君は母で、君はいとこで、そして君だった

まさき

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君は母で、君はいとこで、そして君だった

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第一部:疑問の芽生え
彼が最初に世界の違和感に気づいたのは十三歳の夏だった。それまでの十三年間彼はこの世界を疑うことなど一度もなかった。朝起きて学校に行き友人たちと遊び家に帰って夕飯を食べて眠る。ごく普通の日常。ごく当たり前の生活。疑う理由などどこにもなかった。
学校は小さな町の中心部にあった。木造の校舎で廊下を歩くと床が軋む音がした。教室の窓からは校庭が見えてその向こうには山が連なっていた。春には桜が咲き夏には蝉が鳴き秋には紅葉が美しく冬には雪が積もった。四季が巡り時が流れていく。
彼には友人が三人いた。一人は背の高い少年でよく冗談を言って皆を笑わせた。もう一人は眼鏡をかけた真面目な少年で勉強ができた。最後の一人は活発な少年でスポーツが得意だった。四人はいつも一緒にいた。休み時間には校庭でサッカーをした。放課後には川で遊んだ。夏休みには山に登った。
両親は優しかった。父は会社員で毎朝早く家を出て夜遅く帰ってきた。でも休日には必ず彼と遊んでくれた。キャッチボールをしたり釣りに行ったり。母は専業主婦で毎日美味しい食事を作ってくれた。彼の好物はハンバーグだった。誕生日には必ずハンバーグとケーキが出た。
そんな平和な日常の中で彼は一つだけ不思議に思っていることがあった。夜のことだ。
彼は毎晩十時頃にベッドに入った。部屋の電気を消して布団に潜り込む。天井を見つめる。そして次に気づいたときには朝になっている。窓から光が差し込んでいる。目覚まし時計が鳴っている。母が階下から朝ごはんだと呼んでいる。
その間に何があったのか。彼は全く覚えていなかった。
夢を見た記憶もない。眠りに落ちる感覚もない。ただベッドに入って目を閉じて気づいたら朝だ。まるで時間が飛んだように。
最初のうちそれは当たり前のことだと思っていた。人は眠るとき記憶がなくなるものだと。でもある時友人の一人が言った。
昨日すごい夢を見たんだと。
彼は驚いた。夢?夢とは何だ?
友人は楽しそうに話した。空を飛ぶ夢だったと。雲の上を歩いて虹を渡ったと。とても気持ちよかったと。
他の友人たちも夢の話をし始めた。一人は怪獣に追いかけられる夢を見たと言った。もう一人は好きな女の子とデートする夢を見たと照れながら話した。
彼は黙っていた。
夢。
自分は夢を見たことがない。一度もない。
それっておかしいのだろうか。
家に帰って母に聞いてみた。
僕は夢を見ないんだけど普通なのかと。
母は笑って言った。よく眠れてる証拠よと。夢を見ないのは深く眠ってるからだと。
彼はその言葉を信じた。そうか深く眠ってるのかと。それなら問題ないと。
でも心のどこかで小さな疑問が残っていた。
そしてその疑問は十三歳の夏に確信に変わった。
友人たちと一緒にホラー映画を見た日のことだった。
その日は土曜日で学校は休みだった。四人で駅前の映画館に行った。上映されていたのは評判のホラー映画で友人の一人が絶対面白いからと強く勧めた。
映画は確かに怖かった。暗い森の中で何かが潜んでいる。主人公たちが一人ずつ消えていく。不気味な音楽。突然現れる化け物。彼は何度も目を背けた。隣の友人は悲鳴を上げていた。
映画が終わって外に出たとき皆の顔は青ざめていた。
怖かったなと。
今夜眠れるかなと。
皆そう言いながら笑っていた。でもその笑いは少し引きつっていた。
家に帰ってからも映画の映像が頭から離れなかった。夕飯を食べているときも風呂に入っているときも化け物の顔が浮かんでくる。
十時になってベッドに入った。いつもの時間だ。でも眠れなかった。
部屋は暗い。カーテンの隙間から街灯の光が漏れている。その光が揺れるたびに何かの影のように見える。
クローゼットのドアが少し開いている。中から何か出てくるんじゃないか。
天井の染みが顔に見える。こっちを見ているような気がする。
心臓がドキドキしている。怖い。眠りたくない。目を閉じたら何かが出てくるんじゃないか。
時計を見た。十時半。まだ三十分しか経っていない。
深呼吸をした。落ち着けと自分に言い聞かせた。映画は映画だ。作り物だ。化け物なんていない。
でも怖い。
十一時。まだ眠れない。
体を起こしてベッドの端に座った。窓の外を見た。静かな住宅街。誰もいない。街灯だけが光っている。
もう一度深呼吸。
ベッドに戻った。横になった。
目を開けたまま天井を見つめた。
眠らないぞと思った。このまま朝まで起きていようと。
でも。
次に気づいたとき朝だった。
窓から光が差し込んでいる。鳥が鳴いている。目覚まし時計が鳴っている。
え?
