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第五章お兄ちゃんは知っちゃいけないよ!?
5-4どうして?
しおりを挟む「ちょっと良いですか、泉さん」
びくっ!
今日もうちの近くの電線柱の影に泉かなめはしっかりといた。
この人、何時もいつの間にか電線柱からこっちを見ている。
「あ‥‥‥ な、何でしょう?」
「ここで立ち話も何ですから家に上がってください」
びくびくっ!
年上のこの完璧美人は私にそう言われおどおどとする。
「そんな所にいてこっちをじっと見られたら通報されます! とにかく最近ご近所から良からぬ噂が出始めてますからこれ以上変な事言われる前に家に上がってください!!」
私にそう言われ泉かなめはすごすごと出てきた。
そして私に連れられリビングへ。
「はい、どうぞ」
一応私はお茶を出す。
「あ、ありがとう‥‥‥」
消え入るような声でそう言ってぺこりとお辞儀する。
「それで何の用です? 知っていると思いますがお兄ちゃんはまだ帰ってないですよ?」
「‥‥‥うん、長澤君は今日は部活で少し遅くなるの知ってる」
泉かなめはそう言って私が出したお茶を「いただきます‥‥‥」と小声で言って飲み始めた。
「知っているのならどうして?」
「あ、あの、由紀恵ちゃんに話があって‥‥‥」
はぁ?
私に話??
この人から私に話って何?
「あ、あの、実は高橋さんから‥‥‥ 言われたの‥‥‥」
あー、そう言う事か。
高橋静恵は正面から宣戦布告してきた。
それはそれは気持ちいいほどに。
そうすると泉かなめ、矢島紗江にも宣戦布告をしたって事かな?
「それで、泉さんもお兄ちゃんに好きっていうんですか?」
「そ、それは!!」
珍しくものすごく動揺している。
顔が真っ赤になってもじもじと下を向き人差し指と人差し指をつんつんしている。
「誰が見たって泉さんがお兄ちゃん好きなのわかりますよ? それに矢島さんもそうだって!」
私はだんだん苛立ってきた。
なんでお兄ちゃんの周りにいきなりこんなに女の子が増えるのよ!
いとこの恵姉や唯ちゃん入れればお兄ちゃんの周りには五人も好きって女の子がいるのよ!?
一体どう言うモテ期よっ!!
「あ、あのね‥‥‥ そ、その、由紀恵ちゃんも‥‥‥長澤君の事好きって聞いて‥‥‥」
「そうです、私はお兄ちゃんが大好きです、いや、愛していると言っても過言ではありません!!」
ぐっとこぶしを握り力説する私。
泉かなめはそんなあたしを見て赤い顔のままでぽ~っとしている。
「き、近親相‥‥‥」
「そう言うの無いから!!」
なんで唯ちゃんの様な事を言い出すのよ!
耳年増か?
こいつも耳年増かぁッ!?
「ううぅ、強敵‥‥‥」
何故そうなる!?
どうもこの人の感性が理解できない。
「それで、私に話って何ですか?」
尚も顔を赤くした泉かなめはやはり下を向いてぼそぼそと話し始めた。
「ゆ、由紀恵ちゃんが長澤君のこと好きなのはわかった‥‥‥でも私も長澤君のこと好き‥‥‥ は、初めて私の事、普通に相手してくれて‥‥‥ 初めて私をみんなの中に引き入れてくれて‥‥‥ だからまた引きこもらなくて済んだ‥‥‥ 長澤君は私の希望。 あの人の為なら何でもできる。 だから妹の由紀恵ちゃんにも、は、話さなきゃいけない‥‥‥ な長澤君になら、わ、私の処女あげても良いって‥‥‥」
「うおぃ! 妹の前で何盛った話になっているのよ!! しかもいきなり肉体関係!? 違うでしょ! 先告白でしょ!!!?」
思わず本心が出てしまう私。
いや、流石にその、初めての話まで持ち出されたら驚くって!
「え、ええ? だ、だってネットでは体差し出せば彼女にしてもらえるって悩み相談で‥‥‥」
「どこのエロサイトよ!? 違うから、それ絶対違うから!!」
思わず肩で息をしながら私は力説する。
そして泉かなめの肩をガシッと両手で押さえ言う。
「とにかくそんなに簡単に自分を差し出しちゃダメ! 良い事、こういった事はもっとお互いをよく知って‥‥‥」
その後あたしは恋愛の何たるかを、そして初めての重要さを解くと言い聞かせる羽目になったのだった。
* * *
「ただいまぁ~、あれ、泉来てたの? 由紀恵とお話し中?」
お兄ちゃんが帰って来た‥‥‥
「な、長澤君‥‥‥」
「おう、どうした泉?」
「な、長澤君もケダモノなの?」
「はぁっ!?」
「わかった、泉さん? お兄ちゃんはおっぱい星人なのよ! ケダモノなのよ! 妹の胸でも興奮できるのよ!!」
お兄ちゃんはあたしの方を見て目を細める。
ああっ!
きっと今お兄ちゃんは妹を見てあーんな事やこーんな事を妄想しているはず!!
男なんて所詮ケダモノ!
お兄ちゃんだって例外なはず無い!!
いやっ!
不潔っ!!
ああ、でもお兄ちゃんだったら‥‥‥
「おい由紀恵、ちょっと話がある‥‥‥」
細められた目はいつの間にかジト目になっていた。
「長澤君がケダモノ‥‥‥ わ、私そんな事まで‥‥‥ い、嫌ぁ、 あ、でも長澤君になら‥‥‥」
私同様自分の両腕を自分で抱きしめて泉かなめもふるふると赤い顔して悶えている。
お兄ちゃんは思い切りため息をついてあたしたちに言う。
「何を話していたかは知らないけど、矢島まで今日は変だったし、お前ら何やってんだよ?」
「うっ、そ、それは‥‥‥ 私は長澤君に‥‥‥」
しまったこの流れ!
私ははたと我に返り泉かなめの阻止に入る。
「これは女の子同士の秘密なの!!」
「なんじゃそりゃ?」
「いいから、お兄ちゃんは知っちゃいけないよ!?」
びしっと私に指さされお兄ちゃんは「はいはい」とかいいながら 手のひらをひらひらさせて二階に上がって行ってしまった。
「あ、あうっ、な、長澤君‥‥‥」
行ってしまったお兄ちゃんの背を寂しそうに見ている泉かなめ。
ふう、危ない危ない。
危うく私の目の前で告白される所だった。
しかし、高橋静恵‥‥‥
本当に宣言しまくっているんだ。
あたしは本気で対策を迫られるのだった。
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