私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!?

さいとう みさき

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第九章お兄ちゃんは妹の為に看病しなきゃいけないよ?

9-6嘘だよね?

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 「そうすると新型のウィルスの可能性が有ると言うのですか?」


 私はなかなか熱が下がらず重い体をお兄ちゃんに支えられながらお医者さんへ来ていた。

 治療室のベッドに寝かされ点滴を打つ事になったけどカーテンの向こうでお母さんとお医者さんが話している。


 「どうも中国が発端の風邪のような症状のウィルスなんですが、感染力がやたらと強く症状もよく似ている。インフルエンザと間違えやすいですが全くの別物のようですね。幸い一般的な風邪薬が効くようではありますがとにかく安静にしてください。悪化すると肺炎になりかねませんから」


 何やら向こうで恐ろしい事を言っている。
 私は熱でぼぉ~っとしている頭でそんな会話を聞いていて真先に思うのが来週の試験の事だった。


 「お兄ちゃん、どうしよう‥‥‥」

 「落ち着け由紀恵、とにかく今は点滴打って安静にするんだ。まずは治す事を最優先にしなければどうにもならないからな」

 そう言ってお兄ちゃんは私の手を握ってくれる。
 この時期点滴を打つと冷たい薬剤のせいで手先が冷える。

 熱が有ると言うのに理不尽に指先は冷たくなって痛い。
 それを温めるかのようにお兄ちゃんは私の手を握ってくれる。

 
 一体どこでそんなウィルスに感染したのだろう?


 私は熱ではっきりしない記憶をたどる。
 しかしそれらしいことは思いつかず、お兄ちゃんもお父さんも結局はインフルエンザだった。
 だから抗生物質の薬を飲んで大人しくしていたら簡単に回復した。

 私も同じように早く薬で治らないかなぁ‥‥‥

 
 「それで先生、由紀恵はどのくらいで良くなるのでしょうか? 来週にはあの子は入学試験なのですよ」

 「お母さん、心配事は重々承知しています。いま点滴に解熱や炎症止め、抗生物質にビタミン剤等を投与しますから。しかし先ずはお嬢さんの命が最優先です」


 命って‥‥‥
 まさか風邪くらいでそこまで!?


 聞けば聞くほど私は重体なのではないかと思ってしまう。

 そんなガクブルの状況下で点滴のお陰で熱が下がり始めたようだ。
 すると途端に眠気がする。


 「由紀恵、無理しないで寝てろ。全部の点滴すると四時間はかかるらしからな。大丈夫、俺がずっとそばにいるよ」


 お兄ちゃんはそう言って私のおでこを触る。
 そして新しい冷やすシートを張り替えてくれる。



 私はお兄ちゃんのおかげで少し安心して眠りにつくのだった‥‥‥
 

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