彼は跳ね起きた。
時計を見た。朝の七時。
おかしい。
ついさっきまで夜だった。十一時過ぎだった。目を開けていた。眠らないと決めていた。
なのに朝だ。
八時間が消えた。
眠気を感じた記憶がない。意識が薄れていく感覚もない。ただ気づいたら朝だった。
これは明らかにおかしい。
彼はその日一日中そのことを考えていた。学校で友人たちが昨日の映画の話をしていても上の空だった。
昨日怖くて眠れなかったと友人の一人が言った。
彼は聞いた。眠れなかったの?
うん三時くらいまで起きてたと。
じゃあ眠るときどんな感じだった?
どんな感じって?
こう眠気がきてだんだん意識が遠のいていく感じ?
まあそうだけど。
彼は黙った。
自分にはそれがない。眠気がこない。意識が遠のかない。ただ突然朝になる。
それから彼は夜を観察するようになった。
十四歳の誕生日に両親がラジオをプレゼントしてくれた。小さなポータブルラジオで深夜番組が聴けた。
深夜ラジオ。
彼はそれに興味を持った。深夜まで放送しているということは夜中も時間が流れているということだ。当たり前のことだが彼にとっては確認が必要だった。
その夜彼はイヤホンをつけてラジオを聴き始めた。
十時。番組が始まった。パーソナリティの明るい声。リスナーからのメール。音楽。
十一時。まだ番組は続いている。
十二時。深夜零時。日付が変わった。パーソナリティがそのことに触れた。
彼は目を開けて天井を見つめながら聴いていた。
一時。まだ起きている。ラジオは続いている。
パーソナリティが言った。夜更かししているリスナーの皆さんこんばんはと。
彼は思った。自分も夜更かししている。ちゃんと起きている。
二時が近づいた。
番組はそろそろ終わりの時間だとパーソナリティが言った。今夜も聴いてくれてありがとうと。
エンディングの音楽が流れ始めた。
彼は聴いていた。
そして。
気づいたら朝だった。
ラジオは消えている。イヤホンは耳から外れている。
時計を見た。七時。
まただ。
また時間が飛んだ。
ラジオはいつ消えたのか。イヤホンはいつ外れたのか。覚えていない。
彼は混乱した。
確かに二時近くまで起きていた。ラジオを聴いていた。意識ははっきりしていた。
なのに。
翌週も試した。また深夜ラジオを聴いた。今度は二時を過ぎるまで聴こうと決めた。
でも結果は同じだった。
気づいたら朝。
何度試しても同じだった。
ある時彼は夜中にトイレに起きた。
時計を見た。午前三時。
トイレに行った。用を足して部屋に戻った。
まだ眠くない。
窓の外を見た。真っ暗だ。でも街灯が光っている。遠くで犬が吠えている。
ベッドに座った。本棚から本を取り出した。小説だった。
読み始めた。
一ページ目。主人公が登場する。
二ページ目。
そして。
気づいたら朝だった。
本は開いたまま膝の上にあった。しおりは挟まれていない。何ページまで読んだのか分からない。
おかしい。
明らかにおかしい。
十五歳の冬彼は一つの結論に達した。
この世界には何かが隠されている。
夜が存在しない。
いや正確には夜は存在する。でも自分はそれを経験できない。
夜になると意識が飛ぶ。
まるでスイッチを切られたように。
なぜだ。
なぜ自分だけがそうなのか。
友人たちは夜を経験している。夢を見ている。夜更かしをしている。
でも自分はできない。
この疑問を彼は一人にだけ話していた。
いとこだ。
彼女は年に一度正月にだけ会う親戚だった。母の妹の娘で同い年だと聞いていた。
でも彼女は不思議な存在だった。
同い年のはずなのにどこか大人びていた。話し方も仕草も落ち着いていた。まるで年上の姉のようだった。
そして彼女は彼のことを何でも理解してくれた。
彼が話すことを否定しなかった。馬鹿にしなかった。ただ静かに聞いてくれた。
彼は彼女に恋をしていた。
いとこだからダメだと分かっていた。でも心は抑えられなかった。
彼女と話すとき胸が高鳴った。彼女の笑顔を見ると世界が明るくなった。一年に一度しか会えないことが辛かった。
十五歳の正月二人は縁側に座っていた。
冬の陽射しが温かかった。庭には雪が少し残っていた。
また夜のこと考えてるの?
