私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!?

さいとう みさき

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第九章お兄ちゃんは妹の為に看病しなきゃいけないよ?

9-7闘病中なのよ

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 「うーん、それでもまだ熱が有るかな?」


 お兄ちゃんは私の口から引き抜いた体温計を見ている。
 点滴を打ち薬を飲んでだいぶ落ち着いてはいる。
 でもまだ熱は下がりきらないでいる。

 私はお兄ちゃんにお願いして水を飲ませてもらう。

 「なんとか試験前に治さないと‥‥‥」

 「それはそうだけど、今無理してこじらせて肺炎になんかなったら一大事だぞ? 今度のその新型ウィルスってのは若い人は治りやすいらしいけど肺炎になるとかなりやばいらしいからな?」

 思わずガクガクブルブルしそうな怖い話をするお兄ちゃん。


 妹怖がらせてどーする?


 私は思わず布団を口元まで引っ張って文句を言う。

 「ううぅ、お兄ちゃんの意地悪ぅ~」

 「とにかく治すことが先決だよ」

 そう言ってポンと私のおでこに手を載せる。

 
 はぁぁああぁぁぁぁ、お兄ちゃんに撫でられるとなんでこんなに気持ちいいのだろう?


 ちょと気が落ち着いて私はとにかく治すことに集中するのだった。


 * * * * *


 「なんで熱がここから下がらないのよぉ~」

 高熱ではなくなったけど未だに三十七度台半ばのままだ。

 非常にやばい。
 もうすぐ入試だ。

 毎日紫乃や吉野君、一応高橋静恵や矢島紗江、泉かなめも応援のメッセージを送って来てくれている。
 昨日は心配してくれて恵姉や唯ちゃんもメッセージを送って来てくれていた。


 「うーん、流石にこれはまずいわね、由紀恵もう一度お医者さんに行きましょう」

 体温計を見ていたお母さんはそう言って私に外套と靴下を出してくれる。
 私もその方が良いと思うのですぐにベッドから降り靴下を穿いて寒く無い様に外套に身を包む。

 「友也にはメッセージを入れておいてね、お母さんは車の準備してくるから」

 お母さんはそう言って先に下へ行って車の準備をしている。

 
 ‥‥‥大丈夫だろうか?
 お母さん免許書は持っているけどしばらく運転していないはず。
 ペーパードライバーってやつなのよね。


 私は仕方無しに学校へ行っているお兄ちゃんにメッセージを入れる。

 「熱が下がりきらないので病院に行ってきます。よし、これで良いわね?」

 送信をしてふらふらとしながら自力で階段を下りてリビングへ行く。

 「あら、由紀恵大丈夫? よく一人で階段降りられたわね?」

 お母さんが戻ってきて保険証などを持って私を引き連れて車に乗る。
 そして病院へ行くのだった。


 * * *


 「何この状態‥‥‥」


 見れば待合室はマスクをした人であふれかえっていた。
 
 「あらまあ、こんなに患者さんがいるの? あら、消毒? マスク着用?」

 入り口には感染予防の為必ずマスク着用、入る前にアルコールスプレーで殺菌消毒の協力要請が張り出されていた。
 お母さんと私は仕方なしにそれに従って手の消毒ををする。

 「マスクは持ってきていないわねぇ。あら、ここで販売してるのね? 由紀恵ちょっと座っていてね」

 受付で手続きをしているお母さんに言われて数少ない空いている待合室の席に座る。
 いくら若くても流石に座らせてもらわないと今はつらい。

 しかしこんなに患者さんがいるんだ。
 もしかして私と同じ風邪?

 そんな事を呆然と思う私はまだ事の重大性に気付いていなかった。


 この時、流行りのウィルスは静かに猛威を振るい始めたのだった。

   
 
 
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