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20日間とご主人様とましろ。1
しおりを挟む「あ゛~~~~............し゛ん゛ど゛い゛し゛ん゛ど゛か゛っ゛た゛.........あ゛~~~~~............」
会社員には、逃げられない地獄がある。
そう、繁忙期だ。
俺の勤めている会社にも、例外なく訪れる。....................いや、正確には訪れていた。
休憩?休日?え?何それ美味しいの?状態であった。例年ならば10日あればだいたい落ち着くのだが............よりにもよって職場でインフルエンザが大流行した。............俺の所属する部署もだ。
後は............察してくれ。
例年なんて比較にならないほどの激務に吐きそうになりながら耐え、家にはただ屍になりに来ている状態だったし、外泊(という名の泊まり込み)も片手では収まらないほどだ。
体力的にも、精神的にも................そう。一番精神的にキていた。何故かって?
ましろが足りないからに決まってるだろ!?!?!!?!!?!
ましろには、「いい?ましろ。22時過ぎたらちゃんと布団掛けて寝るんだよ。俺が帰ってくるまで起きてたら『お仕置き』だからな?」と口を酸っぱくして言い聞かせていたから、俺はペットカメラでの映像と、寝顔しかましろを補給する術はなかった(朝もましろが起きるより早く出社しちゃうから............)
ご飯も作る余裕はないから、不本意だけど........ものすっっっっごい不本意だけど(ましろを構成するものは全部俺が関わりたかった........)最初は作り置き、部員の休みで地獄が延長してからは冷凍食品やレトルトを食べてもらっていた。
ましろと話せない代わりに、毎日一言交換日記を机に残す習慣が出来たことだけがこの地獄の救いだった。しかもこの一言交換日記はましろ発案だ。気づいた時は飛び上がるくらい嬉しかった。仕事でメンタルが死んだ時に並べて眺めるくらいには俺の宝物だ。............この地獄が終わってしまったから一言交換日記がこれ以上増えないかと思うと、ちょっとさみしいな。
まぁ、でも本物のましろには敵わない。
とにかく、俺はやりきった............生き残ったんだ............
20日振りの22時前帰宅。
今は........21時過ぎ。
ガチャ........
「ただいまぁ~~............」
20日振りの可愛いパタパタとした足音が聞こえる。
「ご主人様!!!!おかえりなさい!!!!!!!!」
パァアァアァ!!!と満面の笑み。そんなましろの様子が俺の目に映りこんだ。
あ゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー俺の天使可愛い尊い浄化される............
ましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろ可愛い尊い大好き愛してる元気かな?体調崩してない?ちゃんと食べてた?ちゃんと寝てた?ましろにご飯作ってあげたい、あげなきゃ、ずっと放置してしまっていたからひたすら構ってあげたい、構ってもらいたい、慰めてあげたい、慰めて欲しい、可愛がりたい、抱きたい、壊したい、ましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろましろ
............と心は叫ぶのだが、いかんせん身体が言う事を聞かない。
『ただいま、ひとりにしてごめんね、いい子にできてた....?何か困ったことはなかった....?ごめんね....また明日....沢山ご主人様にきかせてね....とりあえず流すだけ風呂........ましろと寝れる........』と言ったつもりであるが、半分寝ている状態だったので、口に出ていたかは定かではない。
汗と汚れと菌を流すだけの風呂に入り、ましろの言葉をあまり聞くことなく、ましろをぎゅうぎゅうと抱きしめ、俺は眠りに堕ちた。
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