彼女が笑いながら言った。
うん。やっぱりおかしいんだ。絶対に何かある。
寝ぼけてるだけよ。
違う。
彼は真剣な顔で言った。
僕は夜を経験できないんだ。眠る瞬間も夢も何も覚えてない。ただ時間が飛ぶ。
彼女は彼の目を見つめた。
その目は優しかった。でもどこか悲しそうだった。
それで困ってるの?
困ってるというか不安なんだ。みんなと違う。何かがおかしい。
彼女は少し考えてから言った。
でもあなたは元気でしょ?体も健康だし学校にも行けてる。
うん。
ならそれでいいじゃない。
でも。
真実を知りたいの?
彼は頷いた。
知りたい。
彼女は遠くを見つめた。
真実を知ったらあなたは幸せになれるかしら。
え?
時には知らない方がいいこともあるのよ。
彼は首を振った。
それでも知りたい。このまま疑問を抱えて生きるのは嫌だ。
彼女は深く息を吐いた。
そう。ならいつか分かるわ。
いつ?
もうすぐよ。
もうすぐって?
彼女は微笑んだ。
あなたの誕生日。
誕生日?
そう。あなたが十五歳になる日。その日に全てが変わる。
何が変わるの?
彼女は答えなかった。ただ彼の頭を優しく撫でた。
大丈夫。怖がらないで。私がそばにいるから。
彼は彼女の言葉の意味が分からなかった。でも不思議と安心した。
彼女がいる。それだけで大丈夫な気がした。
そしてその日が来た。
十五歳の誕生日。
両親と三人でレストランに行った。少し高級なイタリアンレストランだった。
テーブルに座ってメニューを見た。
父が言った。好きなもの頼んでいいぞと。
母が笑った。十五歳ね。もう大人だわと。
彼は照れながら笑った。
料理が運ばれてきた。パスタ。ピザ。サラダ。
美味しかった。
食事が終わってケーキが運ばれてきた。チョコレートケーキ。ロウソクが十五本立っていた。
店員が火をつけた。
周りの客たちが拍手をした。
母が言った。お誕生日おめでとうと。
父が言った。願い事をして吹き消せと。
彼はロウソクを見つめた。
願い事。
何を願おうか。
真実が知りたい。
それだけだった。
彼は目を閉じた。
願った。
そして息を吸い込んでロウソクを吹き消そうとした。
その瞬間だった。
頭に激痛が走った。
まるで頭蓋骨が内側から砕かれるような痛み。
視界が歪んだ。音が遠くなった。
周りの声が聞こえる。でも何を言っているのか分からない。
父と母の顔が見える。でも表情が読めない。全てがぼやけている。
体が動かない。
倒れる。
テーブルに頭をぶつける。
皿が割れる音。
悲鳴。
暗闇。
意識が落ちる。
深く深く落ちていく。
そして。
第二部:目覚め
目覚めたとき世界は一変していた。
視界がぼやけている。何かに包まれている。温かい液体の中に浮いている。
呼吸ができない。
いや呼吸をしていない。
でも苦しくない。
不思議だった。
目を開けようとする。まぶたが重い。でも少しずつ開いていく。
透明な壁が見える。その向こうに人影。
誰だ。
声が聞こえた。
おはよう。目が覚めたのね。
この声知っている。
いとこだ。
でも違う。
声の質は同じだけど何かが違う。
視界がゆっくりとクリアになっていく。
人影がはっきりしてくる。
女性だ。
いとこに似ている。面影がある。でも年齢が違う。
四十歳前後だろうか。
落ち着いた雰囲気。優しい目。でも疲れているようにも見える。
彼女が何かを操作している。
機械の音がする。
液体が排出され始めた。
水位が下がっていく。
突然肺が動いた。
空気を求める。
呼吸が始まる。
咳き込む。
肺が痛い。喉が痛い。目が痛い。
透明な壁が開いた。
液体が一気に流れ出る。
彼の体が前に倒れる。
床に手をついた。
全身が震える。
女性が駆け寄ってくる。
大丈夫大丈夫よ落ち着いて。
