初めて運動の効果を実感し、勇気を出して行動に移したのは幸いであったと自分の判断を肯定的に捉えたが、騙したようであまり気分が良いものではなく、その分爽やかな喜びを得たと言うわけにはいかなかった。
それに、やはり場所の指摘をされた。
それも、まずもっと適した土地へ設置すべきではないかという指摘ではなく、専ら自家の領地の便宜を図りたいという誤解が先に来るのか、とアレクサンドラは己の読みの甘さを反省した。
まあ悔いていても仕方ない、トルベツコイ公爵からは理解は頂戴できたし、入念にシナリオを書いても零れ落ちることがある、初手で体験したのは幸いだと無理矢理思うことにした。
他の公侯爵達には、説明の中で、第2の都市メルジューンは検討と交渉だけは行った旨を折り込むことを思案しながら、いずれ、他の予想外の質問が飛んで来る覚悟は必要だった。
議長のデミトフ公爵となると、もはや備えること自体が愚行なのかもしれなかった。
何とかここまでは来られた、元老院へ説明するところまでは辿り着いた。
アレクサンドラの目標は、オルトに窓口を作れば達成される。
ゆえに、アレクサンドラはメルジューンが破談になった時点で、代案を探す意欲が削がれていた。
本来は、他の土地への設置を考える必要がなく、メルジューンでさえも、元老院対策で盛り込んだに過ぎなかった。
しかし、帝国民の利益を考えると、今は、オルトをゴール地点とすることが非常な手落ちなのではないかと次第に思えて来る。
トルベツコイ公爵からも、"次"の検討について明確な指示があった。
本音としては、ベルケンドルフ公爵と対峙した苦痛を、また違う苦労として味わうのは心が磨り減ることであって、もう向き合いたくはなかった。
しかし、現状としてそういう未来が否応なく待ち構えている。
このような心弱りでは、議長公爵に太刀打ちできないと自らを奮い立たせるのだが、次をどうしたら良いのかという、答えを出せない課題に眼前を遮られる感じが拭えないまま、次の面会に向けて、W公爵宛ての手紙を書き始めた。
3人の公侯爵への面会は、トルベツコイ公爵が言葉通り助力してくれたようで、スムーズに叶った。
アレクサンドラは公爵に心から感謝しながら、予定通り、W公爵、U侯爵、そしてV侯爵へと面会をし、説明を行った。
W公爵は、舞踏会への招きに応じたことへの丁寧な礼とともに、快い出迎えを受けたが、肝心の説明段階では、何故今、窓口設置という新しい試みをも望むのか、遺言状ほど社会問題になっていないのではないかと微細に問い質された。
U侯爵は、まあ将来オルト以外にも作るつもりなら良いでしょう、ここが良いというアイディアはお持ちなのですかと気楽に、V侯爵はそれと対照的に、オルトを先行させることの理屈が立たないという考えをなかなか緩めてはくれなかった。
メルジューンが駄目だった話を伝えると、ではここはどうか、そこは、と1都市ずつその場で、アレクサンドラに見解を述べさせながら検討を始め、オルトと同程度の都市までが全て候補から消えてから、ようやく「では仕方なかろう」と渋々の承諾を与えられた。
運動は自分を磨り減らすものだと、刻々と思い知られているアレクサンドラは、己の公証長としての資質を再び疑い始めていた。
必要な政策と考えたから懸命に動いていたが、これほど苦労するのは力不足がゆえなのではないか、そもそも、このように苦労をして押し通すべき改革だったのかさえ疑った。
自分の判断と覚悟は、当初こそ確固たるものだったはずが、今は、農夫婦と約束を違えるのは恥だという意地だけで動いているのではないかと深く悩んだ。
思い通りには事が運ばないとは、覚悟はしていたつもりだったが本当につもりだけで、実際障害を感じると癇癪は起こさないまでも非常な窮屈を覚えてしまうのは、どうやら巻き戻る前からの資質は、"前世"には置いて来られなかったようだと苦笑いが零れる。
これから、思い通りに行かないことだらけだろうに、このままどうやって公証長を務めて行けるのか。
