元王妃は時間をさかのぼったため、今度は愛してもらえる様に、(殿下は論外)頑張るらしい。

あはははは

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始まりの物語。

父様(父)に猛アタックをしてみようかと思います。

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 「なにか言いましたか?お嬢様。」


 「いえ、なんでもないのよ。」

こうやって、小さなことにも気遣ってくれるエリナには、いつも感謝しかありません。

エリナは、わたくしが3歳のときに侍女としてやってきました。 
それからずっと、わたくしに仕えてくれています。
そう、わたくしが処刑されるまでずっと。 
   
 エリナだけは、

「お嬢様は、悪いことはしない人なのにひどいですね。私はずっとお嬢様の味方です。」

と言って、わたくしを信じてくれました。
それなのにわたくしは前の生で、エリナになんの恩も返せませんでした。 
せっかく時間をさかのぼったのですから、今度はエリナに恩を返せるように…いえ、恩を返しましょう。

「エリナ、いつもありがとう。」


「いえいえ~ いきなり何を言い出すかと思えばそんなことですか。」


 「そんなことじゃなくってよ。」


ちょっとだけすねているのは、内緒です。

「いいですか、お嬢様。
私は、もう一つ言葉がほしいです。それは、ありがとうの比にはならないくらいお嬢様からもらえたら嬉しい言葉です。わかりますか?」


そんなことを言いながらも着々と朝の支度ができていきます。
エリナは有能なんです。もうすぐ服まで着替え終わります。

 しかし、ありがとうよりほしい言葉ですか。
なんでしょう。 
   
わたくしはもう、それは盛大に悩んでいます。むむむ…


「ふふふ、お嬢様ったら。そんなに眉間にシワを寄せてまで悩まないでくださいよ。」


そんなことを言われましても、エリナのほしい言葉、言いたいのですから。
それをもらえばどんなに嬉しいか、殿下に愛してもらいたかったわたくしにはわかります。
わかってるつもりです。


「お嬢様、服を着せ終わりましたから鏡でご確認ください。」

 

「えぇ。」


鏡にわたくしが写ります。 
この首が切れていない安心感は何なのでしょう。

…わたくし、怖くないと思っていたけれど怖かったのですね。
死ぬことが。


鏡には流れるように艷やかな銀髪、整った顔、緑の目。 
わたくしがうつっています。
相変わらずエリナの着付けは完璧ですね。

 ところでですけれど、わたくしは今いくつなのでしょうか。


「エリナ、変な質問だけれど、わたくしって今いくつ?」

「目が覚めたばっかりで記憶が混乱しているんですね。
お嬢様は今8歳ですよ。」

どうやらかなり若いところまで、時間がさかのぼったようですね。 
しかし、のんびりもしていられません。
あと2年で天啓を受けなければならなくなります。
前の生と違った「役」になれるようにしなければいけませんからね。
え?なんでですかって?
 それは、わたくしが殿下に二度と関わりたくないからです。
いくら今回は愛されたいからと言いましても、散々暴力、暴言を言われた方にまで愛されたいとは思いませんよ。
殿下は私の中では論外なんです。

「論外なんです。」

「またなにか言いましたか?お嬢様。
そろそろ食堂に向かいましょう。今日は旦那様も一緒に朝食をとるらしいですよ。」


「!!そう。」

 
時間をさかのぼってすぐ大チャンスがやってきました!
父様と会えます。今度こそわかり合うのです!


「フフ、お嬢様。
そんなに嬉しそうな顔をなさらなくても。さあ、行きますよ。」
 

「ええ!」






朝食をとるために、長細い長方形のテーブルに座ります。
父様は、もう来ていました。
相変わらずの無表情です。
わたくしは父様の隣に座ります。 
そしたらお父様ったら目を見開いて驚くんです。
そして、さささーっと別の席に写っていきます。

だから、わたくしは、また父に近づきます。





もう何回同じことをしたでしょうか。
あっ、ついに諦めてくれました。

次は話しかけてもらいましょう。

「父様!なにか喋ってください。」

どストレートにいいます。


「………」

無視ですか…めげませんよ!


ずっと同じ言葉を繰り返します。

「もう、具合は大丈夫なのか?」


ついに口を開きました!しつこい勝ちですね。


「はい。」   


「…………」


会話が続きませんね。
でも、父様に話しかけてもらえるなんて…



ほろほろ 

どうしたのでしょう。
涙が止まりません。
そんなに父に話しかけてもらいたかったのでしょうか。


「…どうした?!ユリア、具合が悪いのか?」

「嬉しいのです。嬉し泣きです、父様。
大好きです、パパ。
話しかけてくれて、ありがとうございます。」


 涙、が止まり、ません。ヒック

「パパ、だと!」

なんかもう、無口じゃありませんね。
嬉しいです。
父様、ぷるぷる震えています。
どうしたのでしょうか。
怒らせてしまったのかしら。

「父様、どうしたのですか?」

「ーーとは言ってくれないのか。」

今なんて言ったのでしょう。
今度はしゅんとしてしまいました。
「言ってくれないのか。」ですか。
なにかわたくしに言ってほしいのでしょうか。


!もしかして

「パパと言ってほしかったのですか?」

ぱぁっと父様の顔が明るくなります。
もはや鉄壁の無表情は、かけらもありませんね。
完全に親ばかの顔です。


 
アタックは最強なんですね。
父様(パパ)は、私を大切に思ってくれていたんですね。
前の生では損をしていたのですね。
あぁ、今になって気づくことが多すぎます。
でも、よかったです。
わたくしはちゃんと、父様に愛されていたのがわかったのですから。
「どうして私を避けていたんですか?」

「妻が行方不明になったとき、ユリアに泣きながらもう話しかけないでって言われたから…」


「そんなことで…もうほとんど記憶にないですが…パパはずっと守ってくれてたんですね。」

「そうだったのか。じゃあ、私の行動はユリアを無視しているように見えていたんだな。
すまない。」

「いえ。」

「ユリア、お詫びといったら何だが、よかったら騎士団の見学にでも行くか?…嫌ならいいが。」


「まぁ!嬉しいですわ。」


父様から歩み寄っていただけてとても嬉しいです。 
アタックしてみて正解でしたね。
父様(パパ)が、結構気が弱いこともわかりました。(だから、アタックは効果的です)
それに、騎士団も見学できるなんて嬉しいです。
前の生とは違う生き方になるようにしたいので、騎士団見学はいいきっかけになるはずです。
父様のあとをついで、私も騎士になってもいいかもしれませんね。楽しみです!
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