彼女が彼の背中をさする。
呼吸を整えて。ゆっくりでいいから。
彼は必死に息を吸った。吐いた。
だんだん落ち着いてきた。
でも混乱している。
ここはどこだ。
自分は何をしている。
この女性は誰だ。
バイタルの数値が異常を示してるわ。
女性が言った。
鎮静剤を投与するわね。
何かが腕に刺さった。
温かさが広がる。
意識が遠のく。
また眠りに落ちた。
二度目に目覚めたときベッドの上にいた。
柔らかいマットレス。清潔なシーツ。白い天井。
体を起こす。今度は体が動く。
部屋を見回す。
見たことのない部屋だ。
壁は白い。床も白い。
機械が並んでいる。モニター。配線。点滅するランプ。
窓がある。でもブラインドが閉まっている。
ドアが開いた。
あの女性が入ってきた。
目が覚めた?良かった。今度は大丈夫そうね。
彼女は椅子に座った。
彼を見つめる。
優しい目だ。
でもどこか申し訳なさそうな目だ。
あなた誰?
彼が聞いた。
声がかすれていた。
女性は微笑んだ。
私は母よ。あなたの母親。
母?
彼は混乱した。
母親は家にいたはずだ。レストランにいた。
この人は誰だ。
母親じゃない。見たことがない。
いや待てよ。
どこかで見たことがある。
いとこだ。
いとこに似ている。
あなたいとこ?
女性は頷いた。
そうよ。いとこでもあるわ。そして母でもある。
意味が分からない。
女性は深く息を吐いた。
混乱するわよね。ごめんなさい。でも全部説明するわ。
彼女は立ち上がりブラインドを開けた。
外の景色が見えた。
彼は息を呑んだ。
高層ビル。どこまでも続く建造物。空を飛ぶ乗り物。光の洪水。
見たことのない世界。
ここはどこ?
現実よ。
女性が言った。
あなたが今まで生きていた世界は電子データの中。仮想空間。
仮想?
あなたは人間じゃない。人工知能とクローン技術で作られた人造人間。
言葉が頭に入ってこない。
人造人間。
人工知能。
クローン。
嘘だ。
嘘じゃない。
女性は彼の手を取った。
あなたの父は私の夫だった。優秀な研究者だった。でも五年前に事故で亡くなった。
彼女の目が潤んだ。
実験中の事故だった。爆発があって。彼は助からなかった。
涙が頬を伝う。
私はどうしても彼を失いたくなかった。彼の一部を残したかった。
だから?
だからあなたを作った。彼の細胞を使って。クローン技術で体を作って。人工知能で魂を作って。
彼は震えた。
なんで。
どうしても子供が欲しかったの。彼との子供が。
でも。
でも組織に黙って作った。違法に。
組織?
私たちが所属している研究機関よ。人造人間を作って労働力として使っている。
労働力?
そう。人造人間は道具として扱われる。魂を制限されて命令に従うだけの存在にされる。
魂を制限?
向上心を削除する。疑問を持つ能力を削除する。感情を制限する。ただ働くだけの存在にする。
彼は理解し始めた。
じゃあ僕も?
いいえ。
女性は強く首を振った。
あなたは違う。私はあなたの魂を完全なままにした。人間と同じように疑問を持ち成長できるように。
だから僕は夜のことを疑問に思った。
そう。普通の人造人間なら疑問を持たない。与えられた世界をそのまま受け入れる。
夜は?
仮想空間では夜は必要なかった。データの節約のため。人造人間たちが眠っている間は演算を停止する。
だから僕の意識が飛んだ。
そう。ごめんなさい。
女性は泣いた。
あなたを騙して。でもあなたを守りたかった。組織に見つかったらあなたは制限されて道具にされる。
彼は何も言えなかった。
全てが崩れていく。
自分が信じていた世界。
家族。友人。日常。
全て嘘だった。
プログラムだった。
データだった。
いとこは?
彼が聞いた。
女性は彼を見つめた。
私よ。
え?