初めて運動の効果を実感し、勇気を出して行動に移したのは幸いであったと自分の判断を肯定的に捉えたが、騙したようであまり気分が良いものではなく、その分爽やかな喜びを得たと言うわけにはいかなかった。
それに、やはり場所の指摘をされた。
それも、まずもっと適した土地へ設置すべきではないかという指摘ではなく、専ら自家の領地の便宜を図りたいという誤解が先に来るのか、とアレクサンドラは己の読みの甘さを反省した。
まあ悔いていても仕方ない、トルベツコイ公爵からは理解は頂戴できたし、入念にシナリオを書いても零れ落ちることがある、初手で体験したのは幸いだと無理矢理思うことにした。
他の公侯爵達には、説明の中で、第2の都市メルジューンは検討と交渉だけは行った旨を折り込むことを思案しながら、いずれ、他の予想外の質問が飛んで来る覚悟は必要だった。
議長のデミトフ公爵となると、もはや備えること自体が愚行なのかもしれなかった。
何とかここまでは来られた、元老院へ説明するところまでは辿り着いた。
アレクサンドラの目標は、オルトに窓口を作れば達成される。
ゆえに、アレクサンドラはメルジューンが破談になった時点で、代案を探す意欲が削がれていた。
本来は、他の土地への設置を考える必要がなく、メルジューンでさえも、元老院対策で盛り込んだに過ぎなかった。
しかし、帝国民の利益を考えると、今は、オルトをゴール地点とすることが非常な手落ちなのではないかと次第に思えて来る。
トルベツコイ公爵からも、"次"の検討について明確な指示があった。
本音としては、ベルケンドルフ公爵と対峙した苦痛を、また違う苦労として味わうのは心が磨り減ることであって、もう向き合いたくはなかった。
しかし、現状としてそういう未来が否応なく待ち構えている。
このような心弱りでは、議長公爵に太刀打ちできないと自らを奮い立たせるのだが、次をどうしたら良いのかという、答えを出せない課題に眼前を遮られる感じが拭えないまま、次の面会に向けて、W公爵宛ての手紙を書き始めた。
3人の公侯爵への面会は、トルベツコイ公爵が言葉通り助力してくれたようで、スムーズに叶った。
アレクサンドラは公爵に心から感謝しながら、予定通り、W公爵、U侯爵、そしてV侯爵へと面会をし、説明を行った。
W公爵は、舞踏会への招きに応じたことへの丁寧な礼とともに、快い出迎えを受けたが、肝心の説明段階では、何故今、窓口設置という新しい試みをも望むのか、遺言状ほど社会問題になっていないのではないかと微細に問い質された。
U侯爵は、まあ将来オルト以外にも作るつもりなら良いでしょう、ここが良いというアイディアはお持ちなのですかと気楽に、V侯爵はそれと対照的に、オルトを先行させることの理屈が立たないという考えをなかなか緩めてはくれなかった。
メルジューンが駄目だった話を伝えると、ではここはどうか、そこは、と1都市ずつその場で、アレクサンドラに見解を述べさせながら検討を始め、オルトと同程度の都市までが全て候補から消えてから、ようやく「では仕方なかろう」と渋々の承諾を与えられた。
運動は自分を磨り減らすものだと、刻々と思い知られているアレクサンドラは、己の公証長としての資質を再び疑い始めていた。
必要な政策と考えたから懸命に動いていたが、これほど苦労するのは力不足がゆえなのではないか、そもそも、このように苦労をして押し通すべき改革だったのかさえ疑った。
自分の判断と覚悟は、当初こそ確固たるものだったはずが、今は、農夫婦と約束を違えるのは恥だという意地だけで動いているのではないかと深く悩んだ。
思い通りには事が運ばないとは、覚悟はしていたつもりだったが本当につもりだけで、実際障害を感じると癇癪は起こさないまでも非常な窮屈を覚えてしまうのは、どうやら巻き戻る前からの資質は、"前世"には置いて来られなかったようだと苦笑いが零れる。
これから、思い通りに行かないことだらけだろうに、このままどうやって公証長を務めて行けるのか。
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