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始まりの物語。
騎士団見学に、出発です!
しおりを挟む今、わたくしと父様(パパ)は、馬車に乗って騎士団見学(父様にとっては訓練)に向かっている途中です。
楽しみですね。
わたくし、前の生では無縁だったもので。
何をするのでしょう。
「何をやるのか気になっているのか?」
「はい。見学できるということは、護衛や討伐といった任務ではないのですよね?」
「はははっ ユリアは小さいのに、そんなことまで知っているのか。
わたしは、きっかけをつかめないばかりに、成長を見守りそこねたからな。
くやしい…」
「パパったら、やめてください。
恥ずかしいですわ。」
「家の娘はなんて可愛いんだ!」
完全に親ばか確定ですね。
あはは。でも嬉しいですね。
「今日は、訓練をするんだ。チームワークや、それぞれの実力を上げるためにな。」
なるほど、確かに、チームワークは、大切ですね。
それに、それぞれの実力を高めるのも大切です。
わたくしは、どうして訓練のことを忘れていたのでしょう。
とても大切なことなのに、です。
…考えてみると、色々、記憶のパーツが揃いませんね。
例えば、前の生でわたくしを陥れた、彼女の名前とか。おそらくの推測ですが、前の生での記憶は、10歳のわたくしには、多すぎたのではないでしょうか。
入り切らなかった記憶があるのではないでしょうか。
そのせいで、訓練のことも忘れていたのでしょう。彼女の名前なども。
「教えてくださってありがとうございます。
楽しみです!」
「いや、大したことじゃない…」
あっ、態度が元に戻りました。
でも、今なら、父様(パパ)が、わたくしを愛してくれていること、ちゃんとわかっていますよ!
あっ、馬車が止まりました。ついたようですね。
わくわくが止まりません。
(目がキラキラしてるな。
そんなに喜んでもらえるなんて…誘ってよかったな。)
?父様(パパ)は、なにか考えているのでしょうか?
「ついたぞ。降りるの、手伝おうか?」
「ありがとうございますわ。では、お言葉に甘えて…」
前の生の舞踏会で、散々身内にエスコートしてもらっているのを見ていたので、わたくしも経験できて、嬉しいですね。
こんなに満たされた気持ちになったのは、いつぶりでしょう。
馬車を降りたら、目的のところへ向かいます。
父様(パパ)についてい…けません。
歩くの速すぎませんか?
「パ、パ。待ってくださ、い。」
ゼイゲイ ハァハァ
…騎士になるのなら、まずは、体力づくりからですね。
体は、弱くはないのですが、全然運動してませんからね…
こんなでは、先が思いやられます。
どうやら父様(パパ)が気づいたようですね。
「すまない。
つい、いつもの速さで歩いてしまった。
歩けるか?」
ゼイゲイ ハァハァ
「…………」
「ひゃあ!」
突然体が宙に浮きました。
びっくりです。
どうやら、わたくしは、父様(パパ)に抱きかかえられているようです。
これも憧れの1つだったんです。
嬉しいです!
「すまない。びっくりしたか?」
ちょっとからかってみましょう。
「びっくりしました。」
これも本当のことですから、嘘ではありませんよ。
「……」
そんなにしゅんとしないでほしいです。
「パパは悪くありませんわ。
私のことを考えての行動なんでしょう?」
心なしか、表情が明るくなりましたね。
よかったです。
ちょっとからかっただけのつもりだったんですが…
父様(パパ)は、からかいやすいですね。
ふふ。
「ところでですけれど、どこへ向かっているんですか?」
「騎士団訓練場だ。」
そのまんまですね。
わかりやすくっていいです。
はい。
(絶対そのまんまの名前だと思っているな。)
それにしても、抱きかかえられるのっていいですね。
楽ですし、父様(パパ)との距離も近いですし。
一石二鳥ですね!
カキーンカキーン
おお、剣を打ち合う音が聞こえます。
もうすぐなんですね!
「ここが、王宮の門だ。
ここをくぐって行けば、騎士団訓練場に着く。
ユリアは、王宮は、初めてだな?きれいだろう。」
まさか、ここにあるとは。わたくしにとってあまりいい思い出のないところです。
まあ、暮らしていたのは、王宮の離れの離宮ですけれど。
でも、怖くはありませんね。
それに、王宮は、目を見張る美しさがあります。
いつ見ても、惚れ惚れします。真っ白な壁にあしらった金の装飾、美しい湖、何より目を見張るのは、庭園ですね。
いろいろな植物が植えてあり、花々が美しく咲き乱れています。素敵です。
とても。
「えぇ、とてもきれいですね。」
庭園を抜けて、騎士団寮という、独身で、かつ、実家が遠かったりと、様々な理由のある、騎士の方々が、泊まっている寮の裏に来ました。
剣を打ち合う音は、そこから聞こえます。
「ついたぞ。」
父様(パパ)が言うか言い終わらないうちに、それは見えてきました。かっこいいですね。
と、わたくしが、感慨に浸っていると、騎士の方々は、父様(パパ)を見るなり、整列しました。
恐るべき早業です。
「朗報だ!今日は、我が娘、ユリアが来ている。
頑張ってくれ。
そして、気をつけてくれ。
それでは、訓練を始めよう。」
わたくしに話しかける声とは、違う、威厳を感じる声で父様(パパ)は言いました。
かっこいいです。
騎士団の方々は、私を見るなり、驚いた表情をしながらも、少し嬉しそうでもありますね。
なぜでしょう?騎士の方々は、筋肉がついていて、いかにも強そうな感じの人もいれば、細くて身軽そうな人まで、いろんな人がいます。
父様(パパ)は、指示を出し始めました。わたくしは、近くのベンチに下ろしてもらい、その様子を見学しています。
「今日は、模擬戦をする。
2対2で戦え。」
父様(パパ)が、最初の指示を出しました。
さあ、訓練が始まります。
いよいよですね。楽しみ!
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