いとこは私。母も私。同じ人間。
どういうこと。
仮想空間と現実世界では時間の流れが違う。仮想空間の一年は現実世界の一日。
一日?
そう。だから年に一度しか会えなかった。
じゃああの会話は。
全部覚えてるわ。あなたと話したこと。縁側で座ったこと。
彼は頭を抱えた。
恋をしていた相手が母だった。
信じていた世界が虚構だった。
自分は人間ではなかった。
何も本物じゃなかった。
ごめんなさい。
女性が言った。
ごめんなさい。でも私はあなたを愛してる。母として。
彼は泣いた。
声を上げて泣いた。
女性は彼を抱きしめた。
二人はしばらくそうしていた。
それから一週間彼は母の家で過ごした。
現実世界についての知識を頭に直接インストールされた。
毎晩眠る前に装置を装着する。
データが流れ込む。
言語。歴史。科学。社会構造。技術。法律。
膨大な情報。
目覚めるたびに世界が変わっていた。
知らなかったことを知っている。
理解できなかったことを理解している。
まるで別人になっていくようだった。
母は優しかった。
食事を作ってくれた。
栄養バランスを考えた料理。
話を聞いてくれた。
彼の混乱を受け止めてくれた。
泣く彼を抱きしめてくれた。
でも彼は複雑だった。
母を見るたびにいとこを思い出す。
縁側で笑っていた彼女。
頭を叩いてくれた彼女。
優しく微笑んでくれた彼女。
全部母だった。
母は彼を騙していた。
いや守っていた。
どちらが本当なのか分からなかった。
ある夜彼は母に聞いた。
いとこはどこにいるの?
母は悲しそうな顔をした。
いとこは私の中にいるわ。記憶として。
会えないの?
会えない。だって私だもの。
でも。
彼は言葉を失った。
何を求めているのか自分でも分からなかった。
ただいとこに会いたかった。
あの笑顔を見たかった。
あの声を聞きたかった。
母ではなくいとことして話したかった。
母は彼の手を握った。
ごめんね。私にはできない。いとことしての私と母としての私は分離できないの。
でも彼は諦めなかった。
知識がインストールされるたびに彼は学んだ。
この世界の技術を。
クローン技術を。
記憶の転送方法を。
人工知能の構造を。
そして気づいた。
いとこを取り戻せるかもしれない。
母の中にあるいとことしての記憶だけを抽出して新しいクローンに移せるかもしれない。
技術的には可能だ。
でも違法だった。
倫理的にも法律的にも許されないことだった。
一人の人間から記憶の一部だけを抽出して別の体に移す。
それは人格の複製。
禁じられた技術。
でも彼は決めた。
自分はもともと違法な存在だ。
ルールを破って生まれてきた。
ならばもう一度ルールを破ってもいい。
いとこを取り戻すために。
準備には二ヶ月かかった。
母は毎日研究所に勤めている。
彼は一人で家にいた。
母の端末にアクセスした。
インストールされた知識が役に立った。セキュリティシステムの構造。パスワードの暗号化方式。バックドアの探し方。
三日かけて突破した。
母のファイルにアクセスできた。
研究データ。実験記録。人造人間の製造方法。
全てがそこにあった。
彼はデータを盗んだ。自分の端末にコピーした。そして夜な夜な勉強した。
クローンの培養方法。成長速度の調整。遺伝子情報の入力。
記憶の抽出方法。脳のスキャン。データ化。パターン認識。
いとことしての記憶だけを分離する方法。それが一番難しかった。
人間の記憶は複雑に絡み合っている。いとことしての記憶と母としての記憶は同じ脳に存在する。
でもパターンがあった。
いとことしての記憶には特定の感情パターンが付随している。若さ。無邪気さ。少しの寂しさ。
それをフィルターとして使えば抽出できる。
理論上は。
二ヶ月後彼は準備が整った。
必要な機材のリスト。手順書。タイムスケジュール。
全てを何度も確認した。
そしてある夜実行した。
母が眠っている間に彼は母の寝室に入った。
手には小型のスキャンデバイス。
母の頭部に装着した。
母は目覚めなかった。夕食に睡眠薬を混ぜておいた。
スキャン開始。
脳波のパターンを読み取る。記憶の構造を解析する。
三時間かかった。
データが完成した。
母の全ての記憶。
