私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!?

さいとう みさき

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第八章お兄ちゃんは妹と今年もよろしくしなきゃいけないよ?

8-2お買い物だよ全員集合

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 年末の大掃除も終わって年末とお正月のお節料理とかの材料を買い出しにお父さんの車で大型店に来ている。


 「お母さん、栗きんとん! あと伊達巻!!」

 「はいはい、ちゃんと買ってますよ」


 私は大好物の品々をかごに入れていく。
 しかしここでちょっと考え込む。


 「むうぅ、結構いいお値段。あ、でもこのブランドだとちょっとお安い? でも味が分からないとなぁ」


 年に一度しか食べない食材の味なんてどのメーカーがおいしかったかなんて忘れちゃう。
 だからと言ってお安い品物は何処かのかまぼこと同じでやたらと硬いし美味しくない。

 「うーん、これとこれは大丈夫みたいだな」

 お兄ちゃんはスマホでいち早くそれらの商品レビューを見ている。
 流石お兄ちゃん!

 私はお兄ちゃんの指定したメーカーのものをかごに入れていく。


 「数の子は味付けので良いかな? あれなら晩酌にも使えるしな」

 お父さんも味付け鰹節カズノコなんてのを手に取っている。
 あ、あれご飯にも合うのよね。

 「そうそう、年越しそばの具材も買わなきゃね。あとお正月のすき焼きもね」


 うちではお正月にすき焼きを食べる習慣がある。

 簡単だしお母さんも楽だしね。
 年越ししたらまた田舎のおじいちゃんの所へ行かなきゃだしあまり無駄にならない様に買い物しなきゃだしね。


 そうそう、ネットで見たけど北関東ではすき焼きに豚肉入れるんだって!


 「すき焼きって言ったら牛肉でしょ!」って突っ込んだら意外と美味しいらしい。

 そう言えば牛丼のチェーン店でも牛丼以外に豚丼って有ったなぁ。
 食べた事無いけど。



 私はお母さんと一緒に食材を選びながら籠に入れていく。


 「おっと、これも」

 「お兄ちゃん、賞味期限ちゃんと見た?」


 棚からひょっと品物をかごに入れようとするお兄ちゃんに聞くと不思議そうな顔をする。


 「どれもこれも同じじゃ無いのか?」
 
 「棚の奥見て。もし賞味期限が新しいのがあればそれにしてね」

 「そんな事したらお店の迷惑じゃ無いのか?」

 「消費者としての当然の権利です。何を買うかは私たちが決めるのだからここは真剣勝負よ!」


 ぐっとこぶしを握る私。
 そんな私をお母さんは笑ってみている。


 「由紀恵がいると買い物が楽なのよね」

 「そんなもんかなぁ、日付一日しか違わないのに?」

 「それでも新鮮な方が良いでしょ?」


 そんな事を言いながら棚の奥から商品を取り出しお兄ちゃんの手に有るものを元に戻す。

 「あれ? 奥に入れないで手前か?」

 「そこはせめてものエチケットよ。選ぶのは私たちの自由、でも商品の陳列はお店が売りたいものを先に出しているから前後逆にしちゃ営業妨害だものね」

 お兄ちゃんは「そんなものかなぁ」なんて言っているけど選ばせてもらっているのだ、せめてこれくらいはしないとね。

 そんなこんなで買い物を進めていく。



 「あ、お兄ちゃん試食だって! もらって来ようよ!」

 「ああいうのなんか恥ずかしいんだよなぁ」

 渋々私についてくるお兄ちゃん。
 並んで小さな器をもらってお父さん、お母さんの分ももらう。

 「おい、由紀恵もらい過ぎじゃ無いのか?」

 「いいの、味見はお父さんお母さんにもしてもらわなければ買うか買わないか決められないじゃない?」

 そう言って私はちゃんとお父さんとお母さんの分ももらってくる。


 お父さんなんかは絶対に自分では取りに行かなくて後で「そう言えばあの試食のやつ美味そうだったなぁ」なんて何時も言うのだもの。
 恥ずかしがらずもらえばいいのに。


 どうして男の人ってこう言うのに遠慮するのかな?


 お父さんに試食を渡すとちょっとうれしそう。
 やっぱり食べてみたかったんだ。


 「よしっ、じゃあお兄ちゃん試食全部もらって来ようよ!」


 私はそう言ってお兄ちゃんの手を引っ張って試食をやっている所へ次々と行く。
 その都度お父さんやお母さんの分ももらってくる。

 なんかものすごくお得な気分。

 お兄ちゃんも私が一緒だと大人しく試食をもらいに行く。
 だいぶ慣れて来たかな?




 「お嬢ちゃん、これはお嬢ちゃんにはあげられないんだよ」


 次の試食でもらおうとした飲み物が断られた?
 なんで?


 「えっと‥‥‥」

 「これはワインだからね、未成年者には飲ませられないんだよ」


 試食を配るおばちゃんに笑われる。
 試食をもらう事に夢中になってしまってよくよく見ないでもらおうとしてしまった。
 思わず赤面する私。
 

 「お父さんは車の運転あるからダメかぁ」

 「あら、じゃあお母さんがいただこうかしら?」


 すっと手が伸びてお母さんが小さな紙コップっ手に取る。


 「あら、美味しいわね。これは新酒かしら?」

 「そうですよ、今年のですね。白もありますよどうですか?」

 そう言ってお母さんは白ワインも試飲する。

 
 「うん、赤の方が良いわね。お父さんもこの味なら好きそうだし。一つもらうわ」

 
 そう言って赤ワインを一本買う。

 「へぇ、お母さんワインの味分かるんだ」

 「これでも昔はイタリア料理のお店で働いていたからね。赤ワインは飲む前三十分くらい空気にさらすと味がまろやかになるのよ」


 私の知らない大人の世界!
 なんかかっこいい! 

 
 それに比べてお父さんとお兄ちゃんは‥‥‥

 あっちで焼き肉の試食をさっきからずっと見ている。

 まったく、仕方ない。




 私はお兄ちゃんを引っ張って焼き肉の試食をもらいに行くのだった。
 
 
 














 あ、最後にお店の出口にあった焼き芋はお母さんと即意見一致で購入しました。

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