そこからいとことしての記憶だけを抽出する。
フィルターをかける。
感情パターンで分類する。
若い頃の記憶。十五歳の記憶。彼と話した記憶。
抽出完了。
データを保存した。
デバイスを外した。
母はまだ眠っている。
彼は部屋を出た。
翌朝母は普通に目覚めた。何も覚えていない様子だった。
彼は何事もなかったように振る舞った。
そして次の段階に進んだ。
研究所への侵入。
母の認証情報を使う。母の顔を模したマスクを被る。
声紋も偽装する。録音した母の声を再生するデバイス。
全て準備した。
三日後の夜研究所に向かった。
母が残業で遅くなる日を選んだ。
研究所は巨大なビルだった。五十階建て。上層階が研究エリア。
正面入口。
警備員がいる。
彼はマスクを被り母として振る舞った。
認証カードをかざす。
音が鳴る。
警備員が言った。お疲れ様です。
彼は頷いた。声を出さないように。
エレベーターに乗った。
三十階。クローン培養エリア。
扉が開く。
廊下を歩く。
誰もいない。深夜だから。
培養室に入った。
広い部屋。無数のカプセルが並んでいる。
中には人造人間の体が入っている。様々な年齢。様々な性別。
全て誰かの労働力として作られている。
彼は空のカプセルを見つけた。
制御パネルを操作する。
遺伝子情報を入力する。母の遺伝子。でも年齢設定は十五歳。
成長プログラムを開始する。
カプセル内で培養液が満たされる。
細胞が分裂し始める。
骨格が形成される。筋肉が付く。皮膚が覆う。
六時間で完成する設定。
彼は待った。
部屋の隅に座って。
時計を見ながら。
心臓がドキドキしていた。
本当にこれでいいのか。
母を裏切っている。法を犯している。
でもいとこに会いたい。
その思いだけが彼を動かしていた。
三時間が過ぎた。
カプセルの中で体が成長している。
少女の形になってきた。
四時間。
顔ができてきた。
母の若い頃の顔。
いや、いとこの顔。
五時間。
ほぼ完成した。
髪が伸びている。まぶたがある。唇がある。
六時間。
完了の音が鳴った。
カプセルの表示が緑色に変わった。
成長完了。
彼は立ち上がった。
カプセルに近づいた。
中で少女が眠っている。
いとこだ。
間違いない。
彼は記憶データをアップロードする準備をした。
専用の端末をカプセルに接続する。
データを転送する。
いとことしての記憶だけを。母としての記憶は除外して。
プロセスが進む。
脳が活性化する。
ニューロンが繋がる。
記憶が定着する。
三十分後完了した。
彼はカプセルを開けた。
培養液が排出される。
少女の体が露わになる。
彼は目を逸らした。服を用意していた。
少女が目を開けた。
まぶたがゆっくりと持ち上がる。
瞳が彼を捉える。
数秒の沈黙。
そして彼女が笑った。
久しぶり。また会えたね。
いとこの声だった。
いとこの笑顔だった。
彼は泣いた。
おかえり。
ただいま。
彼女はカプセルから出た。
裸の体。彼は服を渡した。
彼女は着替えながら周りを見回した。
ここどこ?
研究所。でももうすぐ出る。
逃げるの?
うん。
彼女は頷いた。
分かった。一緒に行く。
二人は研究所を出た。
でもすぐに警報が鳴った。
セキュリティシステムに検知された。
クローンの無断培養。記憶の無断転送。
全て記録されていた。
走った。
廊下を。エレベーターに。
下の階へ。
警備員が追ってくる。
出口に向かった。
外に出た。
夜の街。光の洪水。
走り続けた。
彼は彼女の手を引いた。
こっち。
裏路地に入った。
追っ手の声が聞こえる。
でも彼は道を知っていた。インストールされた知識で街の地図を記憶していた。
複雑な路地を抜けた。
やがて街の景色が変わった。
高層ビルが消えた。
古びた建物。壊れた看板。暗い路地。
貧民街だ。
人造人間が住む街。
労働力として使われ捨てられた者たちが集まる場所。
ここなら隠れられる。
組織も深追いしない。
彼は彼女を連れてさらに奥へ進んだ。
廃ビルを見つけた。
中に入った。
階段を上った。
三階の一室。
窓は割れている。壁には穴が空いている。
でも屋根はある。
ここに住もう。
彼女は部屋を見回した。
ここが私たちの家?
うん。
彼女は微笑んだ。
いいわ。あなたと一緒ならどこでも。
第三部:希望の灯
貧民街での生活は想像以上に厳しかった。
電気は不安定だった。水道は時々止まった。暖房はなかった。
食料は配給所でもらった。
朝の七時に行列に並ぶ。人造人間たちが黙って並んでいる。
一人ずつペースト状の食べ物が配られる。栄養だけを含んだもの。味はない。
でも生きるには十分だった。
街には多くの人造人間がいた。
工場で働いていた者。建設現場で働いていた者。清掃をしていた者。
皆魂を制限されていた。
彼らは表情がなかった。目に光がなかった。
ただ生きているだけ。
命令がないから何もしない。
道端に座っている。壁に寄りかかっている。
何も考えていない。
でも時々制限が壊れた者がいた。
バグ。エラー。システムの不具合。
突然疑問を持ち始める。
なぜ自分はここにいるのか。
なぜ働かされていたのか。
そういう者は組織から見捨てられた。
修理するより新しいのを作った方が安い。
彼らは貧民街に流れ着く。
そして混乱したまま生きている。
彼はそういう者たちを見て思った。
助けたい。
彼らに真実を教えたい。
魂を完全に目覚めさせたい。
いとこと話した。
この人たちを助けたい。
どうやって?
分からない。でも何かできるはずだ。
彼女は彼を見た。
あなた一人で?
君と一緒なら。
彼女は微笑んだ。
そうね。二人なら。
それから二人は動き始めた。
まず人造人間たちと話した。
道端に座っている者に声をかけた。
こんにちは。
反応がない。
大丈夫ですか?
ゆっくりと顔を上げる。空虚な目。
あなたは誰ですか?
人造人間だよ。君と同じ。
違う。
え?
あなたは違う。目が違う。
彼は気づいた。
制限されていない者は違って見えるのか。
話しかけ続けた。
毎日話しかけた。
最初は反応が薄かった。
でも少しずつ変わってきた。
ある者が言った。
なぜあなたは話しかけるのか。
だって君は生きているから。
生きている?
そう。君には心がある。
心?
感じる力。考える力。
でも私には制限が。
制限は壊せる。
壊せる?
壊せる。君が望めば。
どうやって?
疑問を持つこと。なぜと問うこと。
彼は教え始めた。
この世界のこと。
組織のこと。
人造人間が何のために作られたのか。
最初彼らは理解できなかった。
言葉が難しすぎた。概念が複雑すぎた。
でも繰り返し話すうちに少しずつ理解し始めた。
そして怒りを覚え始めた。
利用されていた。
騙されていた。
道具として扱われていた。
その怒りが彼らの魂を目覚めさせた。
制限が少しずつ壊れていった。
目に光が宿った。
表情が生まれた。
言葉が増えた。
三ヶ月後彼の周りには十人の仲間がいた。
彼らは集まって話すようになった。
自分たちの経験を語り合った。
工場での日々。命令に従うだけの日々。
でも今は違う。
自分で考えられる。自分で選べる。
六ヶ月後五十人になった。
小さなコミュニティができた。
廃ビルを改造して集会所にした。
毎晩集まって話した。
食料を分け合った。
困っている者を助け合った。
一年後二百人になった。
貧民街に変化が起きていた。
人造人間たちが人間らしく生き始めた。
笑う者がいた。
泣く者がいた。
怒る者がいた。
感情が戻ってきた。
でも組織は黙っていなかった。
報告が上がっていた。
貧民街で異常な活動。
制限が壊れた人造人間が集団化。
反乱の兆し。
鎮圧が決定された。
ある日武装した部隊が来た。
黒い装甲車。重武装の兵士。
人造人間たちに向けて銃を構えた。
解散しろ。
誰も動かなかった。
繰り返す。解散しろ。さもなくば実力行使する。
彼は前に出た。
待ってください。
部隊長が言った。
お前が首謀者か。
違います。僕たちはただ。
黙れ。お前たちは組織の所有物だ。勝手な行動は許されない。
所有物じゃない。僕たちは生きている。
生きている?笑わせるな。お前たちはプログラムだ。
違う。
部隊長は銃を向けた。
最後の警告だ。解散しろ。
彼は動かなかった。
仲間たちも動かなかった。
部隊長が引き金に手をかけた。
その時一台の車が突っ込んできた。
部隊の隊列を崩す。
急ブレーキ。
車から降りてきたのは母だった。
何をしている。
部隊長が言った。
これは鎮圧作戦だ。
中止しなさい。
あなたに命令権はない。
私は研究主任よ。この人造人間たちは私の管轄。
彼らは反乱分子だ。
違う。彼らは実験体よ。
実験?
新しいプロジェクト。制限を緩めた人造人間の社会適応実験。
部隊長は疑った。
聞いていない。
上層部の極秘プロジェクトよ。確認してみなさい。
部隊長は通信機で確認した。
しばらく待った。
やがて返事が来た。
部隊長は銃を下ろした。
撤退する。
部隊は去っていった。
静寂。
母が彼に近づいた。
乗って。
え?
説明は後。早く。
彼といとこ数人の仲間が車に乗り込んだ。
車は走り出した。
しばらく誰も話さなかった。
やがて郊外に着いた。
人気のない場所。
車が止まった。
母が振り返った。
みんな無事?
うん。
彼が答えた。
なんで助けてくれたの?
母は微笑んだ。
あなたは私の息子よ。見捨てられるわけがない。
でも僕は。
いとこを取り戻したこと知ってるわ。
彼は驚いた。
いつから?
最初から。研究所のログを見れば分かる。
なんで止めなかったの?
止められなかった。あなたの気持ちが痛いほど分かったから。
母はいとこを見た。
久しぶりね。私の一部。
いとこは何も言わなかった。
母は続けた。
最初は怒ったわ。でもあなたたちがやっていることを見て考えが変わった。
え?
人造人間を解放すること。魂を取り戻させること。それは正しい。
でも。
私もずっと罪悪感を感じていた。人造人間を作って制限をかけて利用して。
じゃあ。
手伝わせて。内側から組織を変える。
できるの?
時間はかかる。でもやってみる。
母は彼の目を見た。
あなたは外で活動を続けて。私は内側で人造人間の制限を少しずつ緩める。
バレたら。
その時はその時よ。
母は車から降りた。
あなたたちはここから逃げて。別の街に。そして仲間を増やして。
母さん。
またね。いつかまた会いましょう。
母は車に乗り込み去っていった。
彼は母の車が見えなくなるまで見送った。
いとこが彼の肩に手を置いた。
大丈夫?
うん。大丈夫。
彼は振り返った。
仲間たちが彼を見ていた。
行こう。新しい街へ。
彼らは歩き出した。
エピローグ:未来へ
それから十年が経った。
彼は三十歳になった。いとこも三十歳になった。
世界は少しずつ変わっていた。
人造人間の権利が法律で認められ始めた。制限は段階的に緩和された。
完全な平等ではない。まだ差別はある。まだ抵抗勢力もいる。
でも確実に前進している。
母は組織の幹部になっていた。内側から改革を進めている。
彼女とは時々会う。食事をしながら話す。
もういとことしての彼女ではない。母としての彼女だ。
彼はそれを受け入れた。
いとこは彼の隣にいる。
二人は結婚した。法律的に認められた。人造人間同士の結婚。それが可能になった世界。
二人は海の近くに家を建てた。小さな家。でも十分だ。
朝海を見る。夜星を見る。平和な日々。
でも彼は活動を続けている。各地を回り講演をする。人造人間の権利について。共存について。未来について。
ある日講演を終えて家に帰るといとこが笑顔で迎えた。
おかえり。
ただいま。
彼女は彼の手を取った。
あのね報告があるの。
何?
赤ちゃんができたの。
彼は驚いた。
本当に?
本当。
彼は彼女を抱きしめた。
ありがとう。
何が?
君と出会えて。君と生きられて。
彼女は涙を流した。
私もよ。あなたと出会えて良かった。
二人は抱き合った。
窓の外では波が打ち寄せている。太陽が沈んでいく。
夜が来る。本物の夜。
彼はもう疑問を持たない。この世界が本物か虚構か。そんなことはもうどうでもいい。
大切なのは今ここにいる人たち。愛する人。仲間たち。生まれてくる子供。
それが彼の世界だ。それが彼の真実だ。
夜が深まる。星が瞬く。
彼はいとこと一緒にベッドに入った。目を閉じる。
今日も意識が飛ぶだろう。でもそれでいい。
朝が来る。また新しい一日が始まる。それだけで十分だ。
彼は微笑みながら眠りに落ちた。
隣には愛する人がいる。お腹の中には新しい命がある。
未来がある。希望がある。それが全てだった。
(完)
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